285章 カジート流 亜空間殺法
「さぁ、遠慮なしで掛かって来な!あんたたちの実力を見せてみろ!」
ジークヴァルとカジートの試合が始まった。
試合とは言え、道人は実戦の感覚でまだ戦えないユーラを守りながらジークヴァルのサポートに回る事にした。
「まずは早くオリハルコン化しないといけないけど…!」
ジークヴァルは両手に持った剣でカジートに斬り掛かり、カジートもそれに応戦して両手に持った細身の剣で打ち合いを始めた。
相手が一体だけだとジークヴァルのオリハルコン化は時間が掛かってしまうのが難点だ。
しかもオリハルコン化のために拳や蹴りも交えて闘わないといけないので二刀流が新たな基本となったジークヴァルとは少し噛み合わせが良くないかもしれない。
今後のために対策用のヘッドが必要かもしれないと道人は思った。
「行くぜ、槍ぃっ!」
カジートはジークヴァルと剣を打ち合っている最中に両手に持った剣を宙に投げて後ろに下がり、新たに槍を出現させて両手に持った。
「そらそらぁっ!」
カジートが槍で連続突きを繰り出しながら、宙に浮かせた細身の剣もカジートの槍の突きに動きを合わせて何度も突き刺しに来た。
「あの剣、キルバと同じ仕様か…!」
カジートの持つ両手剣はキルバの追尾する槍と同じで追尾能力がありそうだと道人は推理した。
「何の!」
ジークヴァルは剣だけでなく、手の甲や蹴りも使って向かって来る突き攻撃を弾いてみせ、まるで剣の舞のようにカジートの攻撃を防いでいた。
「うまい、あれなら…!」
相手の連続突きを利用した良い手をしてくれてジークヴァルの咄嗟の起点に対して道人はつい右手でガッツポーズを取った。
『道人、私にこの新たなふた振りの剣の可能性を確かめられるようなヘッドを頼めるか?』
カジートと交戦中のジークヴァルから念話が届いた。
『試してみたいんだ、私たちの新たな決心で新生したこの剣を…!』
「わかった!存分に発揮してよ、ジークヴァル!」
道人はジークヴァルが望むヘッドカードを実体化し、デバイスにカードを読み込ませた。
「ヘッドチェンジ!斬撃強化ヘッド!」
『あなたが一刀の元、断ち斬りたいものは何ですか?』
「俺たちの前に立ちはだかる壁!」
「限界を超えちゃいましょう!」
『承認。』
ユーラも一緒に返答してしまったが、問題なく承認された。
ジークヴァルはカジートと闘いながら姿を変え、新たに付けられた頭部の目を光らせながらマントをひらつかせた。
斬撃強化ヘッドのおかげでディサイドヴァルムンクもディサイドレーヴァテインもシンプルに切れ味が上がった。
「まずはヴァルムンク!」
ジークヴァルは一旦ディサイドレーヴァテインを宙に投げると、両手でディサイドヴァルムンクを持った。
ヴァルムンクの刃を光の刀身へと変える。
「シュナイデン!」
ジークヴァルは左逆袈裟斬りで細身の剣の一本を折りに掛かる。
「おっと、まずいな…!」
カジートがそう言うと咄嗟に槍を伸ばして剣を守った。
ディサイドヴァルムンクの切れ味は増していて槍は真っ二つになった。
「…? 槍を犠牲にしてまで剣を守った…?ジークヴァル!」
「あぁ!その剣、何か大事な役割があるな?」
ジークヴァルは宙に投げたディサイドレーヴァテインをキャッチし、すぐに炎の刀身に変えた。
「スラッシュ!」
「くっ!」
逆手に持ったディサイドレーヴァテインで剣を攻撃しようとしたが、またも槍で防いで来た。
「熱っ!?」
槍はディサイドレーヴァテインの炎ですぐに槍全体に燃え広がった。
カジートは槍を捨て、一旦後ろに下がった。
「下がらせない!」
ジークヴァルは光と炎の刀身を伸ばし、カジートに対して縦一閃を繰り出した。
「へっ!」
その時だった。宙に浮いた剣が時空を切り裂き、亜空間の切れ目を作り出した。
カジートはその切れ目の中に入って姿を消し、ジークヴァルの縦一閃を消えて避けた。
「…!? 消えた!?」
ジークヴァルはふた振りの剣を即座に構え直し、周りを見た。
「何よ、あいつ!?」
「どうやら私と似たようなワープ能力をお持ちのようですね…。」
愛歌が驚いた後、マーシャルが冷静に話した。愛歌たちも消えたカジートがどこから現れるのか周りを見渡した。
「…! ジークヴァル、右だ!」
道人はジークヴァルの右に亜空間が出現したのに気付けた。
「そらぁっ!」
いきなり亜空間から姿を現したカジートは両手に持った大きな斧で斬り掛かって来た。
ジークヴァルは交差したふた振りの剣で振り下ろされた斧を挟む形で止めた。
「斬れ味が上がったって言っても、俺が持ち得る武器の中で最大の硬度を持つこの斧は容易く斬れないだろう!」
「どうかな?」
ジークヴァルはそう言うとふた振りの剣の光と炎を強めて見せた。
「前言撤回!あまり長時間のぶつかり合いはまずいな…!」
カジートはそう言うとジークヴァルの持つ剣から斧を遠ざけ、後ろに下がる。
宙に浮いた細身の剣が亜空間の切れ目を作り出してまた亜空間の切れ目の中に消えた。
「また消えた…!」
道人は亜空間から攻撃して来るカジートを警戒。
カジートが攻撃して来る事をジークヴァルに教えるためにまた周りを確認する。
「ですが、カジートがリフドーから地球まであっという間に来られた理由がわかりました!」
ユーラの言う通り、カジートは自分の持っている剣で時空を斬り裂き、亜空間に入って移動する事ができるのがわかった。
それがリフドーから地球まであっという間に来られた理由だともわかった。
「忠告しとくけど、カジートを追って亜空間に入るのはやめた方がいいよ?下手したら帰って来られなくなるからね。」
「自分は亜空間を用い、敵が使うのは許さない。それがあいつの厄介なところだ。」
マリグアとキルバが道人とジークヴァルの身を気遣って忠告してくれた。
どの道、亜空間の入り口は鍵穴のような形であまり大きくなく、すぐに閉じてしまうのでこちらからは入れそうにはない。
「まだだ…!カジートの超距離移動の秘密はまだある気がする…!」
「ジークヴァル、後ろです!」
道人がカジートに秘められた力について考えている間にユーラがジークヴァルに亜空間が現れた場所を教えてくれた。
「そらぁっ!」
亜空間から出て来たカジートは人型ではなく、大きな剣のような形に変形してジークヴァルに向かって突撃して来た。
「変形機構があるのか…!?」
ジークヴァルは咄嗟にわざと後ろに倒れて飛んで来た剣形態のカジートを通過させた。
ついででオリハルコン化のために寝転がりながら両足でカジートを強く蹴った。
「やるな!」
カジートはくるくる回りながら剣形態から人型に戻って地面に着地した。
「危なかった…!ありがとう、ユーラ!」
起き上がったジークヴァルがユーラにお礼を言うとユーラはVサインで返した。
「いいね、いいねぇっ!何ともシアーナだ!単体の強さだけでなく、団結力もあると来た!俺の見る目に狂いはなかったと自負するぜ!さぁ、更に盛り上げて行こうか!」
カジートはそう言うと右肩に斧を背負い、ジークヴァルに斬り掛かった。




