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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第5部 銀河侵食帝王神ネガ・ディサイドヴァエンペラ
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295章 ヴァエンペラの謎

「…以上が我々の、バドスン・アータスの昔話だ…。」


 ディアスたちの口から聞かされた始まりのバドスン・アータス。それはディアスから事前に聞かされていた通り、思わず同情してしまうような内容だった。しかし、潤奈の故郷リフドーなどの犠牲になった星々の事を考えると道人は何とも言えなかった。


「そっか、ネミケーも自分たちの星の存続のために…。でも…。」


 愛歌はそう言うと木箱に座っているダーバラを見た。


「そう、いくら自分たちの故郷のためとは言え、あたいたちはあまりにも多くの犠牲を出し過ぎた…。」

「全ては故郷のため…と言うと聞こえはいいが、俺もその星で必死に生きようと、足掻こうとして、闘争本能を剥き出しにして向かって来る奴らとの戦いを心の中で楽しんでいた…。」

「こうして、君たちの仲間になった我々だが…。それで今までの罪が全て償えるとは私たちは決して思わない。戦いが終わった後の償い方は改めて考えたい。」


 ダーバラ、キャプテン・雷牙、ディアスはそれぞれの複雑な胸中を言葉にして道人たちに伝えて来た。


「よし、わかった。君たちの償いの意思、確かに聞き届けた。それにしても…だ。君たちの故郷星であるネミケーは今はどうなっているんだ?」


 司令がディアスたちの意思を受け取った後、質問をした。


「前にダジーラクから聞いた話では他星から採掘したラックシルベを輸送して存続しているようだが…。」

「自分たちで調べたりとかはできなかったのか?」

「バドスン・アータスはひたすら前に突き進むのみだったからねぇ。通った後の星が今どうなってるかはダジーラクやシユーザーからたまに聞かされる情報くらいさ。新入りのマーシャルもあまり知らされてないはずだよ。」


 司令の疑問にダーバラが答えた。


「そっか…。えっとさ、ディアスたちの言う通り、これから戦う相手の事を知るのは悪手だったかもしれないけど…。それでも事情を知る事はできたし、色んな気になる点を知る事もできた。話が聞けて良かったよ。ね、みんな?」


 道人は後ろを向いてみんなの反応を確認すると全員頷き返してくれた。


「よし、それでは改めて気になった点をみんなで話してみよう。」


 司令がそう言うと、道人たちはディアスたちに何を聞くかを考えた。


「道人、私は…何故だかアルウスという存在が気になった…。」

「私もだ、ジークヴァル。おかしいな、その者の事は知らないはずなのだが…何故だか、親しみがあるような…?不思議な感覚が…?」


 デバイス越しのガイア・ジークヴァルとソルワデスはもう故人であるアルウスの事が気になっているようだった。


「俺もだ。一体何なんだろうな、この感覚は…?」


 ヤジリウスが勝手に実体化し、道人のとなりに立った。道人のスマホも緑色に少し発光し、ハーライムも反応を示した。


「ジークヴァルたちも…?俺もだよ。アルウス、どこかで…?」

「道人…?」


 道人の脳内イメージの白紙の紙が何か反応を示しているのだが、まるで何かに妨害されているかのように思い出せないでいた。

 道人は右手で顔半分を覆った。

 潤奈とユーラが心配して道人に近寄って来た。愛歌たちも道人に目線を集める。


「アルウスと君たちが…?何だろうな…?アルウスに他星の知り合いがいた話など聞いた事はないが…?」


 ディアスたちにもわからないようだったので別の疑問点に切り替える事にした。


「俺は武人肌だったダジーラクが豹変した理由が気になるな。」


 真輝が次の疑問点を提示した。


「その点なのだが、今思い返してみれば、私がバドスン・アータスを出て行った際にシユーザーが言っていた事を思い出した。あの時はいきなりの裏切りで驚いたからな…。確か、惑星侵略の度に新たな頭をダジーラクに与えていたのはヴァエンペラの力を少しずつ与えていくためだ…と言っていた。」

