325章Side:深也 後編 …いや、沈まねぇっ!光も闇も航海の先!デトネイトパイレーツランドレイク!
「ガァァァァァーッ!!」
ランドレイクの姿はイルーダの戦い以来ならなかったデトネイテッドランドレイクの姿になっていく。
「ほぉっ、これはこれはぁっ…!」
海音とスラン、シーラと戦っている最中のメフシがランドレイクの変化に興味を抱いていた。
「なかなか心地がいい力だ…!」
『皆』=狸夢操士カサエルとLFオルカダイバーと交戦中のラドードもランドレイクの方を向いて嬉々としていた。
「ランドレイク…!」
深也は闇を放出し、激しく振動するデバイスを両手で抑えていた。
「かつての俺たちはこの荒波に屈しちまった…!だが、今度こそ乗り越えてみせるんだ…!」
深也の脳裏ににやけたガイアヘッドの姿が何度もちらついた。
以前はこの闇に深也は身を委ねてしまったが、今は目が霞みながらも何とか耐えられている。
「深也、しっかりするぞい!」
「ランドレイク、闇に負けちゃ駄目さぁっ!」
「深也!」
あの時と今回で違う事。それは今回の深也は仲間たちの声、大樹、『皆』=狸夢操士カサエル、LFオルカダイバーの声をしっかりと聞いていた。
「頑張って!」
「深也、みおんをかなしませたら、わたしゆるさないよ!」
シーラとスランの声もちゃんと聞こえている。
『良い事だけじゃなかったでしょ?』
ガイアヘッドの声も聞こえて来て、ちょこざいにも父・北斗との悪い記憶も見せて来た。
「…へっ!地球のくせに情報古いんだな…!観測不足じゃねぇのか?」
深也は傀魔怪堕との戦いで北斗と共に母・倫子の本心を聞いている。
今でも倫子は自分たちの事を見守ってくれている。その確かな温かな気持ちも間違いなく今の深也を支えてくれる要因だった。
(海原君、駄目だ!)
過去に深也を止めてくれた道人の声も聞こえて来た。
「…まだ自分の事を僕呼びだった時の道人か…。何だか懐かしいぜ…!」
(お兄ちゃん!)
(深也のお兄ちゃん!)
エイプリルとなってしまった芽依、まだ水晶化されて傀魔怪堕から帰って来ない稲穂の声も思い出す。
「そうだ、まだ取り戻せてないものもある…!」
深也が両手で持つデバイスから闇だけでなく、光も溢れ始める。
「深也!」
今の声は現実にいる海音のものだ。
「あなたはかつて、両方救うという事は傲慢なのかと悩む私に言ってくれました…!難しい難易度に挑む方が燃える、その心意気は大好きだって…!私も…大好きです!大好きに…なりました!」
その言葉は間違いなく、水縹星海岸でディフィカルトクラーケンやディフェンスダイヤトウとの戦いで深也が発した言葉だった。
海音はメフシと戦いながらも頬を染めていた。
「何のぉっ、話をしているぅっ…?」
「はい、じゃましない!」
メフシが海音の妨害をしようとするが、スランがリボンを鞭のようにし、薙刀捌きで阻止した。
「あの時、あなたは心意気というものを私に教えてくれた…!例え叶わなくても、綺麗事だって言われても、決して諦めるな…!二兎追ったからには二兎とも取れって…!その言葉のおかげで…みんなのおかげで!お母様やグゲンダル…キャルベンのみんなとも分かり合えた…!私にくれた言葉を今、あなたにも返します、深也…!」
「海音…!」
海音の言葉のおかげで深也の持つデバイスは振動が収まり、溢れる光と闇は調和を始めて混ざり合った。
「…二兎追うものは二兎とも取れ…!くぅ〜っ、何度聞いても海賊魂に響く言葉だぜ…!」
ランドレイクもディサイドとデストロイの力を制御し、正気を取り戻していた。
「…へっ、力そのものには善悪はないって答えは今思えば、昔の俺が既に答えを出してたんだな…。二兎追うものは二兎とも取れっていう俺の言葉、今まで忘れてたぜ…!
