284章 選定の刃カジート
実体を持ってこの場に現れたカジートはカサエルVSキルバに続けて道人とジークヴァルに闘いを挑んで来た。
「ちょっと!もう決着はついたの!ダイデュード様もキルバも納得したの!あんたが今からやろうとしている事は消化試合なの!わかる?」
「んな事知るか!キルバを倒す程の奴らなら、尚更手合わせ願いたいぜ…!」
カジートはマリグアにそう言いながら道人とジークヴァルを見た。
「無駄だ、マリグア…。こいつは一度言い出したら聞かん…。」
グルーナから借りたディスククリーナーヘッドカードの力でカサエルは回復能力が使え、キルバは傷一つない姿となって治療を終えた。
「ど、どうするさぁっ、道人?ジークヴァル?」
カサエルが道人とジークヴァルに心配そうに尋ねて来た。
「えっと、何で俺たちを指名して来たの?」
道人はカジートに指名理由を聞いてみた。
「一目でわかったからだよ、あんたたちがあのメンバーをまとめる統率者だってな!さっきの銀髪の嬢ちゃんとのやり取りもそうだ、あんたらがきっかけで仲間たちが活き活きとし出したからな!」
「さ、さっきのやり取りをそんな風に捉えるんだ…。」
道人と遠くにいる潤奈が頬を染めて照れていた。
カサエルが申し訳なさそうにしている。
「それにあんたたち、今日何かを得て来たな?内から溢れる力強さを感じるぜ…!」
「…! それは…。」
カジートはどうやら、ディサイドヴァルムンクとディサイドレーヴァテインの力を感じ取っているようだった。
「道人だったな?特にあんただ。俺はここにあり、って感じでどっしりと構えた感じだ。己の存在に対してかなり自信に満ちている感じでもあるぜ。実にシアーナだぜ…!」
「シアーナ?」
「あんたらの世界で言うと手強そうとか、素晴らしいとか、一言で相手の事を讃えられる言葉さ。俺はこの言葉を気に入っていてね。さて、どうだい?この選定、受けてくれるか?最高に盛り上がる消化試合にしようぜ…!」
「選定…?」
カジートの対戦動機を知った道人はジークヴァルを見た。
「道人、私はこの決闘の申し出を受けてもいいと思う。新たに手に入れた二振りの剣の力をまだ存分に試せてはいないからな。」
ジークヴァルはカジートとの決闘を受けて立つ気でいた。
「ジークヴァル…。うん、わかった!君の賛成は俺にとっても賛成だ!」
道人の言葉にジークヴァルが頷くと二人でカジートを見た。
「うし、決まりだな!キルバ、お前の仇もついでに討ってやるぜ!」
「別に討つ必要はないし、お前に討ってもらおうとも思わん…。」
「そうかい!」
カジートはそう言うと仲間たちから離れて歩いて行った。
「あ、ちょっと!もう!ダイデュード様、いいんですか!?」
「あれは一度言い出したら言う事を聞かん…。好きにやらせてやれ。」
「もぉ〜っ…!」
マリグアはご機嫌斜めで離れていくカジートの背中を見た。
道人とジークヴァルは一度仲間たちの元に向かう事にした。
「気をつけろよ、道人。あいつ、レング・ザ・ダイから三分も経たずにこの地球までやって来られたんだろ?とんでもない移動速度の持ち主だぜ…。」
真っ先に真輝が道人に助言をしてくれた。
「さっき、マリグアは『とんだ』って言ってたわよね?」
「言っておったの。そのまま飛んで来たという意味なのか、それとも…。」
「時空を超えて跳んで来たって可能性が高いでしょうね、掛かった時間的に…。」
愛歌、姫、ユーラがこれからカジートと闘う道人とジークヴァルのために相手の能力を考察してくれた。
「まぁ、とにかく!やるんなら、とことんやって来なさい、道とん!クリーナーディスクヘッドはまだ一回分残ってるからどっちも回復もできるし!」
