325章Side:真輝 前編 荒ぶるヘビメタお嬢様VSマッシヴエッジヴァハムート
「予測していた事とは言え、見事に分断されちまったな…!」
真輝とエッジヴァハムートは道人たちや深也たちとは少し離れた場所で戦う事になった。
「結構広いもんな、ここ…!」
真輝は無数の浮遊する円盤を避けながら実験エリアの広い大地フィールドを見渡した。
「俺の近くにいるのは司令さんとディアス、シルエットさんか…!」
「こっちが一番少ないな…!まぁ、パートナーとデュラハンが離れ離れになるという最悪の事態は避けられたのは何よりか…!」
「そういうところに繋がりが感じられるのはなかなかに煌めいてるぜ…!」
真輝が状況を確認すると分断されはしたものの、ガイアヘッドの相手をする道人たち側に集えたデュラハンは多い。
ラドードとメフシは深也、ランドレイク、海音、スラン、大樹、『皆』=狸夢操士カサエルが相手をする事になったようだ。
「って事は…。」
「我々の相手はあのデカブツという訳だな…!」
司令とディアス、シルエット大将軍がこちらに合流して来た。
共に不気味に佇んでいる、巨体な身体をしたドルエと呼ばれるデュラハンを見た。
ディアスは周りの円盤散らしに放出していたビームコウモリを更に散らした。
「俺たちは今後、更なる過酷な戦いに挑む事になるんだ…!ガイアヘッドの言う通りって言うのは癪だが、あんな奴に手こずってる場合じゃねぇっ…!早く道人たちに加勢しねぇと…!」
「どる!」
ドルエは両肩のキャノン砲を前に倒し、火球を発射させて来た。
「散開!」
司令がそう言うと真輝とエッジヴァハムートは一旦司令とディアス、シルエット大将軍から離れた。
火球は大地に落ち、火花が周りに飛び散った。
司令は制服バリア、シルエット大将軍は緑色のバリアを展開した。
「あちっ!?」
真輝は熱がったが、腕に縫い付けたエンブレムが反応し、バリアが展開されて火花から守ってくれた。
「おっ、これが制服…いや、俺の場合は私服バリアか。良い性能だ…!」
真輝は傀魔怪堕での戦いではフィールドトラッカーに守られたり、遠くからエッジヴァハムートのサポートをする事しか出来なかった。
今はもう道人たちと同じバリア機能を得る事ができた。
「これから頼りにさせてもらうぜ…!」
真輝はそう言うとエンブレムが付いた右腕を軽く叩いた。
道人たちの場合はエンブレムにタッチすると私服に戻ってしまうので私服にエンブレムを縫い付けた真輝だからこそできるタッチだった。
「司令さん、シルエットさん、相手は遠距離攻撃が主体!」
「同時に鈍重!」
真輝がドルエの特徴を喋るとエッジヴァハムートも真輝と一緒に特徴を喋った。
「即ち、この状況で使うべきヘッドは…!」
「うむ!」「了解だ!」
真輝はスマホを操作し、司令はデバイスからカードを実体化させた。
シルエット大将軍はシルエリオンに乗って斬馬刀を振り回し、浮遊する円盤を蹴散らしながら同時にドルエの注意も引いてくれた。
「行くぜ、箱買いで新たにゲットできたレアフレームヘッド!速きなる一刃!神速を誇る初光となれ、マッシヴエッジヴァハムート!」
エッジヴァハムートに白い大型ウイングが足され、新たな竜の意匠が施された白の頭と鎧を身に纏った。
まるでコンパスのような形の剣を右手に持つ。
「ヘッドチェンジ!バットチェイサー!」
『あなたはバイクで漆黒の中を駆けられますか?』
「一筋の光があるならば!」
『承認。』
ディアスは自分が今付けている頭を投げ捨て、新たに現れたヘッドを両手で掴んで装着。
それから現れたコウモリ型バイクに飛び乗った。
元々付いていたウイングユニットは並走する。
