325章Side:深也 前編 頭のないスラッシュパイレーツ
「ちっ、分断された上にこっちは二体か…!」
ラドードとメフシ相手に怒髪衝天した深也だったが、少し落ち着いて判断できるようになった。
ドルエが飛ばして来た円盤はプラズマブーメランジークヴァルやランドレイク、ダーバラや深也がぶっ壊した。どうやら円盤の数には限りがあって追加では出せないようだ。
ラドードとメフシも深也たちから少し離れた場所でこちらの様子を伺っていた。
「俺たちの敵は六匹かぁっ…!数ではこっちが不利だなぁっ…!」
「ドルエは別の奴と交戦するようだな…。何、ゴニラドアを生き残れた我らにとってたかが六匹。大した数ではない。」
「だなぁっ…!」
「あん?」
挑発して来たラドードとメフシに対し、深也はまた乗っかって苛つき始めた。
「今の所、あの妙な術を使うデュラハンと高速移動する女が厄介そうなくらいか。」
「ならぁっ、こっちも負けじと妙な戦い方と速さで競り合うだけだぁっ…!」
「良き乗り気だ。では、行くぞ!」
ラドードは両手を上に上げて高速回転し、深也たちに飛んで掛かって来た。
「来たぞい!」
「まかせて!そのかいてんをりようしちゃうから!」
大樹が深也たちに声を掛けるとスランがカラフルなリボンを四つ出現させて伸ばし、向かって来たラドードをあっという間にぐるぐる巻きにしてみせた。
「ふごっ!?」
「ナイスぐるぐる巻きです、スラン!」
海音はそう言うとぐるぐる巻きにされたラドードを蹴り上げた。
その後、すぐに追いかける形で今度は蹴り落とした。
「…!? 蹴った感触がない!?」
海音がそう驚くと地面に落ちたリボンのまとまりの中にラドードは既にいなかった。
「野郎、リボンに巻かれている間に空間移動しやがったんだ…!」
「ご名答!」
メフシの隣りの空間にヒビが入り、ラドードが右手と一体化した槍を突き出して出現。深也に向かってまた回転しながら突撃して来た。
「深也!」
「大船長ぉっ!」
海音が深也の身を案じて叫んだ後、ランドレイクがすかさずラドードを右拳でぶん殴ったが、大きな斧のような羽で受け止められた。
「ここでただの拳はあるまいに!」
「海の漢の拳はただじゃねぇんだよ!」
ランドレイクはそう言うと両手でラドードの羽を掴んだ。
「そんなに回るのが好きならまた回ってろ!」
ランドレイクは力を込めてラドードを無理矢理宙で回転させた。
「回転には回転さぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルは回転したラドードに三つの回転させた三度傘を当てて周りに火花を散らした。
「焼けなさい!」
「ぐおっ!?」
海音は回転するラドードに対してロングレンジビームキャノンを発射して吹っ飛ばした。
「誰か忘れてねぇかぁっ…!」
メフシが両手のハサミを開いたり閉じたりして走って来た。
「来やがれ、ホットドッグ野郎!」
深也はメフシがホットドッグのような見た目をしているので咄嗟にそう叫んだ。
「接近戦を仕掛けると見せかけてぇっ、射撃攻撃だぁっ…!急な雨に気をつけなぁっ…!」
メフシは高くジャンプし、下に向かって身体中に付いたトゲトゲをミサイルのようにして発射して来た。
発射した後、身体のトゲトゲはすぐに再生した。
「野郎…!」
深也と大樹は制服バリアで降って来たトゲを防ぐ。
「大丈夫かぁっ、ラドードォッ…!」
海音が発射したロングレンジビームによってラドードは地面に倒れていたが、メフシは心配している割には足で蹴り上げてラドードを無理矢理起き上がらせた。
「お前の心配は心配ではない。」
「そうだなぁっ…!」
メフシは大きなハサミでラドードを挟み、横に一回転してラドードを深也たちに向かってぶん投げた。
「さぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルは三つの三度笠を前に配置し、飛んで来たラドードを防いだ。
「大船長、今の内にヘッドチェンジを!」
「おう!」
深也はランドレイクの言葉を聞いてデバイスを操作し、カードを実体化させた。
「さっき実体化させたカードもまだあるんだかな…!」
ガイアヘッドを呼び寄せる際に現れたデストロイ・ディサイドのカードがまだ深也の手元に残っていたが、一旦ポケットの中に入れた。
「ヘッドチェンジ!スラッシュパイレーツ!」
『あなたは荒れた海の中を切り裂き進む事ができますか?』
「あたぼう!」
『承認。』
