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第14話迫りくる危険

 

「チュンチュン」


「もう朝か……もう一眠りくらいしたいな」


 フェンはまだ寝てるみたいだな。ご飯食べに連れて行かないと後で何されるか分からないからな。



「起きろ〜〜フェンいつまで寝てんだよ」


 フェンを起こすためにほっぺを引っ張ってみたり、ご飯だぞと声をかけてみるが一向に起きる気配がない。


 ハァ、起きないな仕方ない寝かせておいて、ご飯は別で後で持ってこよう。


 それか、メイドの人に頼んでおくかな。


 ◆


 それにしても、ご飯を食ってるときに他の奴らがジロジロ見てくるんだよな〜ウザいな。


 どうせ、なんでお前が生きてんだよとか思ってるんだろ。


 ご飯を食べていると、聖と迅が一体ダンジョンで何があったのかって、聞いてきたな。


 その中に日向がいないのが気になって聞いてみたら、どうやら俺が死んだとの嘘を信じないって言って独断でダンジョンに向かってしまったらしい。


 おそらく、すれ違いになってしまったんだろう。


 それにしても、ダンジョンまでまた行くって凄いよな。


 その後の、二人からの追求を軽く流して部屋に帰ると愛くるしい一匹の狼が口から小さな風のブレスを吐いてきた。


「ガチャッ「キャン!(ご主人様〜)」


「いっ!? 危ねっ」


 おいおい、廊下の壁が少し削れてるぞ……。


「フェン? どうゆうことかな?」


「キャン(えへ、なんでいなかったの?)」


「いや、だって起きてなかったから……」


「クゥーン(でも、寂しいです)」


 う、良心が痛む。


「分かったよ、悪かった。次からは、ちゃんと連れて行くよ」


「キャン(やった! じゃあ、ご飯!)」


 じゃあって、何だよ……俺よりご飯か。


「ガツガツ」


 いや、俺がご飯を作れるようになれば……ご主人様って駆け寄ってくるよな?


 よし、練習しよう。


 ここに、将来料理人レベルの腕を備え持つ冒険者が誕生した。



「じゃあ、俺は訓練に行くから。食べ終わったら、来いよ」


「キャン!(いってらっしゃい!)」


 あれ、やっぱり俺についてくるのとご飯だとまだご飯の方なんだね?


 つらい、、でも、可愛いから許せる。



 ふぅ、行くか。この、部屋から出ないと延々と一緒遊んでしまうからな。


「おーい、歩もこれから訓練か?」


「あぁ、聖もだろ?」


「そうだ、日向や迅は先に行ってるみたいだぞ」


「あれ? 日向はまだ帰ってきてないんじゃ」


「そうだったんだけど、さっき帰ってきたみたいで歩が生きてると分かると凄い勢いで部屋に戻って訓練場に行ってたぞ」


「へー、すぐ訓練場に行くなんて真面目だな」


「いや、多分そうじゃないと思うけどな。それにしても歩なんか雰囲気変わったか?」


「そりゃ、雰囲気も変わるさ、何回も死にかけたんだから」


「それもそうか、大変だったな」


「大変だったけど、収穫もあったからね」


「うん? 収穫ってなんだ?」


「それはまた今度教えるよ、それよりも訓練場に着いたよ」


 だって、今これを言って騒がれでもしたら困るからね。


 俺を妬んでフェンに危害を加える奴もいるかもしれないからな。


「分かった、今度教えろよな」



 ◆



「皆さん揃いましたね、いつも通り訓練をしようと思います。安全に訓練をしてくださいね、では訓練を開始してください」


 俺は、今日は何の訓練をしようかな。

 やっぱりいくらスキルあっても基礎が大事だからな。

 今はスキルのおかげで、扱い方が手に取るように分かる。でも、その道の人にしか分からないことがあるはずだ。

 よし、決めた短剣をうまく扱うために近接戦闘の訓練をしよう。


「お、歩じゃねぇかお前が近接戦闘の訓練なんて珍しいな」


「まぁ、魔法だけだど接近された危ないからね」


「そりゃそうだな、歩は短剣か? もっとでかいのにしないのか?」


「うん、俺は敏捷が高いからね。スピードで戦うよ。短剣使えるようになったらいつか双剣にしたいんだよね」


 双剣っていかにも強者って感じでカッコいいしね。


「へー、歩敏捷が高いのか俺と一戦やるか?」


「今はやめとくよそれに迅くんの大剣だからこっち大けがしそうだし」


「いや、歩には回復魔法があるじゃねぇか」


「いや、ふつうに怪我したら痛いからね?」


 今、自然に怪我しても大丈夫って感じ出したよね?

 それに、俺のチマチマ攻撃の短剣と一発で削れる大剣じゃ公平じゃない!


