309章 堕ちた偽りの竜主 ドラゴニックルーラールアンソン
突然リミッター・デストロイ・ヘッドが発動し、発狂し出したルアンソンはみるみる内に姿を変えていく。
その間にカサエルはビーストヘッドが解除され、元の姿に戻ってしまった。
「な、何故だ?何故勝手にドラゴニックルーラーが…?」
ハクヤにとっても予想外の出来事だったようで動揺が見られた。何とかできないかとデバイスを操作している。
「はっはaッ…!ミーにぃッ、俺に支配できないものはないぃィi~~~ッ…!竜もぉっ、女王mo…自分の人生さえもぉおo~っ…!」
ルアンソンの声も段々とバグっていく。ルアンソンは竜の顔の長い首が付き、不気味な装飾が付いた黒い鎧を纏い、巨大な竜の羽を四枚生やした。
両手両足に爪が生え、断頭大剣を右手に持った禍々しい姿、ドラゴニックルーラールアンソンとなった。
「Gaaaaaッ…!Giiiiiーッ!」
「ルアンソン…。」「ルアンソン、お前は…。」
DRルアンソンはついに言葉も発せない化け物と化し、トワマリーとサスケフォンフェル弐式たちはその姿を見て憐れんだと同時に恐怖した。
「ま、まるであの時の…デストロイ化したランドレイクみたいな…!」
「し、深也とグルーナさんは本当にあの力を扱う事ができるんか…?」
愛歌と大樹も変わり果てたDRルアンソンを見て顔を引きつらせた。
カウンター・ディサイド・デュラハンがどのような造りになっているのかは詳しくはわからないが、カウンター・ディサイド・デュラハンにもヴァエンペラの力が入っているのだとしたら、大樹の言っている事は合っている。
ひょっとしたら、自分たちはガイアヘッド浄化作戦の失敗例を先に見せられているのではないか?という不安に駆られるのも無理はないかもしれない、と道人は思った。
「Kisyaaaaaーッ!!」
まるで野生の竜と化したDRルアンソンはトワマリーとサスケフォンフェル弐式に襲い掛かって来た。
「ルアンソン、哀れな…!かつて竜を飼っていた者が竜そのものになるとは…!」
サスケフォンフェル弐式が憐れむと、DRルアンソンは顔と胸の顔の両目に光を溜め始めた。
「…!? いかん…!みんな、散れ!」
サスケフォンフェル弐式がそう言うと愛歌たちは散開。DRルアンソンは四本の細いプラズマビームを発射した。
プラズマビームは近くにあったブランコを粉砕し、消し飛ばしてしまった。
「…!? 何て破壊力なの…!?」
「愛歌、早く新しイヘッドチェンジヲ!あれハもう撃たせちャ駄目!」
「わ、わかった…!」
愛歌はデバイスを操作し、カードを実体化させてすぐに読み込ませた。
「セカンドディサイドチェンジ!イモータルティア!」
『セカンド・ディサイド、承認。』
トワマリーはセカンドディサイドし、イモータルティアトワマリーへと姿を変えた。
「愛歌、あたいもそろそろヘッドチェンジを!」
「続けて!」
愛歌はトワマリーのデバイスをベルトのホルダーに付け、ダーバラのデバイスを手に取った。
すぐにカードを実体化して読み込ませた。
「ヘッドチェンジ!スカーレッドウイング!」
『あなたは罪ある翼と共に飛ぶ事ができますか?』
「当っ然!」
『承認。』
ダーバラもスカーレッドウイングダーバラに姿を変え、新たに現れた五つの鉄扇と共に飛翔。
イモータルティアトワマリー、ショットサーベルルブラン、サスケフォンフェル弐式、潤奈と共に一斉にDRルアンソンに戦いを挑んだ。
「グガァッ!」
DRルアンソンは両手に断頭大剣の持ち手を持ち、まるでハサミのような形状に変えた。
「何だい、その断頭剣は!?」
大きなSWダーバラに対して巨大なハサミを向ける。
