325章Side:真輝 中編 ドルエ、オンステージ!
「どるどるぅ〜っ♪」
鎧を脱いで軽装化したドルエはノリノリでショルダーキーボードのようなものを弾き始める。
ショルダーキーボードのようなものからは音は出ず、展開した鎧のコントローラーになっているようで鎧からミサイルやビームが次々と発射されて弾幕が張られた。
「やれやれ、殺伐としたフィールドが急にライブ会場に早変わりってか…!」
開かれた鎧がカラフルなライトを周りを照らしまくっているので真輝はつい見たままの感想を口に出した。
「今喋ると舌を噛むぞ、真輝!」
マッシヴエッジヴァハムートは真輝を左脇に抱えながらドルエが放って来たミサイルやビームを避け、右手に持ったコンパスブレードからビームを連射する。
「くっ、こちらも負けじと反撃だ!」
司令がそう言うとデバイスを操作し、司令が足場にしているウイングユニットから二門のビームが連射された。
「さっきのフルバーストに続いて、またこのフルバースト…!」
バットチェイサーディアスもバイクを変形させて背中に背負い、低空飛行を保って無数のレーザーを発射した。
「どうやら、鎧を纏った時と軽装形態時では別々の冷却装置を積んでいるようだな…!片方が冷却中でも別の形態になれば引き続きフルバーストを放てるという訳か…!」
シルエット大将軍はバイザーに色んな文字を浮かばせてドルエの分析をしながらシルエリオンで駆けてドルエが繰り出す弾幕を避けていた。
「シルエットさん、分析能力を使って…!」
「この状況では、な…!」
シルエット大将軍は無理矢理鎧の力を引き出しているので分析能力を使える回数も限られている。
シルエット大将軍は真輝たちのために貴重な分析能力を使ってくれていた。
「ヴァエンペラはさっき、あいつらは私たちネミケーのデュラハンと似た境遇だと言っていた…!あいつはこの力で過酷な戦場を生き残れたと言うのか…!」
二日前にディアスたちが話してくれた惑星ネミケーでのサバイバルバトル。
惑星は違えど、今攻撃して来ているドルエも多くのデュラハンたちを倒し続けてあのような姿になったのかもしれない、と真輝は思った。
「よし、エッジヴァハムート!奴は冷却が済んだらまた鎧を着込み直すはずだ!」
「わかった、その隙を狙えと言うのだな?」
「おう!その時は俺を下ろしてくれて構わねぇっ!」
ドルエは未だノリノリでショルダーキーボードを弾いており、マッシヴエッジヴァハムートたちはしばらく弾幕を避けながらドルエの注意を引くために上手い事交互に射撃攻撃を加えていた。
こんな状況ながら、即興のメンバーにしてはなかなかのコンビネーションだと真輝は思えた。
「どる!」
ドルエはぴょんと両足で地面を蹴ってジャンプすると足場にしていた鎧が冷却を開始して変形し始めた。
「…! よし、奴が鎧を纏い直すぜ!エッジヴァハムート!」
「おう!」
マッシヴエッジヴァハムートは弾幕が止まった隙に下降し、真輝を下ろしてドルエに向かって飛ぶ。
「マッシヴエッジヴァハムートの速さは伊達じゃない!」
真輝はマッシヴエッジヴァハムートの速さに自信と期待、信頼を抱いていた。
マッシヴエッジヴァハムートは真輝の期待通りにドルエの前へと一気に移動した。
「どる!?」
「すまないな、お嬢さん!」
マッシヴエッジヴァハムートは左腕にコンパスブレードを装着し、ハサミのようにしてドルエを挟んだ。
「どる!?どる!?」
「直火焼きだ!」
マッシヴエッジヴァハムートはハサミで挟んだままドルエを持ち上げ、ゼロ距離でビームを乱射した後、ビームソードを作り出してそのまま刺した。
「どるぁっ!」
「おわっ!?」
変形し終えた鎧はドルエなしで動き始め、マッシヴエッジヴァハムートにタックルを喰らわして来た。
ドルエはビームソードを刺されたというのに傷ひとつなかった。
「エッジヴァハムート!」
「何の!」
マッシヴエッジヴァハムートはドルエを離してしまったが、吹っ飛びながらも一回転し、体勢を立て直してドルエに対してコンパスブレードのビームを連射した。
「どる!」
ドルエはマッシヴエッジヴァハムートに対して怒っているようだった。
ドルエがショルダーキーボードを両手に持つと鎧がまた変形し、手持ちのハンマーのようになった。
「いぃっ!?何だ、ありゃぁっ!?」
「どる!」
真輝の驚きの声と同時にドルエはハンマーを持ってマッシヴエッジヴァハムートに襲い掛かる。