「ちょっとお二人さんいいかしら?」


胡桃(くるみ)か? なんだよ?」


「え、迅くん知り合いだったの?」


「いや、俺らは幼なじみなんだよ」


 えっ、胡桃沢 胡桃って言ったら生徒会長を一年生から務めている。お家が昔からある由緒正しいところで有名だ。


 それに、本人自身が努力を怠らない性格なのか勉学でも運動でも数々の賞を取っている。


 まさに、エリートって言葉を人間にしたような人だ。


 それに、容姿までもが優れているんだから世の中不公平だよな。


 肩まで伸びている、手入れのされた黒髪に身長175センチのスタイルの良さ。


 そして、顔はすっきりとした顎のラインにキリッとした一重瞼の目と、ややキツメの印象を与えるかもしれないが。


 普段からの堂々とした振る舞いやかっこよさに憧れる生徒は少なくない。



「え! 知らなかった」


「歩君が知らないのも無理はないわ、だって初めて言ったんだから」


「チッ、どうでもいいから用件言いやがれ!」


「別に大したことないわ、一人で暇だったので話しかけただけよ」


「そんな理由かよ、訓練の邪魔だ帰った帰った」


「ケチくさいわね一緒に訓練してもいいじゃない」


「うるさいなぁ、まぁ俺は歩がいいなら別にいいけどな、歩はどうだ? 胡桃も一緒に訓練していいか?」


 あれ?迅から少しだけ威圧を感じるな。ここはあえて


「俺は別にいいよ他の人の訓練を見るのもいい経験になるからね」


 オッケーするよね。


「ありがとうね、どっかの誰かさんとは大違いね私も一緒に訓練に参加させてもらうわ」


「チッ、いちいちうるせーなー大剣でぶったたくぞ」


「女に手を出すなんて、最低ね」


 ハァ、2人ともなんでこんなに仲が悪いんだよ。

 そろそろ2人を止めないといけないなぁ。


「胡桃ちゃん、喧嘩はよくないよ?」


「あら、日向は回復魔法の練習に行ったんじゃなかったの?」


「えっとね、回復魔法の練習をしていたら喧嘩の声が聞こえてね。なんだろうと思ったら胡桃ちゃんと迅くんだったから止めに来たの」


「そうだったのね、迷惑かけてごめんなさい」


「迅お前もだぞ、喧嘩はよくないぞ2人の喧嘩の声が俺のとこまで聞こえたぞ」


「あー、悪かったよ」


 俺の出番はなかったなぁ心優しい友人が解決したわ。


「まぁまとめると、2人ともこれからなるべくケンカしないでくれよ。とりあえず今は訓練の時間だから訓練をしようぜ」


「「「「はーい」」」」



「それにしても、歩ちゃん! 生きてたんだね! 私、私……本当に心配して」


 あ、心配のあまりダンジョンにまで行ってくれてたんだよな。


「俺はこのとおり大丈夫だ! 心配してくれてありがとうな日向」


「歩ちゃん……」


「あー、お前らここでイチャイチャはさせないぞ?」


「えっ、イチャイチャなんてしてないよ私! や、やだなぁ」


「そうだぞ、聖イチャイチャなんて全くしてないぞ?」


 あれ?なんか、日向の顔が……。


「歩……お前、それは日向の前で言ってはダメだ」


「いいな?」


「あぁ、わかった」


「分かったら、フォローしとけよ」


「あー、日向? さっき、言ったのはな本当はただの照れ隠しなんだよ」


「えっ、照れ隠しって……本当は私のこと」


 これって、どうしたらいいの?

 いや、今ではないよな。それは、俺でもわかる。


「それは、まだ言えないよ」


「エヘヘ、ううん! 全然いいよ!」


 いや、喜んでるみたいだからこれで良かったのか。


「じゃ、訓練頑張ろうね! 」



 俺も訓練に戻るか。いや、日向俺から離れないんだけど。


 懐いた犬みたいになってるぞ、仕方ない。このまま訓練するか。


 そういえば、よく見てなかったけど胡桃さんの持っている武器あれは刀か?


「ねぇ、胡桃さんが持っている武器って刀?」


「えぇ、私が持っている武器は刀よ」


「あー、それ俺も思ってたんだよな。異世界なのに刀があるんだなって」


「不思議よね。ところで、 今思ったのだけど、私たち5人でパーティーを組まない? 近接と遠距離のバランスが取れていて良いパーティーになると思うのだけど」


「俺は別にいいぜ? まっ、お前が足手まといにならないか心配だけどな」


「私はいいよ! 歩ちゃんがいるなら」


「俺も別に問題ないよ」


 パーティーか、別に問題は無いかな?

「うん、別に問題ないよ。明日にでも、連帯の訓練でもしてみる?」


「歩ちゃん、仕切ってるカッコいい……」


「連帯の訓練か、俺そういうの苦手なんだよなぁ」


「聖、お前は俺と一緒にガンガン攻めたらいいんだよ」


「あら、頭の悪そうな発言ですこと。あっ、猿の方があなたに比べたらマシでしたね」


「なんだとっ!! この、ボンボンお嬢がよ、さっきから人のことを見下しやがって」


「ふんっ」


「チッ」



 おいおい、俺のスキル話すべきか悩んでいる数秒のうちに喧嘩するなよ。


 どんだけ、仲悪いんだよ。幼なじみって今どきこんなふうなの?


 ここは、話を早めに終わらせる方がいいな。


「じゃぁ、みんな明日から連帯の練習をするからね?」


「「「「オッケー」」」」


 明日からやることが一つ増えたな。


「歩ちゃん明日から頑張ろうね? 歩ちゃんは私が守るからね、ダンジョンでは守れなかったから……」


 これ、守れなかったことを引きずってないといいけどな。


「別に気にしないよ、前も言ったけど俺は守られるより守りたいんだよ?」


「うん、ありがとう……歩君が守ってくれるって言ってくれた嬉しい!」


 あー、日向さん後ろ向いてガッツポーズしながら恥ずかしいこと言わないでほしいな……聞こえてるよ。



 盛り上がる二人の後方で、殺意を放っている人物がいた。


 歩の野郎、僕の日向といちゃつきやがって。絶対に許さない幸い今は訓練の時間だ多少の事故はつきものだよなぁ。


 日向も日向だ、なぜ勇者の僕じゃなく、そんな雑魚のところに行くんだ普通は僕だろう。


 覚悟しろよ歩、僕がお前に天罰を与えてやる。


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