「負けんじゃねぇぞ、道人!」
「うん、任せてよ!」
グルーナと深也の応援のおかげで道人は闘気を高める事ができた。
「あのカジートとかいう奴のせいで俺らへの労いの言葉がどっか行ったぞい…。」
「た、大樹…!」
大樹が両目から流した涙をまるで振り子のように揺らしていた。
「大樹とカサエルはよく頑張ってくれたよ!実質レング・ザ・ダイの協力を得られたものだし…!」
「そ、そうよ!大樹とカサエルは間違いなくこの試合の立役者よ!いよ、羨ましいね!」
「くぅ〜っ…!道人、愛歌ちゃん、ありがとうの…!」
道人と愛歌の励ましによって大樹は何とか機嫌を直してくれた。
「すまないな、道人君…。君まで闘う事になってしまって…。」
シルエット大将軍が潤奈を連れて道人に詫びて来た。
「いえ、気にしないで下さい。お父…シルエット大将軍。俺としても今後のためにレング・ザ・ダイの事を知っておきたいんで…。」
「…気をつけてね、道人?」
「うん!頑張って来るよ、潤奈!」
シルエット大将軍の娘を思う視線が怖いので道人はそそくさとジークヴァルの元まで早歩きで向かう。
「道人、頑張りましょう!」
ユーラが道人の右腕にしがみついて来た。
「…あ、そうだ。闘う前にユーラが闘いに参加できるか聞いてみないとね…。」
「あ、そうですね…。私、一対一だとどういう扱いなんでしょうか?」
ユーラと会話をしながら道人はジークヴァルの元まで歩いた。
ジークヴァルもデュラハンたちから激励を受けていた。
「本当は俺が闘いたいところだが!」
「相手からのご指名なら仕方ねぇよな。やるからには勝てよ?」
「あぁ、任せてくれ。」
ランドレイクとキャプテン・雷牙がジークヴァルにプレッシャーを与える。
「どんな闘いでも美しさを発揮するのを忘れるんじゃないよ?」
「美しいジークヴァル…?うーン…?いヤ、綺麗な白い鎧姿だけれどモ…。」
「ははっ、勝つだけでなく、美しさも要求されるのか。それは手厳しいな。」
ダーバラとトワマリーの声援にもジークヴァルは応えてみせた。
「多分、カジートもキルバと同じくらい強いさぁ。気をつけるさぁ。」
「なかなかの波動の持ち主だ。強い事は間違いないだろう。」
「あぁ、肝に銘じておこう。」
カサエルとエッジヴァハムートの助言もジークヴァルは聞き入れた。
ジークヴァルは振り返り、道人とユーラが歩いて来たのに気づいた。
「おっと、カジートを待たせては悪いな。それでは行くか、道人、ユーラ。」
「うん!」
「お気をつけて、三人共。」
ソルワデスに見送られ、道人とジークヴァル、ユーラはカジートの前に立った。
「よし、来たな。ん?何だ?女連れか?」
「私はジークヴァルの合体要員です!」
「えっとね…。」
両手を腰に当てて胸を張るユーラ。
道人は闘う前に自身の持つ力をカジートに説明した。
「なるほどな。まぁ、将たるもの、多数の力を持つ事は悪くない。勝つためだからな。別に一対多でも俺は構わねぇが…そうだな…。俺がリクエストしていいか?道人、ユーラは参戦していいぜ?ただハーライム、ヤジリウス、ソルワデスは今回はなしで行こうか。」
「わかった。」
道人はカジートの提案を受け入れた。
「後、もう一人…何とも言えない力を感じるが…?」
「えっ?」
道人は何の事かと一瞬思ったが、腰に付けているアトランティスのデュラハンのデバイスを見た。
「ま、そいつは何か訳ありと見た。この闘いには関係なさそうだな。よし、じゃあ、始めようか…!」
ジークヴァルは右手にディサイドヴァルムンク、左手にディサイドレーヴァテインを持ち、カジートは両手に細身の剣を持って互いに構えた。
道人もメタリー・ルナブレードを出現させ、右手に持った。




