286章 ぶつかり合う刃
「得物が大きいのは好都合だ…!」
斧を担いで向かって来るカジートに対し、ジークヴァルはむしろオリハルコン化するには好ましいと強気な構えに出た。
ジークヴァルはカジートが振り下ろして来た斧を避けた後、右手の甲で弾いてみせた。
「もらった!」
ジークヴァルは左手に持った燃える刀身のディサイドレーヴァテインで突きを繰り出す。
「おっと!」
カジートは剣形態に変形し、上空に緊急回避した。
「おらぁっ!」
すぐに人型に戻り、そのまま斧の重量を利用して、下にいるジークヴァルに対して斧を振り下ろした。
「挟むっ!」
ジークヴァルはふた振りの剣を交差して振り下ろされた斧を受け止めてみせた。
カジートはディサイドレーヴァテインの炎と斬れ味を警戒し、交差された剣からすぐに斧を離して後ろに下がった。
ジークヴァルは追撃し、斬り掛かる。
「槍は一本じゃねぇのさ!」
カジートはジークヴァルに破壊された槍とは別の槍を出現させ、回転させてジークヴァルの接近を許さなかった。
ジークヴァルはカジートの剣形態を警戒して後ろに下がった。
「そして、突っ込む!」
カジートは剣形態に変形し、ジークヴァルに向かって突進して来た。
ジークヴァルの警戒した通りの行動をカジートが取って来た。
ジークヴァルはしゃがんで右手に持ったディサイドヴァルムンクごとアッパー攻撃を繰り出した。
ジークヴァルの右手が緑色に発光し始める。
「来たぞ、研磨の時が…!」
カジートはジークヴァルのアッパーを喰らった後、多少はよろけたがすぐに軌道修正し、上空へと飛んでジークヴァルと距離を取った。
「そらぁっ!」
カジートは空中で人型に変形し、斧と槍を合体させて大きなハルバートに変えた。
「…! 槍と斧を合体させた!?」
道人が驚いた後、カジートは新たに作り出したハルバードを振り下ろして落下して来た。
「ジークヴァル!」
「大丈夫だ、道人!」
ジークヴァルは光の刀身を伸ばしたディサイドヴァルムンクを逆手に持ち、地面を一部分抉り取って盾代わりにした。
「即興の盾じゃなぁっ!」
カジートはそのまま構わずハルバードを振り下ろし、岩を真っ二つにした。
「即興の盾でなければな!」
「なっ…!?」
ジークヴァルは岩陰に隠れて跳んでいて、カジートに急接近した。
カジートはハルバードを振り下ろした態勢で無防備になっている。
「左!」
ジークヴァルはディサイドレーヴァテインを持った左手でカジートを殴った。
左手も緑色に発光し始める。
「おっと!」
カジートは咄嗟に剣形態に変形し、ジークヴァルに斬りかかる。
ジークヴァルはふた振りの剣でカジートの斬撃を防ぎながら地面に着地した。
着地すると同時にディサイドヴァルムンクの光の刀身の発光を、ディサイドレーヴァテインの炎の刀身の炎を強めた。
「技を借りるぞ、ヤジリウス!シュナイデン!」
ジークヴァルはディサイドヴァルムンクを横に振り、光の斬撃を飛ばした。
「斬撃かよっ!?」
剣形態のカジートは飛んで来た光の斬撃を受け止めてみせた。
「追撃のシュナイデン!」
次にジークヴァルは炎の刀身を纏わせたディサイドレーヴァテインを横に振って炎の斬撃を飛ばし、剣形態のカジートは光と炎の罰の字斬撃を受け止める事になった。
「へっ、俺から見たらまだまだだな、ジークヴァル!振りが甘いぜ!」
ヤジリウスが勝手に実体化して道人とユーラの横に立った。
「ヤ、ヤジリウス、この戦いは…。」
「わーってるよ。いいじゃねぇか、観戦くらい。」
道人はまぁ、いいかと思いつつ視線をカジートへと戻した。
「俺の剣なら!」
カジートは宙に浮かせた細身の剣二本で空を斬り、亜空間を作り出してその中に光と炎の斬撃を吸収させた。
「ふぅっ…!危ねぇっ、危ねぇっ…!次からは斬撃にも気をつけねぇとな…!」
カジートが人型に変形したと同時にジークヴァルも三分経って斬撃強化ヘッドが解除された。
「厄介な頭がなくなった…!これは好機と見たぜ!」
カジートはハルバードを両手に持ち、振り下ろした。
ジークヴァルはふた振りの剣を構えるが、カジートは落下の最中に細身の剣で亜空間を作り出し、その中に入って消えた。
「…!? 消えた!?気をつけて、ジークヴァル!」
道人とユーラは周りを警戒し、カジートがどこに亜空間を出現させて現れるかを警戒した。
