308章 俺の目は森羅万象の眼!狐の化かしを暴け!
「さぁて、大樹さん!俺たちも狐の化かし合いをいい加減止めたいね…!」
「じゃな…!数や力はこっちの方が断然上で有利なはずなんじゃ…!」
道人は大樹の近くに寄り、リミッター解除をして姿が見えなくなったディヴェロップメントフォックスに警戒した。
姿を見せないディヴェロップメントフォックスの攻撃により、四匹の鎧狸たちは消滅させられてしまったが、『皆』=狸夢操士カサエルはまた夢瓶から出現させた。
「くっ!」
「ソル譲!」
ソルワデスが背中から攻撃を受け、地面に倒れそうになったところをすぐに反転。すぐに両肩のニードル弾を発射したが、誰にも当たずにニードル弾は青空へと飛んでいく。
「駄目だ、当たらない…!」
「いや、今ので奴は透明になっているとかじゃない事はわかったよ…!」
道人がソルワデスを励ました後、ヤジリウスがソルワデスの近くに駆け付けた。
「あの野郎、とんでもないスピードを身に付けやがったんだ…!近くの茂みが揺れているのを俺は見たぜ!」
「奴はフォンフェルと同じく、超スピードを得たのか…。だとしたら、フォンフェルが相手をするのが適任なんだけど…。」
フォンフェル弐式は現在、DSルアンソンと剣をぶつけ合っている。こちらに加勢を頼むのは難しそうだ。
「なら、大樹の言う通りここは数を活かす…!みんな、自分が持っている武器をとにかく振り回して探知レーダーみたいにするんだ!」
「奴の動きを封じ、この広い公園を疑似的に狭くさせる訳か…!わかった!」
道人の言う事を聞いたガイアグレート・ジークヴァルたちは剣を振ったり、ブレードフェザーやジグザグブーメランを飛ばして宙を動き回らせた。
フィールドトラッカーもペイント弾を撃ってサポートしてくれた。
「ふん、浅知恵だな…。」
「どわっ!?」
ハクヤがそう言うとヤジリウスが左から攻撃を受けた。道人はすぐに四つのブレードフェザーを向かわせたが空振りに終わった。
「道人、公園全体を水浸しにするという策はどうじゃ?幸い、カサエルの夢瓶やソルワデスの水の太刀、フォンフェルの水の手裏剣、フィールドトラッカーの水流…水の力を有するデュラハンはこちらにはたくさんおる!地面をびしょびしょにさせれば、奴の足跡がわかるというものじゃ!」
「なかなか良い考えだとは思うけど…!それだとこっちの動きも同時に悪くなるから、ディヴェロップメントフォックスの力を把握するまでまだ温存しておきたいな…!」
もしかしたら、リミッター解除した後もディヴェロップメントフォックスの油揚げ能力は健在かもしれない。迂闊にフィールドを変化させるのは却って危険な気が道人にはした。
現に今の大樹の策を聞いてもハクヤの表情に焦りは見えなかった。道人にはそれも気になった。
「そうか…よし!なら、俺らは普段通りにやるだけじゃ!」
「大樹?」
大樹が両手を腰に当て、一歩前に出た。道人には大樹の背中が自信に満ちているように見えた。
「奴が相手の虚をつく戦い方をするならば、俺らも虚をつく戦いをするまでじゃ!のう、カサエル?」
「もちろんさぁっ、大樹!相手を驚かせるのはあっしらの得意分野さぁっ!」
「そうじゃ!俺たちなら、可能なはずじゃぁっ!」
大樹がそう言うとデバイスが発光し始めた。
「な、何じゃ…?」
デバイスの中から光った仮面が姿を現し、大樹の前に浮いた。
「これはひょっとして…?ははっ、何じゃい…。急に普段通りじゃなくなったぞい…。」
「例え新しい力を得たとしても、あっしらはそれでも普段通りさぁっ、大樹!」
「そうじゃな!俺たちの友情は何があろうと決して変わらんぞい!おっしゃぁっ、ナチュラルスライドォッ!」
大樹がそう叫ぶと顔に仮面がついて変身し、あっという間に緑色の鎧を身に纏った。
和風なカサエルに合わせてどこか中華風の鎧で、背中に箱を背負っており、天狗の葉団扇を持った姿となった。
「大樹も鎧を…!?」
道人が驚いた後、四匹の鎧狸たちも大樹と『皆』=狸夢操士カサエルの元に集う。
『皆』=狸夢操士カサエルもいつでも能力を発揮できるように夢瓶を振っている。
「共に戦うぞい、カサエルたち!まずは奴の能力を暴く!」
「さぁっ!」
「風に舞え、探知の葉ぁっ!」
大樹が天狗の葉団扇を横に振ると十枚の葉っぱはバラバラになって宙に舞った。
飛び散った葉っぱは小型の妖精のような姿となった。
「俺がカサエルの芸を最大に発揮するために分析し、ネタ探しをしてみせる!」
大樹が葉っぱがなくなった団扇を横に振ると十ものスクリーンが一斉に宙に表示された。
どうやら宙に舞った葉っぱの妖精の視点が映し出されているようで色んな風景が映っていた。
葉っぱの妖精たちは素早く飛び回っているようで道人からスクリーンを見ると酔いそうだった。
「おっと…!?」
カジートが右側から突然攻撃を受けた。ディヴェロップメントフォックスが動きを見せた。
「動きを…見せたの!」
大樹はすぐにカジートの近くの葉っぱの妖精から映像を確認した。
道人もカジートの近くに四つのブレードフェザーを向かわせた。
「足跡はない、近くにおったのはガイアグレート・ジークヴァルにソルワデス…。奴のこれまでの能力をおさらい…。すごいぞい…!葉っぱの精たちの目は俺の視界を広げてくれる…!」
