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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第5部 銀河侵食帝王神ネガ・ディサイドヴァエンペラ
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315章 残された一週間でやれる事

 後一週間でヴァエンペラが地球へとやって来る事を聞かされた道人たちは輸送ヘリに乗って会社エリアまで急いで戻って来た。

 道人はガイア・ジークヴァル、愛歌はトワマリー、大樹はカサエルの意思データをデバイスに戻した。


「よし、急いで開発エリアに戻ってデュラハンたちの整備作業に入るぞ!」

「はい!」


 輸送ヘリに乗った整備員たちは道人たちを下ろした後、すぐにヘリを開発エリアへと飛び立たせた。

 ダーバラも手を振って輸送ヘリと一緒に飛んで行った。

 フォンフェル弐式とソルワデス、カジートはこの場に残った。


「潤奈、慌ただしかったが、改めてこの場で言おう。ただいま、潤奈。」

「…うん。お帰り、フォンフェル…弐式?」

「ははっ、今まで通りフォンフェルと呼んでもらって構いませんよ。」


 潤奈とフォンフェル弐式は笑みを浮かべて互いに見つめ合った。


「またあなたの護衛をできて私は誇りに思う…。これからもよろしくお願いします、潤奈。」

「…うん、よろしくね、フォンフェル…。」

「二人共、お熱い所悪いけどさ!」

「まずハ身体に異常がないカ調べないト!」


 愛歌とトワマリーにそう言われた潤奈とフォンフェル弐式は愛歌たちの方を向いて頷いた。

 道人たちは会社エリアのビルの中へと入った。


「じゃあ、愛歌と潤奈は医務室へ。俺たちは司令室に行こう。」


 道人たちはボディチェックを済ませ、愛歌と潤奈は医務室に向かい、道人たちは司令室へと向かう。

 フリーパスとパスワードを入力して扉を開き、司令の背中姿を目指して走った。


「道人、聞いたぜ!ったく、えらい事になって来たな…!」


 待機していた深也たちが道人たちの近くまで走り寄って来た。


「でも、事前にやって来る事を告知して来たところは意外にちゃんとしてるわね。…いや、地球を滅ぼす事が目的ならちゃんとしてるとは言わないか?これってテロ予告みたいなもんだし…。」

「ヴァエンペラにこっちの社会常識を当てはめてもなぁっ…。」


 グルーナのボケに対して真樹がツッコミを入れた。


「すまないな、みんな…。さっき会議を終えた後なのにまた話し合う事になる。」

「事が事ですし、仕方ないですよ。」


 道人が司令にそう返し、道人たちは近くに席に座った。

 スクリーンにはイジャネラと海音、スランが映っていた。


「すまないな、愛歌君と潤奈君にも検査を受けながら通信をしてもらう事になる。いいかな?」

「はい。」「…構いません。」


 愛歌と潤奈の声がスクリーンから聞こえて来た。まだ検査は始まっていないみたいだった。恐らくまだ用意できていないのだろう。


「話し合うと言っても時は一刻を争う…。手早く話は済ませ、ヴァエンペラの襲来の時までに備えておかないといけない…。休んでいる暇などない、落ち着かない一週間となりそうだ…。」


 司令はそう言うとまるで遠くを見るように近くの壁を見ていた。


「一週間ただヴァエンペラが来るのを待ち構えるってのもな。ヴァエンペラが来る前に少しでも敵の数を減らしておくべきじゃないか?今日だってルアンソンを撃退して向こうの戦力を減らせたしな。」

「逆に一人減った事であっちは慎重になりそうじゃぞい。」

「うん、あのシユーザーならしんちょうになるかもね。」


 深也と大樹、スランがそれぞれの意見を話して来た。


「かと言って、あんまり飛ばし過ぎてよ。いざ本命の一週間目でバッドコンディションだったらそれはそれで問題じゃないかい?」


 行動に出るべきだと主張する深也たちに対し、真輝はそれを抑制するような発言をしてくれた。


「今まで俺たちはバドスン・アータスに対して受け身である事が多かった…。だから、こっちから攻めて数を減らすという深也たちの考えは確かにありだと思う。だけど、それでスタミナ切れになったらそれはそれで駄目だから真輝さんの言い分もわかる。」


 道人は攻めと守り、二つの意見のそれぞれの利点を話した。


「幸い、こっちの戦力もあっちに負けてないと思う。強力なデュラハンたちも揃ってる。だから、攻めるチームと守るチームに分けた方がいいかもしれない。残り一週間で当日のコンディションを整えながら攻めていくのがベストだと思う。言う程簡単じゃないとは思うけど…。」