深也がそう言うと目の前に仮面が出現した。
「もう二度と忘れないようにこの姿に名前を刻め…!リメンバースライドォッ!」
深也がそう叫ぶと仮面が顔に付き、清らかな青色の鎧を身に纏った。
背中に大きな羽のようなヒレが付いたサメの意匠が散りばめられた鎧だった。
「ランドレイク!」
「大船長!」
『オーバーディサイド、解放。』
深也はランドレイクの元まで跳ねて向かう。
「貴様ぁっ、何をするつもりだぁっ…?」
メフシは海音たちと戦いながらも深也に向かってトゲを飛ばして来たが、深也は軽々と避けてみせた。
「へっ、あん時から俺に愛着を抱けるようになったかい?」
ランドレイクは初めてディサイドした際に言っていた。
愛着なら後からでも抱けると。それを改めてランドレイクは聞いて来た。
深也はその言葉を聞いて仮面の下で照れ臭そうにした。
「…へっ、わざわざ言わせんな!行くぜ!あの時の兆しを越えろ、オーバーディサイドォッ!」
深也は背後から大波を被り、水流の中でランドレイクの新たな海賊帽の頭に変形した。
「頭着!」
ランドレイクは両手で新たな頭を掴み、周りに溢れていた光と闇を体内に取り込んだ。
「オルカダイバー、お前も来い!」
「OK、わかったよ!」
ランドレイクの目を点滅させながら深也はLFオルカダイバーを呼んだ。
LFオルカダイバーもランドレイクに取り込まれた。
「ディサイドもデストロイも俺のもの!これぞ、海賊人生冥利に尽きる!制してみせるぜ、大航海ぃっ!」
ランドレイクの周りに新たな鎧が出現し、次々と装着。
光と闇のラインが付いた青。まるで全ての海を制覇した威厳のある大船長の姿となった。
「デトネイトパイレーツランドレイクゥッ!!」
デトネイトパイレーツランドレイクは背中の水のヒレを海賊旗に変えた。
海賊旗には右半分が深也、左半分がランドレイクの顔を模した骸骨が描かれていた。
交差する骨も白と黒で光と闇を表していた。
「「さて、大暴れするぜぇっ!」」
深也とランドレイクは同時に発声し、両手に以前よりも大きめな装飾銃剣を持った。
「はっ、見た目は派手だがぁっ!」
ラドードは『皆』=狸夢操士カサエルを蹴ると同時に紫の玉を投げ、空間を割った。
割った空間に飛び込み、あっという間にメフシの近くに空間を出現させてラドードは中から出て来た。
デトネイトパイレーツランドレイクに近づき、右手の一体化した槍を突き出した。
が、デトネイトパイレーツランドレイクは身動き一つせず、槍を弾いてみせた。
「あん?何かやったか?」
「まだよ!」
ラドードも姿が変わってパワーアップしている。
背中の大きな斧の羽に二つの玉を投げ込み、そこから無数の隕石を飛ばして来た。
「へっ、面しれぇっ!」
デトネイトパイレーツランドレイクは自分に当たりそうな隕石だけを的確に両手の装飾銃剣と背中の海賊旗で撃ち落としていく。
合間合間に装飾銃剣のブレードを展開して隕石を斬ってみせた。
「つぅーかまえたぁっ!」
「おぉっ!?」
デトネイトパイレーツランドレイクは装飾銃剣二つを一つに合体させ、空いた右手でラドードの頭を掴んだ。
「さっき言ったよな?俺はもう自分が言った発言を忘れたくねぇっ…!」
「何を…言った!?」
深也の言葉を聞いたラドードは抵抗し、二つの玉を斧の羽に投げ込んで内側に折り曲げ、隕石を発射しようとしたが、デトネイトパイレーツランドレイクは膝蹴りをラドードの胸の顔に喰らわした。
「最終決戦間近で、てめぇらみたいな雑魚とホットドッグに苦戦してられねぇって言ったんだよ!」
デトネイトパイレーツランドレイクは水でできた海賊旗で大きな水玉を作り、ラドードをその中に閉じ込めた。
「ごぼっ!?」
「強制アクアリウムだ!」
デトネイトパイレーツランドレイクはそう言うとヘビーアサルト=ホエールランドレイクに姿を変えた。
「オラオラオラオラオラ!」
ヘビーアサルト=ホエールランドレイクは水玉に閉じ込められたラドードにミサイルや極太ビームによるフルバーストを叩き込む。
「ごぼぉわぁぁぁーっ!?」
水玉は頑丈で割れず、ミサイルによる爆発と何度も跳ね返るビームでラドードをめった打ちにしてみせた。
「ラ、ラドードォッ!?」
「人の心配を!」
海音はよそ見したメフシにゼロ距離ロングレンジビームキャノンを浴びせた。
「してるよゆうはないでしょ!」
「ですね!」