大樹は両手を動かし、十ものスクリーンを統一して一つにまとめてみせた。
「よし、森羅万象!この世の事象は俺のブレインに収めてみせる!そういう勢いじゃぁっ!」
大樹がそう言うと背中に背負った鞄が光を発し始めた。
「ミキシング開始!特殊加熱処理完了!」
大樹の背中の鞄の蓋が一斉に開く。
「ディヴェロップメントフォックスの現在位置を予測…!大樹のドキドキ小瓶ミサイル、発射ぁっ!」
大樹の背中から大樹のドキドキ小瓶ミサイルが十発発射された。
「奴の足跡はどこにもない!つまり、歩行はしていない!奴の油揚げ能力は健在で、空を舞って動いている…!じゃから、攻撃をすり抜けられる訳じゃぁっ!カジートを攻撃した後の退路を計算!」
大樹がそう言って指を鳴らすとディヴェロップメントフォックスがいると思われる付近で小瓶が一斉に割れ、大きな熱湯の玉が出来上がった。
「大樹の突然クッキングゥッ!お前さん用に調整した特別なお湯じゃ!その加熱で膨らめぇっ!」
大樹の意図を察したのかディヴェロップメントフォックスは急に姿を現し、纏っていた油揚げを脱ぎ捨てた。脱ぎ捨てられた油揚げは透明で見えなかったが普通の油揚げになった。
お湯の玉は破裂し、熱湯がディヴェロップメントフォックスがさっきいた場所周辺に飛び散った。
「と、透明になれる油揚げ!?」
「シユーザーのセンスと拘りなら、本物の油揚げに近い性質で作っていると読んだんじゃ!」
「むしゃむしゃぁっ!」
鎧狸三匹は宙に舞う油揚げを一瞬で食べてみせた。
姿を現したディヴェロップメントフォックスはジャングルジムの上に着地した。
リミッターリムーバル・アクセルブーストしたからか姿が変わっており、目を真っ赤に光らせて九本の尻尾を不気味にうねうねと動かせていた。
「まさかシユーザーの拘りが仇になるとは…。戦法を変えろ、ディヴェロップメントフォックス。仕掛けがバレたとしても問題はない。透明になれるという利点は強力で、まだ活かせるはずだ。」
ハクヤがそう言うとディヴェロップメントフォックスは一斉に九本の尻尾を剣や槍、ハンマーに変えて大樹に向かって襲い掛かって来た。
「種明かしをして来た俺を狙ってくるパターンも予測済みじゃ!」
「突然姿を現せるのはお前だけではない!」
大樹の前に亜空間が発生し、中からガイアグレート・ジークヴァルが出て来た。
突然姿を現したガイアグレート・ジークヴァルに対し、ディヴェロップメントフォックスは静止してしまった。
「喰らえ、ガイア・ブラスター!」
自分から向かって来てくれたディヴェロップメントフォックスに対してガイア・ブラスターが炸裂した。
ガイア・ブラスターが撃ち終えそうになる前にガイアグレート・ジークヴァルはカジートブレードで亜空間の裂け目を作って瞬間移動し、ディヴェロップメントフォックスの背後に出現した。
「また持ちやすい尻尾にしてくれてありがたいものだ!」
ガイア・ブラスターを浴びている最中のディヴェロップメントフォックスの槍になっている尻尾を掴んだガイアグレート・ジークヴァルはジャイアントスイングをし始めた。
「ジークヴァル!あっしがかっ飛ばすさぁっ!」
「よし!頼んだぞ、カサエル!」
ガイアグレート・ジークヴァルは夢瓶を振り終えた『皆』=狸夢操士カサエルに向かってディヴェロップメントフォックスをぶん投げた。
「やっぱり、突進力なら夢のジェットコースターさぁっ!」
『皆』=狸夢操士カサエルは夢瓶からジェットコースターを出し、ディヴェロップメントフォックスをぶっ飛ばした。
錐揉み回転しながら吹っ飛ぶディヴェロップメントフォックスは海に落ちた。
「大樹…!」
「わかってるぞい…!あいつ、受け身を取って直撃は避けた…!姿を消すためにわざと海に落ちたんじゃ…!すぐに再分析じゃ…!」
ハクヤとディヴェロップメントフォックスも馬鹿ではない。もう大樹の葉っぱの妖精による分析能力に対抗するための策を練って来るはずだ。
道人は大樹が狙われる事を考えてガードを固める事にした。
「くぅ~っ…!?」
「遅いぞ、ルアンソン!」
フォンフェル弐式の素早い斬撃に対し、DSルアンソンはもう付いていけなくなっていた。
断頭剣を弾かれてしまい、地面に膝をついた。
「嫌だ、嫌だ…!ミーは俺になるんだ…!ミーは俺になるんだぁっ…!俺になってぇっ、こいつらに今度こそ目にもの見せてやるんだぁぁぁぁぁ~っ…!!」
「ル、ルアンソン…?」
ルアンソンの全身から発する黒いオーラが強まったと同時に、ハクヤのデバイスも急に禍々しい黒いオーラを漂わせ始めた。
『リミッター・デストロイ・ヘッド、強制発動。』
「な、何…?」
ハクヤのデバイスから急に音声が鳴り響く。リミッター・デストロイ・ヘッドとはアレウリアスのクロノスフィアヘッドに値するヘッドのはずだ。
「俺はぁっ、俺になるうぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁーーーーーっ!!」
「い、一体何が…?」
愛歌たちは新たな頭が付いた後、不気味に姿を変え始めたルアンソンに対して嫌悪感を向けながら恐れていた。




