325章Side:深也 中編 再び闇の海に沈むのか…?
「どうやら奴さん、こっからが本領発揮のようじゃぞい…!よし、カサエル!ビーストヘッドは継続で行くぞい!」
「わかったさぁっ!」
大樹がビーストヘッドの継続処理を行う中、ラドードとメフシは全身からオーラを出して形状を変化させていた。
海音がロングレンジビームキャノンで砲撃するが、ラドードとメフシの放つオーラに弾かれた。
「なるほど、変化妨害対策は万全ですか…!」
「みおん、やつらがなにかをやるまえに!」
「えぇ、何としても妨害してみせましょう!」
海音はロングレンジビームキャノンをランスモード切り替えた後、前に跳んだ。
スランも周りにリボンや槍の替え刃を浮かせて飛ぶ。
「やる気じゃのぉっ、海音さんにスラン!よし、俺も行くぞい!ナチュラルスライドォッ!」
『皆』=狸夢操士カサエルの状態を継続したため、カサエルは二度目のヘッドチェンジをした扱いとなった。条件を満たした大樹は緑の鎧を身に纏う。
「頼むぞい、カサエル!」
「やったるさぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルは海音とスランの加勢に向かう。
大樹は右手に持った葉っぱの団扇を散らし、葉っぱの妖精を出現させて連れた。
深也はデバイスを確認したが、まだ鎧を纏えそうになかった。
「俺はまだみてぇだな…。ランドレイク、スラッシュパイレーツが勿体ねぇっ。お前も加勢しな。」
「おう!」
スラッシュパイレーツランドレイクも駆け、深也は大樹と一緒にその場に残った。
「さぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルは夢瓶からジェットコースターを出し、ラドードとメフシに向かわせた。
「変化中に攻撃たぁっ、無粋な奴らだぁっ…!」
メフシはホットドッグのような身体でジェットコースターを受け止めた後、中から飛び出して分離した。
「…!? ホットドッグを脱いだ!?」
小柄な身体となったメフシは両手に赤と黄色の銃を取り出した。
「…ケチャップとマスタード…じゃないですよね、さすがに!」
深也がメフシの事をホットドッグと呼んでいるので海音にも赤と黄色の銃がそう見えてしまったようだ。
「喰らえぇっ…!」
メフシは赤と黄色のべっとりとした光線を海音に放って来た。
「当たりません!」
海音はバイザーを発光させ、高速移動で避けてみせた。
赤と黄色の光線はそのまま地面に落下してすぐになくなった。
「ぎぎゃぁっ…!」
メフシはそのまま赤と黄色の光線を連射する。
あの液体の性質がわからない以上、迂闊には当たれない。
「…! あの光線、何じゃ…?」
大樹は光線が落ちた地面を葉っぱの妖精たちに見てもらい、宙にスクリーンを浮かせて解析し始めた。
「どうだ?」
深也は大樹に近寄り、スクリーンを覗き込んだ。
「…いや、もうただの地面じゃ…。」
「地面に染み込んだ液体もなくなってんのか?」
「うむ…。もう少し調べてみるぞい。」
大樹はそう言うと葉っぱの妖精に地面を更に詳しく調べさせた。
「変化完了かぁっ…!」
メフシは尻尾を後ろに伸ばし、変化が終わったホットドッグのような身体をハンマーのように振り回した。
ホットドッグのような身体に付いたトゲトゲが更に長く、尖っていた。
「伸びろぉっ、ハンマァーッ…!」
ホットドッグに生えたトゲトゲはビームの刃を発した。
「くっ…!?」
「みおん!」
「三度傘ぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルの叫びを聞いた海音は咄嗟に近くに配置された三度傘を足場にして高くジャンプし、ビームハンマーから距離を取った。
「にゃろう!」
メフシが海音たちに気を取られている隙にスラッシュパイレーツランドレイクはラドードの元へと向かえていた。
「お前たちのヘッドチェンジを活かした臨機応変な戦い方、敵ながらに見事なり。だが…。」
「どらぁっ!」
「柔らかく!して、固まれ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは右手に持った三日月刀を振り下ろすとラドードの斧のような翼が主を包むようにして守った。
「何っ!?」
スラッシュパイレーツランドレイクの三日月刀の刀身は柔らかい斧の刃を斬り裂いた後、固まった事で剣が中に埋め込まれる形となってしまった。
「野郎…!」
