314章 ヴァエンペラ降臨へのカウントダウン
「全く、過去と変わらず人騒がせな奴だった…。今度は行く道を違えるなよ、ルアンソン。」
シュヴァルティアフォンフェル弐式がそう言うと頭が外れて潤奈が鎧姿に戻り、着地した。続いて潤奈は人間の姿に、フォンフェルも弐式の姿に戻る。
「これでルアンソンとは決着がついた…と思いたいけどね。」
インフィニティアトワマリーもそう言うと、フォンフェルと同じく頭が外れて鎧姿の愛歌に戻った後、人間の姿の愛歌とトワマリーの姿に戻った。
道人たちも鎧姿を解いたり、デュラハンたちもヘッドチェンジを解いたりして次々と元に戻っていく。
「二人共、大丈夫?愛歌も潤奈もデュラハンの頭になって戦っちゃってたけど…。」
道人は急いで愛歌と潤奈の元に駆け寄って二人の身体の心配をした。
愛歌と潤奈は軽く身体を動かして自身の身体の具合を確かめた。
「…うん、外傷はないし、骨にも異常はないみたい。」
「平気、平気! …と言いたいところだけど…。」
潤奈と愛歌はその場で座り込んでしまった。人の身を超えた超人的な動きをしていたのだから無理はない。
「だ、大丈夫!?」
「慣れない感覚だったから…。ちょっと疲れちゃった…。」
「…うん、さすがに身体への負担は大きいかな…。」
「すぐにパークに帰って身体検査を受けた方がいいでしょう。」
道人の背後まで歩いて来たフィールドトラッカーが愛歌と潤奈の体調の事を気遣ってくれた。
「わかったわ。」
「よし、私は潤奈を。ダーバラは愛歌を抱えてくれ。私たちならすぐにパークに戻れる。」
「あいよ。」
フォンフェル弐式は潤奈を、ダーバラは愛歌をお姫様抱っこしてみせた。
「…公園、ボロボロになっちゃったね…。」
潤奈はボロボロになった遊具などの荒らされた公園を寂しそうに見た。
「現状だと今すぐには直せないけど…大丈夫。きっと元通りの公園に戻るよ。」
「さて、パパを…ハクヤもパークに連れて行かないとね。」
愛歌がそう言うと道人たちは地面に倒れているハクヤの方を見た。大樹とカサエルが倒れているハクヤの近くにいてくれていた。
その時、ハクヤが倒れていた場所に大きな箱が急に出現した。
「なっ…!?」
道人たちが驚くと現れた箱は一瞬で消滅した。
「しまったさぁっ…!?」
「この手口は…!?」
「そう、私ですよ。」
道人たちは声が聞こえた方を急いで見ると木の上にハクヤを肩に担いだシャクヤスが姿を見せた。
「シャクヤス…!」
道人はオリハルコンスライドし直し、ガイア・ジークヴァルたちも武器を構える。
「おっと、動かないで下さい?」
シャクヤスは自分の周りに宙に浮かせたナイフをたくさん配置した。
「動くとハクヤを殺します。ハクヤを殺したらどうなるか…わかりますね?」
「くっ…!」
ハクヤが死ぬと元となった友也も死ぬ事になる。道人たちは迂闊にシャクヤスに攻撃する事ができなくなった。
「と言っても、あなた方も瞬間移動能力をお持ちのようで…。数的にも私の不利には変わりはない…。」
そう言うとシャクヤスはパークの方向を見た。
どうやらシャクヤスはこの戦いを見ていたようでカジートの亜空間移動の力を警戒しているようだった。
何故シャクヤスがこの戦いに加勢しなかったのか道人は気になった。
「…まぁ、良い…。…前世の記憶を思い出せたカウンター・ディサイド・デュラハンの貴重なサンプルケースが得られた…。…やはり、思い出せたからと言ってウェントやアレウリアスのようにはいかんようだな…。…やはり、ここにもディサイドが関係するか…。…そして、オーバーディサイドとかいう力も興味深い…!」
シャクヤスの声が急に軽い感じから重さを感じる声に変わった。
「ヴァエンペラ…!」
ヴァエンペラの分身体はガイアヘッドだけじゃない。シャクヤスもヴァエンペラの分身体の一人だ。
この場に来たのがガイアヘッドなら、自分たちでガイアヘッドを元に戻して深也とグルーナたちが危ない橋を渡らせずに済んだかもしれないのに…と道人はつい思ってしまった。
「…如何にも…。…わしはヴァエンペラ…。…ちょうどいい、お前たちに伝えておこう…。…一週間だ…。…後一週間でわしは地球へと到着する…。」
「なっ…!?」
ヴァエンペラが急に地球にやって来る日を予告して来たので道人たちは驚いた。
「い、一週間…!?」
「…ふふっ、良き驚きようだ…。…そう、地球の観察期間は終えた…。後一週間で地球は人なき採掘星と化し、我が物となる…。」
道人は昨日キルバに見せられた採掘星に変えられた後の惑星リフドーの姿を思い浮かべてしまった。
後一週間で地球もそうなるとヴァエンペラが言って来たからだ。
「そんな事…!そんな事、絶対にさせない…!俺たちがいる限り、絶対に地球を守って見せる!」
「あぁ、道人の言う通りだ!地球を舐めるなよ、ヴァエンペラ…!」
道人とガイア・ジークヴァルがそう言うとこの場にいる皆が頷き、全員でシャクヤスを睨んだ。
「…くくっ、心地よい殺気だ…!…そうだ、お前たちはこれまでわしが採掘星に変えて来た星の中でも格別な存在…!…地球…!…ここまで文明が栄えた惑星を採掘星に変えた事は今までなかった…!…この星にはディサイド・デュラハンたちもたくさん集っている…!…残り一週間でお前たちがどれだけ強くなれるか…!…このわしを楽しませてくれ…!…そして、逆行した時の流れを取り戻せたわしは新しき未来をこの手に掴むのだ…!…はっはっはっはっはっ…!」
そう言うとシャクヤスは姿を消し、急に公園は静かになった。
「あっ、パパ…!」
愛歌はさっきまでハクヤを背に担いだシャクヤスがいた場所に手を伸ばした。
「パパ…。」
ハクヤを捕える事ができるチャンスを逃してしまった愛歌は伸ばした手で握り拳を作って悔しがった。
「くっ、ヴァエンペラ…!フィールドトラッカー、流咲さんと常に通信は繋がってたよね?」
「はい、道人君!ヴァエンペラとの会話はもう司令にも伝わっています!」
「あぁ、聞こえていたぞ、道人君!博士たちにも虎城君や大神君が伝えてくれた!」
フィールドトラッカーから流咲の声が聞こえて来た後、続けて司令の声が聞こえて来た。
「ヴァエンペラが地球に来るまで後一週間…!それまでにこちらがどこまでの事ができるか…!とにかく、今後の事を考えなければならない…!戦いを終えてお疲れのところすまないが、すぐに戻って来てくれ!」
「わかりました!みんな、早くパークに戻ろう!」
ヴァエンペラの宣戦布告を聞いて気を引き締めた道人たちは急いで待機していた輸送ヘリに乗り込み、パークへと帰って行った。