SWダーバラは五つのビーム刃の鉄扇で向かって来るDRルアンソンを食い止め、距離を取った。
「ギヒィッ…!」
DRルアンソンはハサミとなった断頭大剣でSWダーバラを挟めなかったが、挟んだ後に断頭大剣を分離させて二刀流となった。
二つの断頭剣をショットサーベルルブランと潤奈に向かって振り回す。
「こいつ、理性を失ったにしては…!」
「…戦い方は理性的…!来るよ、ルブラン!」
DRルアンソンは右手に持った断頭剣を振り回した後に投げ、左手に持った断頭剣と合体し直させた。再び断頭大剣とし、地面に振り下ろした。
「…くっ…!」
地面に叩きつけられた断頭大剣によって飛び散った小石をショットサーベルルブランは剣で、潤奈は槍を回転させて弾く。
「正気ではないが、今のルアンソンは高い戦闘力を有している…。ディヴェロップメントフォックス、ルアンソンと連携を取れ。お前の速さや油揚げなら仮にルアンソンに狙われてもやり過ごせるはずだ。」
「御意にぃっ!」
道人たちの相手をしていたディヴェロップメントフォックスがルアンソンの援護に入った。
「あいつ…!よし、俺たちもルアンソンを相手にしよう!」
「あぁ!」
道人たちも愛歌たちと合流し、DRルアンソンとディヴェロップメントフォックスの相手をする事になった。
散り散りに戦っていたガイアグレート・ジークヴァルたちの戦いはこれで一つの戦いにまとまった。
「分身しろ、ディヴェロップメントフォックス。」
ハクヤがそう指示するとディヴェロップメントフォックスは九体の分身を作り出して十体となった。
一体はハクヤの護衛につき、九体がDRルアンソンの元へと向かう。
「姿を変えても分身能力は健在か…!」
ガイアグレート・ジークヴァルは飛びながらガイア・ブラスターを放つ。
道人の目には速過ぎて見えないが、辛うじてまとまったディヴェロップメントフォックスたちを散らせたように見えた。
「しかも、尻尾は九本のままでパワーアップしてやがる…!」
ヤジリウスの言う通り、十体のディヴェロップメントフォックスには全員尻尾が九本あったのは道人も確認できた。
ハクヤの護衛に付いているディヴェロップメントフォックスも尻尾は九本ある。
「これじゃ本体がどれかわからん…とでも言うと思ったかぁっ!今の俺なら本体がどれか分析できるぞい!」
大樹はそう言うと自分の周りにいくつものモニターを表示させた。
「ディヴェロップメントフォックス本体を見た時の妖精の視点データをチェック…!動きをチェック…!ミキシング開始…!」
大樹は背中に背負った鞄で小瓶の調合を始めた。
「調合完了!大樹のドキドキ小瓶ミサイル、発射ぁっ!」
大樹は背中からいくつもの小瓶を発射した。
「臆病者の本体はディヴェロップメントフォックスたちから遠く離れている場所…!奥にいるお前じゃぁっ!」
大樹のドキドキ小瓶ミサイルは本体のディヴェロップメントフォックスがいると思われる場所目掛けて飛んでいく。
「あれは何かしらのペイント弾と見た…!ディヴェロップメントフォックス!」
ディヴェロップメントフォックス本体は油揚げを投げ、盾代わりにして大樹のドキドキ小瓶ミサイルを受けさせた。
ハクヤの予測通り、カラフルな色のペイント弾だった。
「くっ、惜しかったぞい…!」
「どんまいさぁっ、大樹ぅっ!次は当たる当たるさぁっ!」
カサエルは大樹のドキドキ小瓶ミサイルを外した大樹の事をまるで球を当てられなかったバッターの野球選手のように励ました。
「御意にぃっ!」
ディヴェロップメントフォックスの分身の一体がカラフルに彩られた油揚げを掴んで大樹とカサエルに投げ返して来たので避けた。
「大樹、あっしたちも次のヘッドチェンジを…!」