「我らドラゴニアのデュラハンも状況に応じて二段階変化が可能なのだよ。」
「ランドレイク、剣への拘りを捨てろ!」
深也が叫ぶとスラッシュパイレーツランドレイクは三日月刀を手放した。
「ふむ、君たちの星では剣は闘士の誇りではないのか?」
「悪ぃな、俺は海賊だ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは左手に持った装飾銃を連射した。
「弾数が足りん!」
ラドードは口を大きく開き、ギザギザの歯をマシンガンのように発射した。
「ごわっ…!?」
「ランドレイク!?」
スラッシュパイレーツランドレイクは全身にラドードの歯が突き刺さった。
ラドードはすぐに歯を生やして補充した。
「さらばだ、昨日磨いた我が歯たちよ…。そして、初めまして…今日生まれし我が歯たち…。」
「くそったれぇっ…!すぐに虫歯に変えてやらぁっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは倒れながらも装飾銃を連射するが、ラドードは歯を動かし、斧のような羽を盾代わりにして向かって来た弾を弾いた。
「ふむ、不味いな…。」
ラドードは装飾銃の弾を噛み砕いて地面に散らした後、その場で回転。
スラッシュパイレーツランドレイクに対して追い討ちで体当たりした。
「うおぉぉぉぉぉーーーっ…!?」
スラッシュパイレーツランドレイクは飛び上がり、天井に押し付けられた。
火花の雨を地面に向かって散らす。
「ランドレイクゥッ!?」
「…!? いけない、シーラ!」
深也の叫びを聞いた海音はメフシとの交戦中にスマホの中からシーラを実体化させた。
「仲間のためにぃっ、隙を見せるぅっ…!俺たちの星じゃぁっ、それは死なぁっ…!」
メフシは海音が見せた隙を見逃さず、ホットドッグのような身体からトゲを発射させた。
「みおん!」
「大丈夫です、スラン!」
海音はバイザーを光らせ、高速移動。離れた場所で高速移動を解除してスマホを操作し、シーラにアンカーヘッドを装着させた。
「お願いします、シーラ!」
「任せて!」
アンカーシーラは錨をラドードに向かって投げる。
錨はラドードに激突した後、すぐに形状を変えてホールドし、回転を無理矢理止めた。
「それ、掛かった…!」
アンカーシーラは左手で光の鎖を巻き、ラドードを引っ張った。
「俺を引っ張るには実に華奢である!」
ラドードは背中のウイングの斧を振り回し、アンカーを粉々にした。
「きゃぁっ!?」
引っ張っていた光の鎖も千切れ、元の姿に戻ったシーラはそのまま地面に尻餅を付いた。
「無駄な事を…。」
「いや、そうでもねぇさ…!」
スラッシュパイレーツランドレイクは体重を掛けてラドードを地面に落とした。
「貴様…!」
「どらぁっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクはラドードの斧の羽に突き刺さったままの三日月刀を頭に装着した。
「うおりゃあぁぁぁぁぁーっ!!」
スラッシュパイレーツランドレイクはまるでカブトムシのように頭でラドードを持ち上げてみせた。
「おぉっ!?貴様!?」
「そのままぁっ、ドォーン!!」
スラッシュパイレーツランドレイクはラドードを地面に叩き落とした。
その衝撃で三日月刀は折れ、ランドレイクは元の姿に戻ってしまった。
「ふぅっ、元には戻っちまったが、こいつの汚ねぇ歯も俺の身体から取れて良かったぜ。」
「ランドレイク、お早く!」
「一旦戻るさぁっ!」
「お、おう!」
シーラと『皆』=狸夢操士カサエルの言葉を聞いたランドレイクは急いで後退する。
「貴様…!」
ラドードはギザギザの歯を飛ばして来たが、『皆』=狸夢操士カサエルが三つの宙に浮いた三度傘で守ってくれた。
「ならば、これで!」
ラドードは左手に持った二つの玉を斧の羽に投げ込むとまるで斧の刃が水に水滴が落ちた波紋のようになった。
「喰らえ、我が礫を!」
ラドードの斧の羽から無数の小さな隕石が発射され、まるで雨のようにランドレイクに降り注ぐ。
「おぉっ!?」
ランドレイクは自分に当たりそうな隕石だけ装飾銃で壊しながら何とか後退する。
「仲間を守ったらぁっ、隙、隙、隙ぃ〜っ…!」
「えっ…!?」
高速移動を解除した隙を狙われた海音は突然地面から現れた赤と黄色の泥人形に拘束された。
ロングレンジビームキャノンを地面に落とす。
「海音!?」「みおん!?」
深也とスランが同時に海音の名を呼んだ。