「と見せかけてただいまぁっ!」
カジートはジークヴァルの頭上に亜空間を出現させて姿を現し、時間差攻撃でハルバードを振り下ろした。
「うおっ!?」
ジークヴァルは咄嗟に後ろに跳んで避けたが、バランスを崩してしまった。
「もらったぁっ!」
カジートは瞬時に剣形態に変形して無防備なジークヴァルに向かって突撃する。
「ジークヴァル!」
道人はレッグパーツの馬力を用いて前に跳び、ジークヴァルに飛びつく形で押し倒した。おかげで無理矢理回避させる事ができ、カジートは通り過ぎて行った。
「道人!?」
「ひ、冷や冷やさせおって…!」
愛歌と姫たちも道人の咄嗟の行動を見て驚いていた。
「すまない、道人!助かった!」
「また来るよ!」
剣形態のカジートは旋回して戻って来た。
「このっ!」
道人は起き上がり、メタリー・ルナブーメランをカジートに向かって投げるが弾き返された。
「ジークヴァル、借りるよ!」
「道人!?」
道人はディサイドヴァルムンクを両手に持って構え、飛んで来るカジートに対して刃を向けた。
「大丈夫!ヴァルムンクの扱い方は俺もわかってるから!」
道人はジークヴァルのデュラハン・ハートが砕けてしまった際にヴァルムンクを一時期使っていた事があったので握りもしっくりと来た。
「このぉっ!」
道人は制服バリアと共にヴァルムンクでカジートの刃を受け止めた。
「あんた、ほとんど生身なのに…!?へっ、結構ガッツあるじゃねぇか!」
「まぁね…!」
道人は何とかカジートの刃を受け止められたが、長くは持ちそうにないので冷や汗を掻き始めた。
「私の道人を傷ものにしたら許しません!」
「うおっ!?」
ユーラはメタリー・ルナブーメランを振り回してカジートの側面から攻撃を仕掛けた。
ユーラの攻撃はカジートにとっても意外だったのかバランスを崩した。
「ナイスだ、ユーラ!おかげでぇっ!」
起き上がったジークヴァルはカジートの側面に回り込み、右・左と蹴りを喰らわした。
ジークヴァルの両足が緑色に発光し始める。
カジートは一旦人型になって地面に着地した後、また剣形態になって上空に飛んだ。
「よし、これなら!研磨拡大!」
ジークヴァルは全身を発光させ、ガイア・ジークヴァルに姿を変えた。
ディサイドヴァルムンクとディサイドレーヴァテインもオリハルコン化する。
「ユ、ユーラ…。ありがとう。」
「ふふっ、お互い無茶をしてしまいましたね。」
ユーラが右手を差し伸べて来たので道人はユーラの右手を掴んで立ち上がった。
「お、驚いたぜ…。そこの子、細身の割に結構パワーあんのな…。」
人間と姿が全く変わらないので忘れがちだが、ユーラの身体はオリハルコンでできているのでかなり頑丈なのだ。それなりにパワーもある。
「まぁ、戦いの前に道人とその子も戦っていいと俺が言ったからな。良い連携だったぜ。さて、それがオリハルコン化ってやつか。」
カジートは姿が変わったガイア・ジークヴァルを改めて見た。
「ここから更に変わりますよ!」
ユーラはそう言うと全身から光を放ち、ユードラ・オリファルゴンに姿を変えた。
幻影のユーラとリムルトが姿を現す。
『私は過去!例え、この身朽ち果てようとも!』
「私は今!例え、人の身ではなくとも!」
「『過去と現在!今、一つとなりて大事な人たちと未来を歩む!』」
ガイア・ジークヴァルとユードラ・オリファルゴンは合体し、ガイアグレート・ジークヴァルに姿を変えた。
道人は続けてデバイスからカードを二枚実体化する。
「ユーラにストレートブーメラン、リムルトさんにジグザグブーメラン!」
ガイアグレート・ジークヴァルの右肩がストレートブーメラン、左肩がジグザグブーメランが装備された竜の頭に変化した。
「よし、オリハルコンスライド!」
ガイアグレート・ジークヴァルがこれで三回ヘッドチェンジしたので道人も共にオリハルコンの鎧を身に纏って姿を変えた。
メタリー・ルナブレードを手に取り、オリハルコン化させた。
「へぇっ、こいつはすげぇっ!三人共、いきなりがらりと姿を変えちまいやがった!戦いが長引けば長引く程、あんたたちは強くなっていく訳か…!シアーナだ、シアーナ…!よっしゃっ、こっから面白くなりそうだ…!」
カジートはジークヴァルたちのパワーアップした姿を見てはしゃぎ気味になり、ハルバードを回転させた後に肩に抱えた。