「…いや、残り一回のヘッドチェンジは温存じゃ!今は残しておきたい…!じゃが、ヘッドチェンジ自体はする!フィールドトラッカー、頼むぞい!」
「了解。」
「じゃあ、愛歌は俺が!」
大樹の頼みを聞き入れたフィールドトラッカーはカサエルの元へとホバー移動する。
フィールドトラッカーが離れた事で、愛歌の護衛は道人が代わる事にした。
「「アディション・ユナイト!」」
フィールドトラッカーはバラバラになり、カサエルと合体。カサエルはフィールドカサエルとなってホバーで大地を駆ける。
「グガァッ!」
DRルアンソンは四つの目から放った光から大きな光弾を作り出し、カラフルな油揚げごと地面に叩きつけた。
「うおぉっ!?」
サスケフォンフェル弐式たちに地面に激突した光弾の波動が襲い掛かる。公園の地面に大穴が開いてしまった。
道人は愛歌をお姫様抱っこして急いで飛んだ。
「グゥッ、ガァァァーッ!」
DRルアンソンは吠えると一回り大きくなり、周りに黒い雷を落とし始めた。
極烈災将軍くらいの大きさになった。
「お、大きくなった…!?あいつの邪悪な力、放っておいたらまずいかもしれない…!ここからどんどん大きくなるのかも…!」
「だったラ…!ルアンソン、私が浄化させテ元に戻してあげル!その後、遠慮なク倒してあげル!」
愛歌の恐れを聞いたイモータルティアトワマリーは盾から剣を引き抜き、刀身を天にかざして青空模様に変えた。
「不浄の愛情を以っテ、あなたを斬ル!」
イモータルティアトワマリーは剣を構え、前に駆けた。
ディヴェロップメントフォックスたちがイモータルティアトワマリーの進行を妨害しようとするが、ガイアグレート・ジークヴァルたちがディヴェロップメントフォックスの相手をし、イモータルティアトワマリーは問題なく華麗にステップを踏んで突き進む。
「あれが深也たちの報告にあったトワマリーのセカンドディサイド…!」
道人は傀魔階堕に行っていたのでトワマリーがセカンドディサイドした姿は初めて見た。
暴走したDRルアンソンに対し、イモータルティアの浄化の力を使うのはガイアヘッド浄化作戦前の参考になるかもしれないと道人は思って注目した。
「スラッシュ!」
イモータルティアトワマリーは何とかDRルアンソンの腰に刀身を当てられた。
そこから光が溢れ出す。
「これで落ち着きなさイ、ルアンソン!」
「ガァッ…!」
「…!? いけない、トワマリー!すぐに離れて!」
サスケフォンフェル弐式が叫ぶとDRルアンソンの身体から出た黒いオーラはイモータルティアトワマリーの青空の刀身を汚し始めた。
「うッ…!?」
イモータルティアトワマリーはフォンフェル弐式の言葉を聞いて下がった。
サスケフォンフェル弐式とショットサーベルルブランは水の手裏剣や撒菱、ビームショットを発射してイモータルティアトワマリーが一旦下がるのを援護した。
「そんな…!?イモータルティアの浄化の力が効かない…!?」
愛歌がそう言うとイモータルティアトワマリーは剣をぶんぶん振り、纏わりついた黒いオーラを振り払った。
青空の刀身は消え、普通の刀身に戻ってしまった。
「これが効かないとなると、深也たちの考えた作戦は…!? …ううん、まだよ!」
愛歌は自分の頬を二回叩いて弱気そうな顔を無理矢理変えて見せた。
「浄化の力はもっと強める事ができるはず…!あたしとトワマリーのディサイドはそんなヤワじゃないんだから…!諦めずに行くよ、トワマリー!」
「どこまでも付き合うわヨ、愛歌!」
愛歌とイモータルティアトワマリーはまだ浄化を諦めていなかった。
イモータルティアトワマリーは刀身を再び青空に変え、剣を構え直した。