「今考えると、ダジーラクだけじゃなく、あたいらもヘッドを受け取った際にヴァエンペラの力を与えられていたのかもしれないねぇ。」

「確かにな。あの頭を付けてると不思議と闘争本能が掻き立てられる感じがしたからな。だが、今は感じないんだよな。」


 ディアス、ダーバラの言葉を聞いた後、キャプテン・雷牙は腕を組んで考え始めた。


「多分、愛歌や姫、司令とディサイドした事でヴァエンペラから与えられた力が上書きされたんじゃないかな?」

「なるほど、道人の言う通りかもしれないな…。」


 道人の推測を聞いてディアスは納得してくれた。


「だが、私とアルウスはヘッドを警戒して調べた事もあったのだが、身体に有害そうな毒素のようなものは見つからなかった…。」

「ヴァエンペラの力そのものにそういった力や意味が込められていたのかもしれないさぁ。ひょっとしたら、あっしの【鉄絆法師】の能力に似たものなのかもしれないさぁ。」


 デバイス越しからカサエルが話して来た。


「つまり、カサエル。今日お前さんがキルバ相手に恐れていた【鉄絆法師】の誤った力の使い方…。それと似たような事をヴァエンペラはしていた…と言いたいんじゃな?相手に一方的に思想みたいなものを押し付けたと。」

「そういう事さぁ。」


 カサエルの意見に対して大樹が補足説明をしてくれた。


「ヴァエンペラと言えば…そうだよ、すごく重要な気になる点がある事を思い出した…!」

「何?道人?」


 道人はある事を閃いて、みんなが道人に注目した。


「傀魔階堕(かいまかいだ)でガイアヘッド…ヴァエンペラが言ってたんだ…!自分はお前よりも記憶を鮮明に覚えていて、二回目のこの世界を楽しんでるって!」

「なるほど、ヴァエンペラは記憶を持った状態で過去をやり直しているのにも関わらず、ネミケーが資材不足になる経緯を改善するつもりもなかった…と道人君は言いたいんだな?」


 道人の言葉を聞いて司令も話をまとめてみんなに伝えてくれた。


「俺が前に夢の中でリムルトさんから聞いた話だと、前の世界でもスランとダーバラ、ディアスはディサイドはしなかったけど、仲間になってたって言ってた…。」

「つまり、道人は裏切る奴が既にわかってんのに何でヴァエンペラはわざわざまた仲間に引き入れてるのか?と言いたいのか?」


 深也がそう言うと道人は強く頷いた。


「それは確かに気になるけど、同時にヴァエンペラに事前に処分されてた可能性もあったかもしれないと考えると何だかあたしゃぁっ、ぞっとするねぇ~っ…!」


 ダーバラはそう言うと恐る恐る自分を抱きしめた。


「と言うか、ライガ!あんた、傀魔階堕(かいまかいだ)で道人たちと一緒に戦った時にガイアヘッドからそれを聞かされて気づかなかったのかい?」

「俺はキャプテン・雷牙だからな。ライガではなかった。」

「はぁ?」


 ダーバラは不機嫌そうにキャプテン・雷牙に疑いの目を向けた。


「そう怖い顔すんなよ、ダーバラ。仕方ねぇだろ?俺は単にそこまで気が付かなかっただけだよ。」

「これだから、脳筋の奴は困るねぇっ…。」

「あん?」


 キャプテン・雷牙とダーバラは視線を合わせ、バチバチし始めた。


「私やスラン、ダーバラがディサイドしなかったのに君たちと協力関係となった…というのは気になるな…。何かきっかけがあったのだろうか?」

「うーん、そこまでは俺にもわからないんだよね…。ガイアフレームやリムルトさんとまた話せたらいいんだけど…。」


 道人はディアスの疑問に答えようと腕を組んで考えてみたが、どうやっても思い出せそうになかった。

 道人の脳内イメージの白紙も反応がない。

 そうしていると司令の通信機から音が鳴り出した。


「おっと、休憩時間が終わりか…。すまない、私は会社エリアに戻らないといけない。みんなも今日はもう疲れただろう?まだ気になる事はあるかもしれないが、それはまた思いつき次第、明日の会議で話すとしよう。今日はもう解散だ。家でゆっくり休むと良い。」


 司令からお開きの指示が出たので道人たちもそれに了承した。


「ディアスたち、改めて今日は話してくれてありがとう。この話し合いは無駄じゃなかった。必ず今後の戦いにも役に立ててみせるよ。」

「私たちのして来た事を考えると、とてもありがとうなんて言われる立場ではないさ…。だが、道人たちの役に立てたのなら、それは良かった…。」

「うん、これからもお互い頑張ろう!」


 道人はディアスたちにまた明日と言った後、格納庫を後にする。整備班のお兄さんもトラックの準備を終えたので帰れる事になった。

 デュラハン・パークに残る姫と真輝、潤奈とグルーナたちに挨拶をした後、道人たちを乗せたトラックはパークから走り去っていった。

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