第26話ミノタウロスの王との対決
「アユム君エリナの回復を!」
チッ、分かってるんだけどミノタウロスが道を塞いでんだよ…クソッ!どうしたらいいんだ!
「こっちよ、クソ牛!」
「ヒュンッ!」
アユムがどうしたらいいか迷っている時、メイがミノタウロスに向かって、予備で持っていたナイフを投げつけた。
「アユム! 私が引きつけるからエリナさんを助けて!」
「見直した! フェンお前もメイの援護をしろ」
「はーい! ウィンドカッター!」
「ブモォー!」
「俺らで時間を稼ぐぞー!」
「エリナさん大丈夫ですか!」
「ウゥッ!! ご、ごめん、ね」
「急いで回復魔法を」
「ハイヒール! ハイヒール! ハイヒール!」
「くそッ完全に治らない!」
「大丈夫、少しまだ痛むだけだから」
「だけど、これじゃあ動けない! 次こそ本当に……」
「死ぬのが怖くてビビってたら、冒険者なんかできないよ〜」
そうだな、諦めるのもダメ。ビビるのもダメだよな。
「アユム! そっちに!」
「クソッ! 休ませろよ!」
「ガギギィッッッ!!」
こっちに角を向けて、突進してきたのをアユムはエリナを守るために、我慢スキルを使い石竜の両手剣で受け止めた。
「グっ! ズルズルッ!」
「お、される」
「ブモォーーー!!」
「えっ」
「バキッ!」
ミノタウロスのありえないパワーによって、石竜の両手剣は半分に折れてしまった……。
さらに、ミノタウロスの追撃によってアユムは吹き飛ばされた。
「ヒューーン! ガンッ!」
吹き飛ばされて、壁にぶつかった衝撃で視界が霞み意識は暗闇の中に落ちていった。
「新人? …なんで起きないの?」
「ご主人様ーー!」
「アユム君!」
「アユム起きろよ!」
「くそ、お前ら一時撤退だ」
「アユム君を置いてくの〜!?」
「ここで、全員死んでいいのか!」
「い、いい…俺が囮になる、だから行け」
一緒気を失っていたが、意識を覚醒させたアユムは最善の行動を取ろうと自分が囮になることを提案した。
「アンタ起き上がったら、出血が! 何バカなこと言ってるのよ! その血じゃ死んで……」
「行けって言ってるだろ!!」
「ご主人様……」
「悪いな、フェンお前も逃げろ」
「ロック後は頼んだぞ、早く連れて行け」
「本当にいいんだね?」
「あぁ、そう簡単には死なねぇよ」
「すまない……」
「ちょっと何勝手に!」
「アユム君の思いを無駄にする気か! 俺らじゃ敵わないんだ! アユム君の思いを無駄にして、邪魔をするのか!」
「うぅ、分かったわよ……アユム絶対に助けを呼んでくるからね!」
「新人……アユム、絶対に死なないで」
エリナさんをロックが担いで先頭で逃げ出しているのを、確認すると、迫ってくるミノタウロスの相手を再開した。
◆
ハァ、やっとみんな行ったか。
さて、本格的にどうするかな、血も大変なことになってるし。
《人間にしては、骨があるようだな》
「誰だ! 新手の魔物か!?」
《だれって、貴様の前にいる俺様だ》
「はっ? お前が」
《ふん、そうだ。自分を犠牲にしてまで仲間を守るか。面白い! 今までの冒険者は逃げ出すばかりでつまらんかったからな。まぁ、力が有り余って殺してしまうからな》
「お前ミノタウロスか?」
《俺様は、牛魔王だ、そんなことはどうでもいい、俺はお前と殺し合いがしたいだけだ》
「話し合いは無理か、生きて帰るには勝つしかない」
どうする、剣はもう使えない。魔法は効くのか?
《何をボーっとしてる!》
牛魔王は、腕の筋肉を強化し手に持っている斧で攻撃をしてきた!
「くそッ!アースウォール」
「パァッン!」
「はぁ!? 粉々…になった」
嘘だろ!俺のアースウォールが粉々に砕かれた。あの、服屋の店長よりも力が強いってことか、マジでこれどうするか。
「とりあえず、血を止めるか。ハイヒール」
多少の傷は残るが、動けるな。
《やはり、人間というものは力がないな。貴様は普通の奴らとは違うと思ったんだがな》
「そりゃぁ、どうも、過大評価だな」
「力で無理なら魔法なんだよ!」
「チェーンロック! 」
アユムが土魔法の拘束魔法でミノタウロスの足と腕を封じた。
《ふんっ、こんなもの引き千切ってやる》
《フンッヌ! 何故だ千切れない!》
「弱いなら、魔力を込めればいいだろ。逃がさないからな……」
《なかなかの魔力量だな、だが》
牛魔王がアユムに向けて手を向けたと思うと、無数の風の弾丸がアユムに放たれた。
「仕方ない!」
アヤムは折れた石竜の両手剣で、風の弾丸をなんとか受け牛魔王の拘束魔法は解かなかった。
「これは、もう完璧に使えないな……」
《ほう、よく受けきれたな。魔王軍に欲しいくらいだ。どうだ? お前魔王軍に入らないか?》
「悪いな、入る気なんか全くないんでね。炎の大蛇」
《コレは少し不味いな》
よし、まともに当たる!
「ドォーン! パラパラッ」
アユムの放った魔法はミノタウロスの王、牛魔王に当たる前に突如現れた土や石が入り混じった大きく重厚な壁に防がれた。
マジかよ……。
「風魔法だけじゃなく、土魔法も使うのかよ」
《その歳で上位魔法を使うか。やはり魔王軍に欲しいな、どうだ考えなおさないか? 入るなら殺さんが》
ゾクッ!!今までのが遊びだと錯覚するほどの殺気と重圧。
「でも、俺は自分の好きなようにする。よって魔王軍には入らない!」
《そうか、非常に残念だ。なら、敵となるものは殺すか》
「えっ、バキバキッ!」
「ぐぁぁぁ!! 」
先ほどと比べ物にならない、スピードでアユムの懐に入った、牛魔王は風魔法で威力を挙げた拳で腹を殴り、上に浮かしたところで斧の側面で殴り飛ばした。
ヤバイ死ぬ、本格的にコレはヤバイ。
俺は自分のステータスにどこか自信を持ってたんだ。俺の戦い方は力任せ、ステータスで劣ってる上に戦い方もダメ。
「負けて当然……か」
《後、十年しっかりと鍛えてたらいい勝負が出来たであろうな》
《名前を言え》
「ハァ、何で殺される相手に言わなくちゃいけないんだよ」
《仲間を殺されたくないなら、言え》
「チッ、アサヒ アユムだよ。アユム! コレでいいか」
《あぁ、覚えておこう。少しは楽しめたいい時間だった》
《では、コレで最後だ》
俺は、ここで死ぬのか…異世界生活ここで終了なのかよ。