「何、ですか…!?こいつらは…!?」
海音は力を入れて何とか赤と黄色の泥人形から離れようとするが脱出は難しそうだった。
ランドレイクたちはラドードの相手をしていてこちらに来られそうにない。
「さっき撃った赤と黄色のビームは生命を得てぇっ、地面の中を泳いでいたのだぁっ…!」
「何っ…!?」
「くっ、しまったぞい…!?」
大樹は地面に染み込んだ赤と黄色の液体を分析しようとしていたが、さすがにそれが生命を得られる事までは予測しようがなかった。
メフシはホットドッグのような身体と合体し直した。
「あんな高速移動を続けていたらぁっ、身体への負担は大きいはずだぁっ…!そこを狙ったぁっ…!更にその泥人形たちは相手の体力も吸うぅっ…!」
「何、ですって…?」
海音はバイザーを何度も光らせるが、高速移動が出来ないようだった。
「さぁてぇっ、お前のような生き物の胴体はどうなっているんだぁっ…?お前もデュラハンでぇっ、顔があるのかぁっ…?」
「なっ…!?」
メフシは海音に近づいて鎧を脱がそうとしていた。
海音は頬を染めて何とか脱出しようとする。
「みおんはでゅらはんじゃないから、おむねにかおはないの!わかった!?この、へんたい!」
スランは海音の救援に駆けつけ、飛び蹴りを喰らわした。
「いやぁっ、あの腹にある小さな穴が口だとしたらぁっ…!あの鎧の下には両目があるに違いないぃっ…!」
「へんたい、へんたい、へんたい!」
スランはメフシを拒絶するように、宙に浮いた替え刃を何度も変えながら薙刀を振り回して何回も叩きつけた。
「ホットドッグな上に変態とか救いようがねぇなぁっ、おいコラァッ!」
深也は拘束された海音を助けるためにその場から走り出した。
「深也…!」
「海音、待ってろ!」
深也は少しでも早く海音の助けに入れるように右手に持ったデバイスを思いっ切り前に伸ばした。
「来い、オルカダイバー!」
深也はスマホから光の玉を出し、オルカダイバーを実体化させた。
スマホを操作し、すぐにオーシャンビッグバスターヘッドを付ける。
「オルカダイバー、しくじるなよ…!」
「大丈夫、任せてよ!」
OBオルカダイバーはオーシャンビッグバスターを構えて発射。海音ごと泥人形を水流に巻き込んだ。
水の中で二体の泥人形は海音を放した。
「海音、水の中を泳げ!」
「…! はい!」
海音はすぐに足をヒレに変えて泳ぎ、水の中から出た。
二体の泥人形は水浸しになって地面に倒れる。
「この野郎!」
深也はすぐにオルカダイバーをライトニングフィストヘッドにチェンジさせた。
「痺れて消えろ!」
LFオルカダイバーはそう言うと近くにいた赤い泥人形を右手で掴んで痺れさせ、消滅させた。
黄色い泥人形は地面に潜って姿を消す。
「大丈夫か、海音…?」
「えぇ、助かりました、深也…。」
海音は足を二本足に戻し、深也が差し出した左手を掴んで立ち上がった。
「お前、もう身体に高速移動の負担が…。」
「だ、大丈夫ですよ、まだ…。」
海音はそう言うと地面に落としたロングレンジビームキャノンを拾い、メフシと戦っているスランの救援に向かった。
「まだ病み上がりだからな、お前は…。この戦い、長引かせる訳にはいかねぇっ…!海音のためにも…!」
ラドードとメフシを倒した後、ガイアヘッドと戦う道人たちの加勢もしなくてはならない。
こんなところでもたもたしてる暇はないという焦りが深也を襲う。
ガイアヘッドの笑みが深也の脳裏に急に浮かんだ。
「…何だよ?また闇への勧誘か…?あの時みたいによ…。」
深也は水縹星海岸でのイルーダとの戦いを思い出す。
「…いいぜ、敢えて誘いに乗ってやる…!俺の覚悟、試してやろうじゃねぇか…!」
深也は既に実体化させているデストロイ・ディサイドのカードをポケットから取り出して見た。
「うおぉぉぉぉぉーっ!!」
深也は全身から邪悪なオーラを出し始める。
「んん…!?何だぁっ…!?」
「…!? 深也、まさか…!?」
メフシと海音は邪悪なオーラが発生した深也の方向を向いた。
「すまねぇっ、ランドレイク…!俺に付き合わせちまって…!行くぜ、ヘッドチェンジ!デストロイ・ディサイドォッ!」
深也はデストロイ・ディサイドのカードをデバイスにカードスラッシュした。
「ごわあぁぁぁぁぁーっ!!」
「むっ…!?」
ラドードと交戦中のランドレイクも目が赤く発光し、身体から邪悪なオーラを発生し始めた。
その光景はかつての水縹星海岸でのイルーダとの戦いの再現のようだった。