ハンマーを振って向かって来るビームを次々と掻き消していく。
「おぉっ!?」
「どるぅっ!」
迫って来たドルエはハンマーを地面に叩き落とした。
マッシヴエッジヴァハムートは高く跳び上がって避ける。
ドルエはツインテールの先っぽを前に向けてビームを連射し、飛び回るマッシヴエッジヴァハムートを狙う。
「エッジヴァハムート!」
バットチェイサーディアスはビームコウモリを発射し、ドルエの放つツインテールビームを相殺した。
「すまない、あの機能までは分析出来なかった…!」
シルエット大将軍がシルエリオンと共に真輝の近くに着地して謝罪して来た。
「いや、無理もないっすよ!あんな細身の身体であんな大きなハンマーを振り回すとか予測できないって!ツインテールビームとかも!」
「そう言ってもらえると助かる!」
シルエット大将軍は斬馬刀をドルエに向かって投げた。
「どる!」
ドルエは飛んで来た斬馬刀をジャンプして避けたと同時にハンマーに変えていた鎧を着直した。
「くっ、また弾幕が来るぞ!」
「どるぅーっ!」
司令が注意するとドルエはまたビームとミサイルを連射し始めた。
シルエット大将軍は弓矢を放ち、誘導用の矢を使って地面に刺さった斬馬刀を回収した。
「あいつ、弾切れ知らずなのか…!?」
「真輝君!」
ウイングユニットに乗った司令が飛んで来たので真輝は向かって来たウイングユニットに飛び乗ってドルエのフルバーストから避けた。
フルバーストを避けている最中に三分が経ってしまい、エッジヴァハムートやディアスたちのヘッドが解除されてしまった。
ウイングユニットを司令たちに貸しているディアスは飛行能力を失ったので大地を飛び跳ねる。
「ディアス!」
司令はデバイスを操作し、ウイングユニットをディアスに向かわせ合体させた。
ウイングユニットを返した司令と真輝は落下する。
「おぉっ!?」
「来てくれ、グリムス!」
司令はスマホから光の玉を出し、グリムスを実体化させた。
グリムスは司令と真輝を抱え、地面に着地した。
「助かった、グリムス!このまま戦いに加わってくれ!」
「よし、心得た!」
司令はスマホを操作し、グリムスにマジックブレードヘッドを付けた。
マジックブレードグリムスは右手に持った剣を天高く上げ、竜巻を発生させてドルエの注意を引く。
「くっ、次のヘッドチェンジを考えねぇと…!」
真輝はスマホを操作し、ドルエに対抗できそうなヘッドを探す。
「どるぁっ!」
ドルエはエッジヴァハムートに対してお怒りの様子だった。
ドルエはエッジヴァハムートの方を向いて自分を発射した。
「じ、自分を弾にしたぁっ!?」
真輝は次のヘッドチェンジを考えていた最中に驚いてしまった。
鎧はドルエが離れてからもフルバーストを継続しており、ディアスやシルエット大将軍はエッジヴァハムートを助けに行くのが難しかった。
ドルエは飛びながらショルダーキーボードで鎧を遠隔操作していた。
「どわっ!?」
飛んで来たドルエの右拳がエッジヴァハムートにお見舞いされた。
鎧から二本の誘導レーザーが放たれ、ドルエはそれに引き寄せられて鎧の元に帰っていく。
帰りながらツインテールビームをエッジヴァハムートに連射した。
「ぐぅっ!?」
「エッジヴァハムート!」
「どるどる!」
鎧と合体し直したドルエは墜落するエッジヴァハムートに容赦なく、フルバーストを浴びせた。
エッジヴァハムートの身体からブロックノイズが発生し、乱れ始めた。
「エッジヴァハムートォッ!」
「ま、真輝君!」
真輝は必死になって走り出してしまった。
その時、真輝のスマホが発光。同時に真輝の脳内にとあるワードが思い浮かんだ。
「…! この閃きは、この煌めきは…!?間違いなく形勢逆転への煌めきだぜぃっ!」
真輝は走りながら右手に持っている発光したスマホを前に出した。
「俺はデバイス持ちじゃねぇのに気前よくありがとうな、ロードさんとやら!それと地球さん!シャイニングスライドォッ!」
真輝がそう叫ぶと仮面が出現し、顔に装着。
金色のラインが入ったエメラルドの鎧を身に纏って羽を大きく広げた。
「おぉっ、これは確かに頼もしい!道人がくれたお守り人形の金色も入ってて縁起も良いや!待ってな、エッジヴァハムート!今俺がぁぁぁぁぁーっ、行くぅっ!!」
真輝は両腕に折り畳まれたクローを展開し、爪を伸ばした。
落下するエッジヴァハムートの元へと飛んで向かった。