マッシヴエッジヴァハムートとバットチェイサーディアス、シルエリオンに跨ったシルエット大将軍はドルエの周りをぐるぐると回った。
「どる。」
ドルエに慌てた様子はなく、冷静なように見えた。
「何だか素早い相手とは戦い慣れてるって感じだな…!」
「行くぞ!」
真輝がそう言うとマッシヴエッジヴァハムートはコンパスブレードを勢いよく前に出すと刀身が開き、ビームを連射した。
「こいつはどうやら言葉をろくに話せないようだな…。」
「ならば、こいつからヴァエンペラに関する話を聞いても無駄という訳か…!」
シルエット大将軍とバットチェイサーディアスはドルエの観察を共にした。
バットチェイサーディアスは走行中にバイクと合体し、ウイングから無数のレーザーを放った。
「どるどる!」
ドルエは無数のビーム攻撃を受けても微動だにせず、強固な装甲でビームを弾いてみせた。
「どるぅーっ!」
ドルエは前屈みになり、二門のキャノン砲についた歯車を急速回転し始め、砲門を大きく変形させた。
「…!? 気をつけろ、奴は何かギミックを発動させるつもりだ…!」
「どるぅーっ!!」
シルエット大将軍が警告を発し、真輝たちは警戒した。
ドルエは二門のキャノン砲から火球、雷球、氷球、円盤をフルバーストして来た。
「うひゃぁっ!?何つぅーっ弾幕だよっ!?」
「真輝!」
この大火力はさすがに私服バリアでも防げそうにない。
マッシヴエッジヴァハムートは真輝を抱えて上空に飛んだ。
バットチェイサーディアスはウイングをバイクに変形させて大地を駆けた。
ドルエのフルバーストを空と大地とで分断させるためだろう。
並走していたウイングユニットには司令を乗せて空に避難させていた。
「どるどるどるどるどるどるどるどる!!」
ドルエは身体を動かし、交互にフルバーストを空にいるマッシヴエッジヴァハムートとシルエット大将軍、大地にいるバットチェイサーディアスに器用にフルバーストして来た。
「あいつ、戦い慣れしてるな…!自分の弱点をカバーしてうまく立ち回ってる…!」
「しかも周りで戦っている仲間たちには当たらないように気を配ってのフルバーストだ…!」
シルエット大将軍の言葉を聞いた真輝は周りを確認するが、確かにガイアヘッドやラドードとメフシたちの戦いの邪魔にならないようにドルエはフルバーストを行っていた。
「言葉を喋れないからって馬鹿な訳じゃないって事か…!」
「だが、あの火力!そう長くは続くまい!」
真輝とシルエット大将軍が会話をするとドルエの全身に付いている小型ハッチが開き、排熱が始まった。
「よし、今かっ!?」
「いや…待つんだ、エッジヴァハムート!」
「あぁ、あからさま過ぎるな…!」
真輝の元に集った、ドルエと戦う事になった者たちは冷静さと洞察力に優れていた。
真輝とシルエット大将軍の予測通り、ドルエの身体は煙を吹きながら開いていく。
「な、何が起こる…!?」
司令はウイングユニットの上でしゃがんで下にいるドルエを見た。
「ドルゥーッ!」
開いた鎧の中からまるでヘビーメタルギタリストのような黒が貴重の鎧、スリムな身体をしたドルエが姿を見せた。
ツインテールのような頭となり、ショルダーキーボードのような武器を抱え、右手で天井を指差した。
排熱の煙がまるでアイドルのコンサート会場のようになっていた。
「じょ、女性型デュラハンだったのかよっ!?」
「いや、待て、真輝。ツッコむのはそこか?」
「く…来るぞ!」
「どるどるぅ〜っ♪」
シルエット大将軍が真輝とマッシヴエッジヴァハムートの気を締め直すとドルエはノリノリでショルダーキーボードを弾き始めた。