 道人は深也たちと真輝の考えを合わせた妥協案をとりあえず提示した。

 道人はさっきの戦いで気になった事があったのでみんなに話そうと思った。


「それとさっきの戦いで気になる事があったんだ。シャクヤスはあの場にいたのにハクヤとルアンソンたちに加勢しなかったんだ。奴らにとってカウンター・ディサイド・デュラハンは貴重なはずで、その内の一体がやられたって言うのにヴァエンペラは気にしてないみたいだった…。」

「やられても替えが利くから問題ない、って奴が思っている恐れがある訳か。」


 真輝が返事した言葉に道人は頷いた。


「昨日ディアスたちから聞いた過去だとヴァエンペラは故郷を救うための闘士たちを必要としていた。なのに、ヴァエンペラはその貴重な闘士たちに対してぞんざいな扱いをしている…。その違いが気になったんだ。」

「なるほどな…。」


 ガイア・ジークヴァルがデバイス越しで道人に返事をした。

 ヴァエンペラについて色々考えてみたが、まだ答えが出そうにないので道人は話題を変える事にした。


「とにかく、まず俺たちがこの一週間でやるべき事はヴァエンペラと対抗し得る力、ガイアのデュラハンを復活させる事だ。」

「でも、道とん。そのためのエネルギーが…。」

「…待って、グルーナさん。オーバーディサイドの力なら、ガイアのデュラハンを復活させられるだけの力を十分に与えられると私は思う。」

「あたしもそう思う!トワマリーと一体化した時、あたしはそれを強く感じた!あの力なら絶対やれるよ!」


 潤奈と愛歌がガイアのデュラハン復活に使うエネルギーはオーバーディサイドなら可能だと強く発言した。


「…オーバーディサイドは時間制限がないヘッドで強大な力を持ってる…。ガイアのデュラハンに力を注いだ後でも十分に戦線に加わる事ができると思う。」

「たださ、確かにオーバーディサイドの力ならできるとは思うけど…あたしとトワマリー、潤奈とフォンフェルの力だけじゃまだ足りないと思うんだよね。」

「つまり、後一週間以内に俺たちがなるべく多くのオーバーディサイドの力を発揮できるようにならないといけない訳か…。」


 道人は潤奈と愛歌の話を聞いて顎に右手を当てて考えた。


「さっきの戦いじゃ披露できなかったが、鎧は纏えるようになったし、俺とカサエルはもうできそうな気がするぞい。」

「任せるさぁ。」

「俺も傀魔階堕(かいまかいだ)との戦いでランドレイクと一体化できた。ようはあの要領で覚醒してみせりゃいいんだろ?」


 大樹と深也はオーバーディサイドの会得に自信があるようだった。


「俺も傀魔階堕(かいまかいだ)との戦いでジークヴァルたちと一体化できたから…。それを活かせれば…。」

「あぁ、お前なら絶対にやれるさ、道人。」


 ジークヴァルがデバイス越しで応援してくれたので道人は嬉しく思って口元を緩めた。


「まぁ、問題は私たちね…。」

「あぁ、全くだ…。」

「私がスランと…。」

「がったい?」


 グルーナ、司令、海音とスランはオーバーディサイドとはまだ縁がなかったので不安そうにしていた。


「ちょい待ち。オーバーディサイドの力をガイアのデュラハンに注ぐのはいいけど、その前にガイアヘッドの奴をどうにかしないとね。」


 通信越しで愛歌が待ったを掛けて来た。


「あぁ、あの野郎を先に浄化しねぇとあいつまでパワーアップしちまうからな。という事は、だ。俺が提案した作戦を先にやる必要がある訳だな。」

「よし、時間は限られている。明日にでもガイアヘッド浄化作戦を決行できるように策を練って準備しておこう。それと…流咲君、博士に通信を繋げられるか?」

「はい、司令!」


 黙々と忙しそうにモニターを見て作業していたオペレーターたちに司令は話し掛けた。

 流咲はキーボードを操作し、博士がいる研究室に繋いだ。


「何じゃい、司令?こっちは今、かなりの大忙しじゃ!全く、この一週間は地獄じゃぞい…!」


 映像に映った式地博士は忙しそうにしていた。しかし、どこか嬉しそうでもあった。

 マーシャルたちが式地博士の後ろを忙しく走り回っている姿が見えた。


「すまない、博士。以前から制作していた宇宙強襲艦の方はどうなっている?あれが完成すればこちらからバドスン・アータスの宇宙要塞に攻め込む事ができるのだが…。」

