297章 ジークヴァル強化案
「うーん…。」
道人はまだ寝ておらず、腕を組んでスマホと睨めっこを続けていた。
「どうしたんだ、道人?」
「いやね、真輝さんの書いたメモはわかりやすかったんだけど…。その、深也のがね…怪文書と言うか何というか…。」
もう真輝の書いたメモは一通り目を通し、今度は深也の書いてくれたメールを見ているのだが、深也の文章は目が滑って道人は困っていた。
「ドカーンとか、擬音も使ってるし…。」
「ははっ、何だか深也らしいな。まぁ、あの場で即興で書いたんだ。仕方ない面もあるさ。」
「そうだね…。せっかく俺のために書いてくれたんだし、ちゃんと目を通さないとね…。えっと、とにかく殴る、蹴る、ボコる…。殺意増し増し…。」
道人は何とか深也の文章を時間を掛けて読み終える事ができた。
「さて、それじゃあ、お待ちかねの開封の儀だ。」
道人はそう言うとスマホを机の上に置き、デュエル・デュラハンのカードボックスのビニールを剥がし、二箱分のパックを置いた。
「このパックを開ける際の何が入ってるかわからないドキドキ感が良いんだよねぇっ…。中学生で箱買いはなかなかできないから尚更だ。」
「ほう、そうなのか?」
ソルワデスはそう言うと興味深そうに並べられたパックを見ていた。
「えっと、ソルワデスも一緒に開けてみる?」
「私も?」
「うん。こういうのは一人で開けるのも楽しいけど、大勢で開けるのも楽しいんだ。どっちが凄いレアを当てられるかでちょっとしたミニゲームみたいな事もできてさ。」
「なるほど、そんな遊びが…。わかった、やってみよう。」
道人は1BOX分のパックをソルワデスに渡した。
「うむ…。私は道人たちがパック開けするタイミングだとなかなか参加できないな…。」
「そ、そう落ち込まないで、ジークヴァル!今度改めて一緒に開けよう?」
ジークヴァルだけこちらがパックを開けているのを眺める事になるので道人は励ました。
「あ、ソルワデス。真っ白いカードが出たら教えて。それは触れると本人の情報を読み取って勝手に絵柄が付いちゃうカードなんだ。」
「なるほど、わかった。」
道人はソルワデスにパックの開け方を教え、黙々とパックを開け始めた。
「これか?白いカードというのは?」
「お、早速出たね。そう、それがレアフレーム。ちょっと待って。これ、扱いが結構デリケートなんだよね…。」
道人は机の引き出しから手袋を取り出して付け、ソルワデスからもらったレアフレームカードを一旦机に置いた。
「道人、これは?何だかすごく光っているが…。」
ソルワデスはプリズム加工のカードを見せて来た。
「えっ!?すごい!それ、パラレルレアフレームだよ!シークレットカードなんだ!1カートンに一枚出るかどうかなんだけど、まさか出るなんて…!」
道人はパラレルレアフレームを見たのは初めてだったのでついにやけながら見てしまった。
「そ、そんなにすごいものなのか…?」
「うん、最近のカードゲームとかだとイラスト違いとか、そういう希少なものを取り扱う売り方は当たり前だからね。」
「そ、そうか!私は多大に道人の役に立てたのだな…!」
「う、うん。ありがとう。これは貴重過ぎるから使い方は後で考えておこう…。」
道人はソルワデスからパラレルレアフレームカードを受け取った後、一旦机の上に置いた。
引き出しの中から使ってない写真立てを見つけたのでそれに入れておいた。
開封作業に戻るとソルワデスはうきうきとパックを開けていた。どうやらパラレルレアフレームカードを当てられた事がかなり嬉しかったようだ。
それからしばらくするとパックを全部開け終わった。レアフレームカードは全部で六枚出て来た。なかなかの封入率なんじゃないかな?と道人は思った。
「さて、問題はここからだ…。」
道人はレアフレームの一枚を自分の目の前に置いて睨めっこを始めた。
「一対一でジークヴァルが素早くオリハルコン化するには…何だかんだ深也が書いてある通り、シンプルに素早く殴る蹴るをした方がいいんだよね。接近戦を挑むって事はそれだけ自分もダメージを受ける危険も増えるって真輝さんのメモにも書いてある。だから、防御手段も備えておきたい。」
「私の肩に付いている爪にもなれて、盾にもなる装備みたいなものか?」
今は室内なのでソルワデスは肩に盾を付けてないが、例を出してくれた。
「そう、そんな感じだね。多機能なのは譲れないね。後、早くオリハルコン化できるって事は最初に使ったヘッドの分数が余る事にもなる…。それもどうにかしたいな…。」
「道人、それでも私はやはり剣を使いたいな。あまり殴る蹴るをした事がないのでな…。私たちが持っているヘッドカードだとドリルヘッドくらいか。」
「そっか。使って戦うのはジークヴァルだし、ジークヴァルの要望にはちゃんと応えたいな…。」
「そうなるといざと言う時にハーライムも使えるようなヘッドでもいいかもしれない。」
ソルワデスがハーライムが使えるようにする事も考えてくれていた。
「確かにね。結構な欲張りヘッドになるけど、レアフレームなら何とかなるかな?」
「道人はこうしたい、と言うのはないのか?」
ジークヴァルが道人に意見を求めて来た。
「そうだな…。…やっぱりブーメランかな?できたら、遠距離攻撃もできるようにしたいし…。お守り要素を入れる事にもなるしね。」
ブーメランは投げたら必ず戻って来る演技が良いもの、という道人と豪の大好きなおまじないの事だ。
「ははっ、道人らしいな。確かに我らにブーメランは外せないな。」
「よし、何だかグルーナさんの声が聞こえて来る気がする…!インスピレーションが大事ってね!紙にイメージを描いてみよう!」
道人は今まででてきた意見を取り入れたイメージを簡単な絵で描いてみた。
「こんな感じ?」
「うん、いいんじゃないか?」
「えぇ、可愛…いえ、良き効率性かと…。」
道人の絵を見てジークヴァルは納得してくれた。
ソルワデスは何故だか恥ずかしそうにしている。
「よし、じゃあ早速みんなでカードに触れようか…!俺が左手でデバイスを持つから、ジークヴァルも一緒に触れる感覚で!」
「わかった、やってみよう!」
「えぇ。」
道人とソルワデスはカードの上に手を配置した。
「二人共、今見た絵を脳内でイメージして…。いっせーので一緒に触れるよ?」
「わ、わかった…!」
道人は目を瞑っているのでわからないが、ソルワデスは何だか落ち着かない感じのように思えた。
「大丈夫、ソルワデス?何だか落ち着いてない感じだけど…。」
「いや、私はキャルベンの戦士!グゲンダルたち相手に鬼の指導をした戦士…!集中だ、集中…!」
ソルワデスはそう言った後、静かになってみせた。
「行くよ?いっせーの!」
道人とソルワデスは同時にレアフレームカードに触れた。
レアフレームカードに絵柄が付き、『ヴァリアブルチェンジブーメラン』に変わった。
「おぉっ、何だか強そう!かなり良いヘッドカードができたんじゃないかな?よし、次行こう、次!」
「み、道人、張り切るのはいいが、ちゃんと寝るんだぞ…?」
その後、道人とジークヴァル、ソルワデスは思考を重ね、今後の役に立ちそうなヘッドを考えて残りの五枚のレアフレームにも絵柄を付けた。
時刻は夜十二時。さすがに眠くなったので道人は今日はもう眠る事にした。
こうして、道人にとって色々あった長き一日がようやく終わった。




