302章 黄色い狐と緑の狸
道人たちは公園にいる謎の狐のデュラハンの元に向かう前にジークヴァルやトワマリー、カサエルのボディが届くのを待っていた。
今、ジークヴァルたちのボディを乗せたヘリが開発エリアからこちらに向かっていると司令から知らせがあった。
新型フォンフェルの完成はまだもう少しかかるという知らせも来た。それを聞いた潤奈とは別行動を取る事になり、モノレールで開発エリアへと向かった。
虎城も狐のデュラハンに動きがないか常に見張ってくれている。何か動きがあったらすぐに知らせてくれる事になっている。
「あ、来た!さすが速い!」
道人がそう喜んでいるとヘリが飛んできてすぐに広場に着地した。
「待たせたね!」
ヘリと一緒に飛んできたダーバラも着地した。
道人たちは急いでヘリに乗り込んでデバイスを構え、それぞれのパートナーデュラハンの前に立った。
「ジークヴァル!」「トワマリー!」「あ、カサエル!」
「「「インストール!」」」
道人、愛歌、大樹は一斉にデバイスから光を照射し、ジークヴァル、トワマリー、カサエルも一斉に起動した。道人にもガントレットとレッグパーツが装着される。
道人たちが座席に座るとヘリも飛び立ち、あっという間に狐のデュラハンがいる公園に到着した。
道人たちは走り、狐のデュラハンの前に立つ。
「流咲隊員。フィールドトラッカー、これより愛歌隊員たちの護衛任務に入ります。」
「こちら流咲、了解です!」
フィールドトラッカーも道人たちの近くまで歩き、狐のデュラハンと相対した。
「はっはっ、来たね、来たねぇっ!愛しのトワマリーちゃん!」
「ゲッ!?やっぱリ…。」
トワマリーが嫌そうな声を上げるとハクヤを抱えたルアンソンが遠くから跳んできた。
ルアンソンが着地すると、ハクヤを地面に下ろした。
「ふっ…。」
ハクヤは笑うと自分の周りに何かの札を散らした。札は宙で静止し、ハクヤの周りを飛び回る。
「何じゃ、あれは…?」
「あれは恐らく、ディフィカルトクラーケンと戦った時にキクラゲが使ってた、パートナーが狙われないようにするための防衛装置じゃないかな…?」
大樹の疑問に道人が答えた。
「やはり来たな、愛歌。こうすれば来ると思ったぞ。」
ハクヤはそう言うと地面に散らばった愛歌と友也の思い出の絵本を踏みつけた。
「えぇ、わざわざやっすい挑発に乗って来てやったわよ…!」
愛歌は一歩前に出てハクヤを睨んだ。
「お前たち、一体何の用だ!?」
道人も一歩前に出て、苛立っている愛歌の前に右手を伸ばした。
「何、大きな作戦の前に我が因縁を断つのも悪くないと思ってな。なぁ、愛歌?」
「ミーも同じく…。愛しの王女様をこの手で早く汚したいと思いましてね…!」
「この主にして、このデュラハン…って感じじゃの!」
大樹がハクヤとルアンソンの邪悪さを一言で表して見せた。
「つまり、お前たちの単独行動って事…?」
「こいつらの単独行動好きは今に始まった事じゃないがの。」
「その通りさぁ。」
道人の言葉に続いて大樹とカサエルも言葉を付け加えた。
「てっきり怒りに身を任せて一人で突っ走って来るかと思いきや、仲間を連れてのご到着とはな。意外と冷静…いや、臆病だな、愛歌よ。」
「言ってなさいよ、このお父さんもどき!」
愛歌はそう言うとあっかんべーして見せた。
「わざわざ俺たちの拠点の近くまで来たんだ。こちらが大人数で戦いを挑める事を知っての事だよね?」
道人がそう言うとジークヴァルたちはそれぞれの武器を構えた。
「知ってたにしてはそっちが連れて来たデュラハンは二体だけみたいだけど…。」
「そのためにこのデストロイ・デュラハン、『ディヴェロップメントフォックス』を連れて来たのだ。」
「御意に。」
ハクヤが左手に持ったデストロイデバイスを構えると腕を組んだ黄色い身体のディヴェロップメントフォックスは九体に分身した。