ランドレイクは海賊帽子から生えた大きな三日月刀を右手に持ち、青いロングコートを身に纏ってスラッシュパイレーツランドレイクとなった。
「…? ヘッドチェンジしたのに新しいヘッドが付いてませんよ…?」
海音の言う通り、ヘッドチェンジしたはずのランドレイクには新たな頭が付いていなかった。
「ふぬっ!」
ラドードは回転アタックを止めて三つの三度傘を次々と蹴り飛ばして散らし、右手と一体化した槍を『皆』=狸夢操士カサエルに対して突き出した。
「オラァッ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは右手に持った大きな三日月刀でラドードの槍を弾いた。
「助かったさぁっ!」
「そろそろ三分経つだろう!今の内にヘッドチェンジかビーストヘッドの延長をしてな!」
スラッシュパイレーツランドレイクはラドードと大きな三日月刀と槍で打ち合いを始めた。
「ほらよっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは左手に持った装飾銃を発射し、ラドードの体勢を崩させた。
「また!」
「吹っ飛びなさい!」
スランと海音は共に飛び蹴りを繰り出し、ラドードを蹴り飛ばした。
同時に海音はロングレンジビームキャノンのチャージと高速移動を開始し、ラドードが吹っ飛んだ先で待ち構えて蹴り上げて天井に激突させた。
ラドードが落下する前にロングレンジビームキャノンを発射し、天井に押し付けた。
「ラドードォッ!」
「人の心配してる場合かよ?」
スラッシュパイレーツランドレイクはメフシに向かって装飾銃を撃ちながら突進。
メフシも抵抗して身体のトゲを飛ばして来た。
「そんなサボテンの棘以下のものが効くものかよ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは右手に持った大きな三日月刀を振り回して向かって来るトゲを斬り落としながら突き進み、メフシの目の前に到着した。
「そらぁっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは右手に持った大きな三日月刀を振り下ろすとメフシは両手のハサミで受け止めた。
「めんどくせぇっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは右手に持った大きな三日月刀を手放して右足でメフシを三回蹴った。
「げへへっ、この剣もういらねぇっ!」
メフシはよろけながら両手のハサミで挟んでいた三日月刀を放り投げた。
「そうか?海賊だったら相手から奪った捨てないで利用するぜ?」
深也はそう言うとデバイスを操作し、メフシが捨てた三日月刀を操作して振り回した。
「…!? 捨てた剣がぁっ!?」
「ほれ、捨てるからよぉっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは装飾銃を放ちながらメフシに駆ける。
メフシはスラッシュパイレーツランドレイクの相手をするためにトゲを発射しながら三日月刀を左手のハサミで弾き飛ばした。
「もっともそのハサミじゃ奪っても持てねぇかぁっ!ジャンケンも弱ぇだろうなぁっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは高くジャンプし、メフシが捨てた三日月刀を頭に装着した。
柄の部分に付いている海賊帽の目が黄色く発光した。
「どらぁっ!」
スラッシュパイレーツランドレイクは落下しながら角となった三日月刀をメフシに向かって振り下ろした。
「何ぃっ!?剣が頭にぃっ…!?」
「頭が剣にぃっ!」
メフシは落下して来たスラッシュパイレーツランドレイクを避けたが、着地したスラッシュパイレーツランドレイクはそのまま頭突きを繰り出した。
メフシを押し飛ばしたと同時に頭を外し、右手に改めて持ち直して縦一閃を繰り出した。
「ぐがぁっ…!?」
「メフシ!」
ラドードは天井にロングレンジビームキャノンで押し付けられた後、着地して海音の高速移動に翻弄されていた。
メフシは何度も地面を跳ねてスラッシュパイレーツランドレイクから距離を取る。
「悪ぃな、最終決戦間近なんだ。てめぇらみたいな雑魚とホットドッグに苦戦してられねぇんだよ。」
「言ってくれるなぁっ…!ならばぁっ、貴様らに味合わせてやろうぉぁっ…!過酷なゴニラドアを生き残った我らの真の力をなぁっ…!」
メフシはそう言うと両手のハサミを何度も開いたり閉じたりし、全身から邪悪なオーラを発し始めた。




