321章 ガイアヘッド浄化作戦、始動!
「さて、気を引き締めないとな…!」
朝食を食べ終えた道人たちは司令室に向かっていた。
ガイアヘッド浄化作戦が始まるので通路を歩いている時点でみんなの緊張感が高まっているのがひしひしと道人には伝わって来た。
「後六日しかないんだもん…!深也とグルーナさんたちに掛かる負担のためにも…!」
「…うん、必ず成功させよう…!」
愛歌と潤奈がそう言うと更に気が引き締まった気がした。
道人は司令室の扉の前に立ち、いつも通りにフリーパスとパスワードで入室した。
椅子に座ってキーボードを叩いている司令の後ろ姿がすぐに目に入った。
「…来たな。よし、早速説明に入ろう!」
司令は椅子から立ち上がり、道人たちの方を向いた。
よく見るとスクリーンには深也とグルーナ、海音とイジャネラ、シルエット大将軍が映っていた。
博士は開発関連で忙し過ぎるからかいなかった。それは無理もない。
「作戦内容自体は昨日みんなのデバイスに送ったものの通りだ。今から確認した後、すぐに作戦を行う場所となる実験エリアに行ってもらう。」
「ちゃんと読みましたか、皆さん?特に大樹君?」
「そりゃないぞい、流咲さん!人を不真面目者みたいに!」
流咲と大樹のやり取りのおかげで道人たちはどっと笑ってしまった。
こちらの緊張を解いてくれたのだろう。
道人たちはおかげでリラックスしながら椅子に座る事ができた。
「現時刻は九時。作戦開始時刻は十時とする。作戦内容自体はシンプルだ。実験エリアでランドレイクとルレンデスが敢えてデストロイの力を発動させる。そこで釣られてやって来たガイアヘッドと交戦し、トワマリーやスランの力で浄化する…というものだ。」
作戦立案時はディアスとダーバラも加わるはずだったが、二人はデストロイ・デュラハンではなく、元シチゴウセンのデュラハン。
ディサイドした影響でヴァエンペラに与えられた力が薄まってしまったようだった。
それはそれで良い事ではあるけれど、道人は実験エリアに行ったら改めて二人に話をしてみようと思った。
「パークの防衛、及びガイアヘッドを外に逃がさないための人員配置としては主にキャルベン組とキルバ、フォンフェル弐式、潤奈ちゃん、アディション・デュラハンたちにお願いします。」
大神が別働隊に配置されるメンバーを読み上げてくれた。
「よし!外の守りは任せたわよ、潤奈!」
「…うん!」
愛歌と潤奈は互いに見つめ合い、ハイタッチした。
フォンフェル弐式と潤奈は素早さと分身能力を活かして外の守りにつく事になった。
鎧を纏えるようになったとは言え、潤奈が戦う者としてカウントされているの道人には新鮮に感じた。
「へぇっ、キルバ、早速頼られてるな。ま、頑張んな。」
「頑張るさぁ。」
「ふん、二人もしくじるなよ?」
キルバもスクリーン越しでカジートとデバイスに映るカサエルと互いにエールを送り合った。
「俺たちはガイアヘッドと戦うのと…。」
「もし、ランドレイクやルレンデスが暴走した際のストッパー役って訳じゃな。」
真輝と大樹も今作戦における自分たちの立ち位置を改めて確認した。
「でもさ、本当に来るのかな、ガイアヘッド?」
「大丈夫よ、愛歌ちゃん。あいつ、私とルレンデスのビーストヘッドの試練が発生したらすぐに来た事があるんだから。この作戦はその時の応用って訳。」
「ランドレイクがデストロイ・ディサイドした時もあいつは俺の脳内に話し掛けて来たからな。それに…。」
「それに?」
道人たちはスクリーンに映っている深也に視線を集めた。
深也は腕を組んで得意そうにしている。
「馬鹿は来る!…ってな!」
「さすが大船長!ガイアヘッドを馬鹿呼ばわりとは実にワイルドだぜ!」
深也の発した自信が込められた言葉にすぐにランドレイクは讃えてみせた。
「あははっ…。深也らしいや…。」
道人は少し呆れ気味になったが、おかげで更に緊張が解けてリラックスできた気がした。
「…お父さんも一緒に戦ってくれるんだよね?」
潤奈はスクリーンに映るシルエット大将軍に話し掛けた。
「あぁ、戦う事にもなるだろうが、私はこの鎧の機能を活かしてガイアヘッドを洞察してみようと思う。この機能がうまく使えればだが、もしかしたらヴァエンペラが伏せている情報を更に何か掴めるかもしれないからな。」
「…わかった、気をつけてね?」
「ははっ、気をつけるも何も私はこれ以上死にようがないがな。」
潤奈は外の守りに付くのでシルエット大将軍とは別行動となる。
潤奈は父であるシルエット大将軍の事を気遣ったが、シルエット大将軍は心配する娘に対して明るく振る舞った。
「私もディアスのサポートをしなければならない。その間の司令の役目は任せたぞ、虎城君。」
「はい、司令!」
「ふっ、司令は今から君だよ。」
張り切って席から立ち上がった虎城だったが、頬を染めて恥ずかしそうにしていた。
「よし、作戦確認は以上だ!みんな、実験エリアに向かおう!」
事前に作戦内容をデバイスに送ってもらえたおかげでスムーズに作戦確認は終わった。
道人たちは立ち上がって敬礼し、司令室を退室して実験エリアに向かう。
「あの、司令…じゃなくて…。」
「ははっ、この際呼びやすい方で構わんよ。私的にも君たちに卒間さんと呼ばれてもしっくり来ないだろうしな。」
司令はまるで今日は無礼講で構わないよ、と言わんばかりに笑ってくれた。
道人は気を取り直して司令と話を続ける。
「デュラハン・シップは現時点で地上世界と傀魔怪堕を何往復しているんですか?」
道人は姫やキャプテン・雷牙たちがどれくらい地上に人間を戻せたのか気になったので聞いてみた。
「今のところ三往復だよ。」
「三往復も…!姫たち、頑張ってくれてるなぁっ…!」
道人は姫やキャプテン・雷牙、魔月たちの頑張りを聞いて更にやる気が満ちて来た。
聞けて良かったと思い、また安堵もした。
「キャルベンの宇宙船も往復作業を手伝ってもらおうかと思っていたのだが、ヴァエンペラが襲来する事になってこちらの人手不足の対応をする事になったからな…。結果的な形だが、残っていてもらえて良かった。戻って来た人たちも流咲君のお父上たちがサポートしてくれている。地上世界に戻した後、それぞれの故郷にも帰してあげないといけないからね。今は海外への移動手段は停止しているから大変だよ。それと…。」
「それと?」
「…首無し鎧武者たちが仮装していたそうだ。」
「なるほど…。魔月さん、本当に俺が言ったソルワデスの考えを取り入れたんだ…。」
「意外と効果的みたいでね。彼らのおかげで故郷にスムーズに帰せているようだ。」
一体、首無し鎧武者たちはどんな仮装をさせられているのか?道人は気になって仕方なかった。
「デュラハン・シップはそう何回も往復できないからね。その内、メンテナンスに戻って来るだろう。その時に十糸姫たちの頑張りを労ってあげるといい。」
「そうですね。よし、俺たちも姫たちに負けてられないや!」
「姫たちの頑張りが無駄にならないようにあたしたちも頑張りましょ!」
道人と愛歌はみんなを鼓舞するように大きな声で意気を見せた。
道人たちは実験エリア行きのモノレールに乗り込んだ。