スランは薙刀で、シーラは槍で地面に倒れたメフシを追撃した。
メフシは倒れながらもトゲを周りに飛ばしてスランたちに反撃した。
「行くぜ、ここからが俺たちのオーバーディサイドの真骨頂ぉっ!デストロイチェンジ!」
ヘビーアサルト=ホエールランドレイクは悪魔の羽と両手にクローを付けて禍々しい姿、デトネイテッドヘビーアサルト=ホエールランドレイクとなった。
「ディサイドとデストロイの力を使い分ける!これ、まさに力そのものに善悪なしの体現ってやつだ!」
「デストロイの力、もらうもんはもらっとかないとなぁっ!行くぜぇっ、ランドレイクゥッ!」
デトネイテッドヘビーアサルト=ホエールランドレイクは邪悪なオーラを身体から出して目を赤く発光させ、水玉の中に追加で暗黒パワーを帯びたミサイルや極太ビームのフルバーストを浴びせた。
「ラ、ランドレイクたち、加勢するさぁっ!」
オーバーディサイドしたランドレイクの凶悪ぶりを見て『皆』=狸夢操士カサエルにも動揺が見られた。
『皆』=狸夢操士カサエルは夢瓶から海賊姿の深也や狸四匹を出して水玉の中にいるラドードを装飾銃で撃った。
さすがに水玉は耐え切れなくなり、破裂した。
ボロボロになったラドードが地面に倒れた。
「がぁっ…!貴様ぁっ、よくもぉっ…!」
怒りに満ちたラドードは震える手でワープに使っていた黒い玉を地面に落とした。
デトネイテッドヘビーアサルト=ホエールランドレイクはデトネイトパイレーツランドレイクの姿に戻った。
「頑丈な奴!なら、これでどうだぁっ!?」
デトネイトパイレーツランドレイクは次にワイルドパイレーツランドレイクに姿を変えた。
「さぁっ、海賊の時間は続くぜぇっ!」
ラドードの足元からワイルドトツゲキマッコウ号が出現し、バウスプリット(先っぽの棒)でラドードを天井に押し付けた。
「ここでデストロイ化ぁっ!」
ワイルドパイレーツランドレイクはデトネイテッドワイルドパイレーツランドレイクに変化。
悪魔の羽とボロボロになった黒いコートを身に纏った。
同時にワイルドトツゲキマッコウ号もデストロイ化し、バウスプリットの形状がドリルとなって回転。ラドードの身体から火花を散らせる。
「ぐおぉぉぉぉぉーっ!?」
「くたばりやがれぇぇぇぇぇーっ!!」
デトネイテッドワイルドパイレーツランドレイクは部下を出現させ、海賊の深也と狸たちと共にドリルに押し付けられたラドードに対して集中砲火を浴びせた。
「ヴァ、ヴァエンペラ様ぁっ…!む、無念んーーーーーーあぁぁぁぁぁーーーっ!!」
ラドードの身体は爆散し、頭と破片が地面に散らばった。
ラドードがワープに使っていた玉もいくつか散らばった。
「よっしぁっ、まずはひとぉーつ!」
デトネイテッドワイルドパイレーツから元に戻り、ワイルドトツゲキマッコウ号と部下たちも共に消えた。
「あ、あれじゃ果たしてどっちが悪役なのかわからんぞい…。」
鎧を身に纏った大樹はデトネイトパイレーツランドレイクの暴れっぷりを見てつい呆れてしまっていた。
「…!? 嘘だろぉっ…!?ラドードォッ!?」
海音たちと戦っていたメフシはラドードがやられた事に驚いていた。
「待ってろ、ホットドッグ野郎!次はお前を冥土に…お前の星の傀魔怪堕的な場所に送ってやらぁっ!」
「ひ、ひぃ〜っ…!?」
向かって来るデトネイトパイレーツランドレイクに恐怖したメフシはやけくそ気味に全身のトゲを飛ばし、ホットドッグのような身体を脱いでハンマーとしてぶん投げた。
「お前はさっき海音を辱めようとしたなぁっ!許さん!!」
デトネイトパイレーツランドレイクはまだデストロイ化してないのに目を赤く発光させた。
「深也…!」
海音は高速移動し、メフシを背後から蹴り飛ばしてロングレンジビームキャノンを浴びせてデトネイトパイレーツランドレイクのところまで運ぶ形となった。
「おらぁっ!」
デトネイトパイレーツランドレイクは飛んで来たメフシを右拳で思いっ切りぶん殴った。
「ごばぁっ!?」
「オラオラオラオラオラオラッ!」
宙に浮かんだメフシに対し、デトネイトパイレーツランドレイクは装飾銃剣を逆手に持ってトンファーのようにし、拳と弾、刃のラッシュ攻撃を交互に浴びせた。
「手伝います、ランドレイク!」
シーラも槍の連続突きをメフシに浴びせる。
「はやく道人たちのかせいにいこう!」