「なっ!?分身した!?」
「しかも質量を持った分身だ!」
「御意に!」
ハクヤがそう言うとディヴェロップメントフォックスは逆手に持った刀を持って構えた。
「お前たち、うまい事分断しろ!トワマリーちゃんはミーの獲物だ…!」
「御意にぃっ!」
ルアンソンの命令を聞いたディヴェロップメントフォックスたちはジークヴァルたちに襲い掛かる。
ディヴェロップメントフォックスたちはなるべく一対一になるように攻めて来た。
ハクヤの防衛のためか、ディヴェロップメントフォックスがハクヤの近くに一体だけ残った。
ジークヴァルたちは散開し、フィールドトラッカーは道人と愛歌、大樹、ユーラの守りに入る。
「野郎!」
ヤジリウスも実体化し、両手に刀を持った。
「さぁ、こっちだこっちだ、ミーの愛しのトワマリーちゃん!」
「待ってテ、ルアンソン!今、あんたニ刃を突き立ててあげル!」
トワマリーは敢えてルアンソンの挑発に乗り、五つの小型リングを浮遊させて立ち向かった。
「行くぞ、カサエル!ヘッドチェンジじゃ!」
「了解さぁっ!」
大樹がそう言うと『皆』=狸夢操士デバイスが出現し、左手に持つ。
カサエルは三つの浮遊した三度傘でディヴェロップメントフォックスの接近を妨害する。
「ビーストデバイス、合体じゃぁっ!」
スマホと合体させたデバイスから更に『皆』=狸夢操士デバイスを合体させ、ディサイドビーストデバイスへと姿を変えた。
「ビーストヘッド・エヴォリューション!」
『ビーストヘッド、承認。狸夢操士、皆極上達師超有の装。』
大樹がディサイドビーストデバイスを前に出すと一筋の光が掃射され、前にいるカサエルの背中に当たる。
カサエルは空高く飛び、カサエルの上空に狸夢操士がドロンと煙を立てて姿を現す。
「皆極上達師超有=狸夢操士、変化!」
狸夢操士がそう叫ぶとカサエルと合体し、『皆』=狸夢操士カサエルに姿を変えた。
『皆』=狸夢操士カサエルは左手に持った夢瓶を振りながらディヴェロップメントフォックスの太刀を右手に持った杖で防ぎながら後ろに下がった。
「頼むさぁっ、狸たち!」
『皆』=狸夢操士カサエルが夢瓶のコルクを開けると、まるでジークヴァル、トワマリー、ランドレイク、フォンフェルのような鎧を着た狸たちが四匹召喚された。
「行くぞい、狸たち!狐と狸の大合戦じゃぁっ!」
「ーうん!狸の本能的に狐には負けられない…!いざいざ、出あえ出あえぇ~ぃっ!」
「御意にぃーっ!」
狸ヴァルムンクや狸装飾銃など、ディサイド・デュラハンたちのそれぞれの武器を模した武器を構えた狸たちがディヴェロップメントフォックスに突撃した。
ディヴェロップメントフォックスも狸に対して対抗意識を燃やしているようで、近寄って来る狸たちに対して逆手に持った刀を振り回しまくっていた。
「道人、私たちもヘッドチェンジだ!」
「うん、早速新しいヘッドを試す時だね!」
道人はデバイスからカードを実体化し、左手にキャッチした。
「ヘッドチェンジ!ヴァリアブルチェンジブーメラン!」
『この力は多種多様な扱いができる力。それはまるで枝分かれする分岐点のよう…。あなたはその場に適した能力を選択する事ができますか?』
「してみせる!」
『承認。』
ジークヴァルにV字アンテナの頭が付き、胸にもV字マークが付いた新たな鎧が装着される。
両腕に片方が長いV字のブーメランが装着された。両足にもブーメランが付いた膝当てパーツが装着され、ヴァリアブルチェンジブーメランジークヴァルとなった。
「さぁ、早めに固くなろうか、ジークヴァル!」
「あぁ、最速でオリハルコン化してみせよう!」
VCBジークヴァルは両腕に付いたV字を手の甲に移動させ、まるでボクサーのように拳を構えた。




