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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第5部 銀河侵食帝王神ネガ・ディサイドヴァエンペラ
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294章Side:ディアス② ようこそ、バドスン・アータスへ!

「ここがボクたちのアジトさ。」

「ここが…?」


 ディアスは自身が助けた親子ロボットと共にダジーラクとアルウスのアジトに案内された。


「あまり大きくはないけどさ、隠れ家としては上々だよ?」


 ダジーラクとアルウスの言うアジトとは地下洞窟の事だった。

 中に入るとまるで迷路のように道が入り組んでいた。これならば侵入者が来る事もなさそうだ、とディアスは思いながら歩く。

 ようやく迷路を抜けると広い空間に出た。


「これはなかなかのものだな…。」


 洞窟の空間内は暗く、快適という程ではないが、住むだけなら問題ないくらい広かった。

 特に工事をした様子もなく、自然を活かした作りになっていた。

 あまり多くはないが、他にもデュラハンたちがいた。


「彼らも?」

「そう、同志だよ?」

「何じゃ、新入りか?」


 頭と胸の顔が竜の老人が急に話し掛けて来た。


「あ、レイドルクの爺さん。そだよ、ディアスって言うの。」

「よろしくな、若いの。」

「あ、あぁ。」


 ディアスが軽くお辞儀するとレイドルクは飲み物を飲み始めた。


「レイドルク、ちゃんと留守番やってくれてる?」

「しておるわ、安心せい。」


 レイドルクはそう言うとこの場から歩き去って行った。


「彼は?」

「彼はレイドルクの爺さん。旅人だったみたいなんだけど、ダジーラクと闘って負けた後にここに居付いちゃったんだよね。」

「な、なるほど…。」


 ディアスはアルウスから説明を聞いた後、去って行くレイドルクの背中を見た。

 その間にアルウスは親子デュラハンを見た。


「はい、今日から遠慮せずにここで暮らしていいよ?」

「…あ、ありがとうござい…ます…。」


 ディアスが会った時は生気がまるでなかった母親型デュラハンはまだ恐れを抱いてはいるが、喋れるようにはなっていた。


「キミ、悪いんだけど、この人たちを寝泊まりできる場所まで案内してくれる?」

「わかりました、アルウスさん。」


 ディアスが助けた親子デュラハンは近くを通り掛かった仲間のデュラハンに案内される事になった。

 子供型デュラハンが手を振って来たのでディアスは手を振り返した。


「ふ〜ん、キミは静か系に見えて結構根は優しいと見た!ボクたちと気が合いそうだ!」


 アルウスもディアスに合わせて子供デュラハンに手を振った。


「君たちは一体何が目的で…?」

「わしらはこの星の在り方に対し、疑問に思っていてな…。それをわしらの手で変えたいと思っている…。」

「在り方を、変える…?」


 ディアスとアルウスは後ろにいるダジーラクを見た。


「わしは強者と闘うのが好きでな…。特に手合わせする事でお互いに長所短所を見つけ、両者共に称え合えるような、そんな闘いが好きだ。だが、この星の在り方では敗者は勝者が更に強くなるためのパーツに過ぎない…。」

「闘うのが、好き…。」


 ダジーラクが好むと言っている闘いは今までディアスが見て来た好戦的なデュラハンたちとは全く違うもののように見えた。

 ダジーラクは敗者からパーツを奪ったりはしたくないような言い方だった。


「この星のデュラハンたちは生まれた時から戦う事を強要されている…。でないと、そもそも生きていけないからな…。神たるヴァエンペラが何を考えているのか、わしにはわからぬが…。わしはそんな在り方を変えたいと思っている。」

「そうそう、この星には戦う以外の生き方もきっとあるはずだよ。」

「…? 戦う以外の…?」

「そうだよ?ボクも戦うよりはこの星の鉱物だとか、食べ物の方に興味があるんだよね。」


 アルウスはそう言うと自分の足元の石を拾って何度も軽く宙に投げてはキャッチを繰り返した。


「この星は発展できる可能性を秘めているのに、それを閉ざしてしまっているようにわしには見える…。それは実に勿体無い事のようにわしには思えてな…。」

「だから、ボクとダジーラクはそんな星の在り方を変えちゃいたいって思った訳!」


 アルウスは今まで何度も投げていた石を勢いよく腕を振ってキャッチしてみせた。

 