スランはそう言うとリボンでメフシをぐるぐる巻きにした。
「ほごぉっ!?」
「行くぜ、これでラドードの元に逝けぇっ!」
デトネイトパイレーツランドレイクは右にOBオルカダイバーを出現させ、共にオーシャンビッグバスターを構え、速射。
リボンで身動きが取れなくなったメフシに二本の水流を浴びせた。
海音もロングレンジビームキャノンを発射してメフシを攻撃した。
「ごわぁっ!?まだ、まだぁっ…!」
メフシはリボンでぐるぐる巻きの状態で足掻いてトゲを発射。
海音の背後からまだ生き残っていた黄色い泥人形が地面から出現した。
「ほい、大樹のドキドキ小瓶じゃ。」
大樹は黄色い泥人形のとなりに移動し、三つの小瓶を軽く放り投げた。
黄色い泥人形はみるみる内に崩壊していく。
「お前さんがまだ生き残っておるのは覚えてたからの。警戒して対策用のドキドキ小瓶を調合しといたんじゃ。」
「ありがとう、大樹さん!」
海音は背後にいる大樹にお礼を言い、大樹はサムズアップして返した。
「おらぁっ!」
水流を発射し終えたデトネイトパイレーツランドレイクは撃ち終えたオーシャンビッグバスターを鈍器代わりにしてメフシを地面に叩きつけた。
デトネイトパイレーツランドレイクもすぐに着地し、そのタイミングでスランもリボンを解除した。
デトネイトパイレーツランドレイクは二つの装飾銃剣を合体させてダブルブレードで何度もメフシを斬り刻む。
「喰らえ、ホットドッグゥッ!」
デトネイトパイレーツランドレイクは右の装飾銃剣にディサイドの力を、左の装飾銃剣にデストロイの力を込めたビームを発射。
白と黒の光はメフシを地面に押し付ける。
メフシの頭がそれで外れた。
「これでとどめだぁっ!」
デトネイトパイレーツランドレイクはメフシを蹴り上げ、上空に出現させた水でできた海賊旗に叩きつけた。
「最後は拳でぇっ!」
デトネイトパイレーツランドレイクが右手に思いっ切り力を込めると水でできた海賊船も手の形になった。
デトネイトパイレーツランドレイクが右拳を作ると上空の水の手もそれに合わせて握り拳を作る。
メフシは水の拳の中で圧殺された。
「ラ、ラドードォッ…。すまねぇっ…。」
くしゃくしゃになったメフシは地面に落ち、爆散した。
「一丁上がりぃっ!」
ラドードとメフシを倒し、大樹たちはデトネイトパイレーツランドレイクの元に集まった。
「だいじょうぶ、みおん?」
「へ、平気ですよ…。ありがとう、スラン…。」
スランは海音に肩を貸し、大樹たちとは少し遅れてデトネイトパイレーツランドレイクに近寄った。
シーラはもう海音のスマホに帰っていた。
「海音、大丈夫か?お前は一時退散しても…。」
「大丈夫ですよ。何だったらスランに回復してもらいますし。」
「そうか、無理すんなよ?よし、このまま道人たちと合流してガイアヘッドの相手をするぞ!」
「どる!」
「…? どる?」
謎の頭だけの物体が素早くデトネイトパイレーツランドレイクの足元を駆けていった。
「どるぅ〜っ…!」
謎の頭だけの物体は悲しそうにラドードとメフシの頭を体当たりで一箇所に集めた。
「な、何だ、あいつ…?」
「どる!」
謎の頭だけの物体は自分が持っていたものと、ラドードが落とした黒の玉を発動させて地面に出来上がった空間の中に飛び込んだ。
「だぁ〜っ…!?逃したかぁ〜っ…!すばしっこい奴…!」
デトネイトパイレーツランドレイクの近くに新たな姿となったエッジヴァハムートが着地した。
司令たちも駆けつけて来る。
「そ、その声…お前、真輝か?」
「おう、アイデンティカルエッジヴァハムートってんだ。そういうお前は深也か?どうやら俺たち、ほとんど同タイミングでオーバーディサイドしたみたいだな。」
「マジかよ…。」
デトネイトパイレーツランドレイクとアイデンティカルエッジヴァハムートは目を点滅しながら話をした。
「さっき逃げたのはドルエの奴でよ。どうやら、あいつらは頭が本体みたいなんだ。」
「またマジかよ。じゃあ、奴らを倒せてねぇかもしれねぇって事か?」
真輝からその話を聞いた深也は急に脱力感が襲った。
「自分たちがやられた場合の対策も用意していたのだろうな。」
「逃してしまったものは仕方ない。早く道人君たちと合流しよう!」
ディアスと司令の言葉を聞いた深也たちは頷き、ガイアヘッドと交戦中の道人たちの元へと向かった。