「あぁ、敵がバドスン・アータスのみになったからの。基礎フレームは出来上がっておるのじゃが…。とてもじゃないが、後一週間以内に造るというのは難しいものがあるぞ。」

「そうか…。」

「ふむ。ならば、我がキャルベンの兵たちが手を貸したらどうなる?今まではパークの守りに配置するだけじゃったが…。」


 イジャネラがキャルベンの兵を貸してくれると申し出て来た。


「全員が機械に明るいという訳ではないが、人出には十分のはずじゃ。」

「どうだ、博士?」

「確かにキャルベンの技術や兵たちの力を借りればわしらが想定していた艦よりも出来の良いものが造れるかもしれん…。いや、それ以外の作業も大助かりじゃ!お言葉に甘えてもよいか?」

「うむ、よしなに。」


 イジャネラの申し出により、キャルベンの兵たちも整備に手を貸してくれる事になった。


「艦と言えばさ、姫はどうするの?もう水晶化を解いた人たちを地上世界に運び出し始めちゃってるんじゃない?」

「そうだよな、ヴァエンペラがこれから地球に攻めて来るとなると連れ去られた人たちを地上世界に戻すのは悪手になるかもしれない…。」


 愛歌の言葉を聞いて真輝が水晶化を解いた人たちを地上世界に返した際に今後置き得るだろう危険性を話してくれた。


「だからって、このままだと食料だとか施設だとかこの世界の暮らしや経済に影響が出ちゃうからな…。」

「道人君の言う通りだ。傀魔階堕(かいまかいだ)に連れ去られてしまった人たちの人命救助を止めさせるというのは難しいものがある。」

「それで私たちが必要な人たちだけ…戻す人たちを自分たちの都合で選りすぐってしまったら、それこそ以前の傀魔階堕(かいまかいだ)の優良人種を選別している事と変わらなくなってしまうわね…。それは困りどころ…。」

「ヴァエンペラは傀魔階堕(かいまかいだ)の存在を知っているしな…。仮に水晶化を解いた人たちを傀魔階堕(かいまかいだ)に残したままにしたとしてもシェルター代わりになるとも思えないな。」


 ヴァエンペラが来るという事で傀魔階堕(かいまかいだ)に関しての事情が変わってしまった。

 道人と司令、グルーナ、真輝は傀魔階堕(かいまかいだ)に連れ去られてしまった人たちの今後に関して意見を出し合った。


「姫とキャプテン、もう傀魔階堕(かいまかいだ)に行っちゃったしね…。戻って来ないと連絡しようも…。」

「おいおい、道人の方の主!そんな時のための俺だろ?」


 カジートは右手の親指で自分を指差して来た。


「そうだった!カジートの亜空間移動能力なら姫たちにすぐに会いに行ける…!俺、姫と魔月さんたちに会いに行って話をしてみるよ!」

「道人君、すまない。君をメッセンジャーボーイにしてしまう事になるが…。」

「大丈夫!任せて下さい!」


 道人は席から立ち上がり、右拳で自分の胸をぽんと軽く叩いた。


「よし、話をまとめると我らがこの一週間でやれる事はガイアヘッドを浄化してからガイアのデュラハンを復活させる事。強襲艦が完成した暁にはこちらから打って出てバドスン・アータスの宇宙要塞を攻めて少しでも数を減らす事。そして、ヴァエンペラとの戦いに備えてコンディションを整える事。この三つが我らが今後やるべき事だ!みんな、我らのこれからの行いに地球の命運が懸っている…!勝負の一週間となる、油断せずに着実に事を進めよう!そして…!」

「はい、地球を守りましょう!俺たちみんなの手で!」


 道人がそう言うとみんなが立ち上がり、道人に対して頷いて見せた。


「よし、早速我らは明日にでもガイアヘッド浄化作戦を確実なものにするために策を練る!深也君とグルーナ君はこの場に残り、他のメンバーは英気を養って休んでいてくれ!この場は一時解散!」


 司令はそう言うとすぐに振り返り、椅子に座った。


「虎城君、大神君、流咲君、私に各エリアの現在の進行状況を教えてくれ!私も君たちの作業を手伝う!」

「「「了解です、司令!」」」


 司令やオペレーター陣の邪魔をする訳にはいかない。道人たちは深也とグルーナをこの場に残して指令室から退室した。


「じゃあ、俺、ちょっと傀魔階堕(かいまかいだ)まで行って来る!みんな、また後でね!行くよ、カジート!」

「おうよ、道人の方の主!」


 道人とカジートは愛歌たちとは別行動を取る事にし、走ってビルの外に出る事にした。

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