第31話これからの目的
「出てきたらどうだ?」
アユムはそう言うと木の裏に隠れている人物に向かってファイアーボールを放った。
「ちょっと!?」
突如飛んできたファイアーボールに驚きを見せるもその、人物はアユムの放ったファイアーボールと全く同じ威力のファイアーボールで相殺してみせた。
チッ、やっぱり簡単に防ぐか。
「ちょっと、いきなり魔法なんてひどくない? それも、師匠に向かって!」
ほー、どの口が師匠って言ったんだ?
こんな、命がいくつあっても足りないような場所に置き去りにしたくせに。
「ふざけんな!」
「いやー、怒ってる理由ってあれでしょ?」
理由が分かっててふざけてるのか?
「いやー、美人な師匠に会えなくて寂しかったんでしょう?」
おい、なんだその全くお弟子くんは寂しかったの?仕方ないなぁみたいな上から目線は!
「やっぱり、ここで殺そう」
「ちょっと待って! 物騒な事言わないでよ!」
「私は、お弟子くんのために必死に頑張ってたんだよ!?」
「頑張ってた?」
「そうそう!」
へー、一体何をだ?よっぽどのことじゃないと、許さないぞ。
「絶対喜ぶからね〜〜出ておいで!」
あっ?出ておいでっ誰か来てるのか。
「ご主人様ーーー!!!!」
ムラサメが出てくるように指示すると、木の裏からいつも見ていた。銀色の毛並みの獣人がものすごいスピードで飛びついてきた。
この、愛くるしい生き物は……フェンだ。
「フェン? なんで、ここに」
「うぅ、あの人が私についてくれば再びご主人様に会わせてやるぞって言うから……でも、良かった。ご主人様の匂い本物だ!」
そう言って、泣きながらはにかむ姿がこの世の何よりも可愛いと感じた。
「ムラサメどうして、フェンを」
「うん? そんなの、君のモチベーションを上げるために決まってるでしょ」
「だって、君あの牛ちゃんと戦ってる時も常に気にしてたの知ってるからね。その子に傷をつける奴は殺すみたいな感じだったしね」
「まぁ、さすがに人生の相棒と離れ離れは可哀想だからね……だから、サービスよ」
「そ、そうか」
でも、それを言うならダンジョンで出会った時からムラサメのモンスターは見てないな。
「なぁ、ムラサメ……あんたの相棒は」
「うっ!?」
相棒の言葉を口にすると、一瞬とてつもないプレッシャーが全身を覆った。
「お弟子くん、人には踏み込んで欲しくないこともあるんだよ」
いつもの、おふざけが一ミリも感じれないその、表情からこれ以上踏み込むことをやめた。
「じゃっ、本題に入ろうか!」
そんな空気をかき消すように、ムラサメは明るい声で本題に入るように促した。
「訓練なんだけどね、はっきり言ってそんな都合のいい訓練方法なんてありません!」
「……は?」
じゃあ、いままでのはなんだったんだよ!
「まぁ、そんな簡単に普通は強くならない、いや、なれないんだよ。お弟子くん」
「じゃあ、どうするんだよ」
「やっぱり、君くらいの実力があるなら。実戦経験を積むのがいいと思うんだよ」
実戦経験……。
「俺はあんたと戦うのはゴメンだな」
「いやー、私も相手をしたいところなんだけどね。実力差ってのがね? いやー、私が強すぎるからなぁ」
「おっと、本筋からずれるところだったよ。お弟子くんをいじるのは今度にしないと」
「いや、今度もやめろよ」
「じゃあ、これからどうするのか話すね」
ムラサメが話を一方的に話すと思った、アユムは耳を傾けながら不足してからモフモフ成分を得るためにフェンとじゃれあい始める。
その光景を見たムラサメは、ずるい!とそのじゃれあいに参加した。
◆
「はぁはぁ、なんでアンタまで参加するんだよ!」
「だって! 楽しそうだもん!」
「もういいから、本題を話してくれよ」
「うん、だから実戦経験を積むために世界各地の剣や魔法の大会に出てもらおうと思うんだ」
大会……なにそれ、凄いワクワクする!
「へ、へー。まぁ、それが訓練って言うなら仕方ないな」
「で、いつ行くんだ?」
「あれ? お弟子くん、意外と乗り気なの?」
「まぁ、大会に出ることになるならしっかりしないとな」
「あれ? 無視するの!? ねぇ!」
「ふんっ、いいよ。話を続けたらいいんでしょ?」
「だから、これからさっさと氷竜を狩って愛刀を作って。各地の大会に行くよ!」
「でも、俺外で死んでるんじゃ」
「大丈夫、死体が無いから完全に死んだって判定できてないよ。それに、お弟子くんには仮面とフードを大会の時につけてもらうから」
そっか、仮面とフード。なんか、心が浮つくな。
まぁ、クラスメイトに会ってもほとんど俺のことわからないと思うけどな。
心配ごととしては、パーティーのみんなか。少しの間だけど、はじめての仲間だったからな。
まぁ、旅をしてたら会う時もあるだろ。その時に誤解を解こう。
「じゃ、お弟子くん! 氷竜狩りに行くよー!!」
そう言うと、ムラサメはアユムとフェンと一緒に転移魔法を使い死の森から姿を消した。