「それが、君たちの言う同志…。」

「キミもこの世界に不満があるように見えたからさ。だから、誘った訳!」

「わしらはこの星の在り方を変えるために、神の目にも入る程の大きな存在になる必要があるのだ。わしに力を貸してくれぬか、ディアス?」


 ディアスは今まで生きてきた中でダジーラクやアルウスのような考えをしたデュラハンと会った事がなかった。

 この二人となら、今まで失って来た仲間たちのような悲しい目に遭わせてしまうデュラハンたちを減らせるかもしれない。ディアスにはそう思えた。


「…なるほど、君たちがどういった存在なのかはわかった。私も喜んで君たちの同志となろう!」

「うむ。歓迎するぞ、ディアス。」


 ダジーラクとディアスはまた握手をした。さっきも握手したが、ディアスには不思議とさっきした握手と今した握手は違うもののように思えて何だか嬉しかった。


「よし、これでバドスン・アータスはまた一歩前進できたね!」

「バドスン・アータス…?」

「わしらの組織名みたいなものだ。」

「えへへっ、ボクとダジーラクとで考えたんだ!かっこいいでしょ?いずれは惑星ネミケーにバドスン・アータスありってね!」


 アルウスはまた握手したダジーラクとディアスの手にはしゃぎながら両手を乗せて来た。


「どういう意味の言葉なんだ?聞いた事がない言葉だ…。」

 

 ディアスたちは握手を解いて両手を下ろした。


「意味はまだない。」

「あははっ、適当な言葉を組み合わせただけのものなんだな、これが…。」

「な、何だって…?」

「わしらはまだ何もしていない無名の存在…。わしらが大義を成した時、初めてこの名に意味が付くものだと思っておる…。」

「だから、名前に意味はまだない…か…。ふっ、面白い…!やるからには最高の意味を名付けよう!我ら三人で!」

「三人じゃないよ?レイドルクの爺さんたちもいるし。これからどんどん同志は増えていくんだからさ!」

「あぁ、そうだな…!」


 ディアスは不思議と、今まで感じた事のない胸の顔の高鳴りを感じていた。


「さて…早速だが、わしと手合わせ願おうか、ディアス?」

「わ、私とか?」


 突然闘いを申し込まれたのでディアスは戸惑った。

 闘い好きとは教えてもらったが、こんなに急に挑んで来るとはディアスも思わなかった。


「まぁ、入団テストみたいなものと思ってよ。こうなったダジーラクは言い出したらもう止まらないからさ?」


 アルウスはやれやれと言った風に両手を横に出した。


「ここまで生き残って来たお主の実力、見せてもらおうか?」

「やれやれ、いいだろう。付き合おう。」

「わかってるだろうけど、闘うんなら外でやってよ?二人共?」


 ダジーラクとディアスはアルウスに言われ、また迷路のような洞窟を抜けて外に出た。


「しかし、外で私たちが戦ったら荒くれデュラハンに見つからないか?」

「問題ない。こっちだ、良い場所がある。」


 ディアスはダジーラクについて行くと周りが岩で囲まれた広々とした場所に辿り着いた。


「なるほど、これなら気づかれなさそうだ。」

「では、早速…!」


 ダジーラクは鞘から剣を抜き、両手に持って構えた。


「やれやれ…。好戦的だな、君は!」


 ディアスはそう言うと鎌を出現させて右手に持つとダジーラクが斬り掛かって来た。

 ディアスはビームコウモリを辺りにばら撒くがダジーラクは剣で切り払いながら問題なく突き進んで来た。


「何たる豪快さだ…!」

「これから世界の在り方を変えようと言うんだ!皆を引っ張って行く以上、これくらいの勇猛さは必要だ!」

「違いない!」


 ディアスとダジーラクは剣と鎌を激しく打ち合った。


「どうした?お前の全力を見せてみろ!」

「ならば、ご要望に応えよう!」


 ディアスは剣と鎌をぶつけたタイミングに合わせて後ろに下がり、三枚刃の内二枚を宙に浮かせてビーム死神二体に持たせた。


「ふっ、面白い…!」


 ダジーラクは両手で剣を持ち直し、突撃して来た。


「今は亡き我が友たちよ…!目の前にいるのが、この近くのアジトにいるのが我らの新たな友たちだ…!さぁ、共に新たな道を歩もう…!」


 ディアスとダジーラクは何度も剣と鎌をぶつけ合った末に互いに倒れた。

 二人が高らかに笑いながら空を眺めている様子を遠くでアルウスが呆れながら眺めていた。

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