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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第5部 銀河侵食帝王神ネガ・ディサイドヴァエンペラ
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281章 守りと攻めに対する、守りとはったり

 大樹とカサエルによる、今後の未来が左右されるレング・ザ・ダイとの試合が始まった。

 カサエルは三度傘を出現させ、三つ宙に展開した。

 キルバも続いて二本の槍を出現させて宙に浮かせた。


「戦う前に聞きたいんじゃが、ここは神殿の中に見えるが俺らが元いた実験エリアでいいんじゃな?」


 大樹はそうキルバに質問しながら全体が緑色の神殿を見渡した。


「あぁ、この神殿は盾が投影した映像に過ぎない。なので、神殿を破壊するかもしれないという事は気にしなくていい。」

「わかったぞい。頼んだぞい、狸!」

「ーうん!」


 狸はそう言うと地面から高くジャンプし、煙を立てながら一回転。

 デバイスに変形し、大樹が左手で掴んだ。


「ビーストデバイス、合体じゃぁっ!」


 スマホと合体させたデバイスから更に皆極(かいきょく)上達(じょうたつ)師超有(しこう)=狸夢操士(たぬきむそうし)デバイスの大きな葉っぱを縦に二つ開いた後、下からはめ込んで合体。ディサイドビーストデバイスへと姿を変えた。


「ビーストヘッド・エヴォリューションじゃぁっ!!」

『ビーストヘッド、承認。狸夢操士、皆極上達師超有の装(よそおい)。』


 ディサイドビーストデバイスを前に出すと一筋の光が掃射され、前にいるカサエルの背中に当たる。カサエルは空高く飛び、カサエルの上空に狸夢操士がドロンと煙を立てて姿を現す。


「皆極上達師超有=狸夢操士、変化!」


 狸夢操士がそう叫ぶとカサエルと合体を開始し、皆極上達師超有=狸夢操士カサエルに姿を変えた。


「さて、まずはビーストヘッドで様子見じゃ…!」

「どう出て来るさぁっ…!?」


 『皆』=狸夢操士カサエルはいつでも攻撃に入れるように左手に持った夢瓶を振り始めた。


「いいぞ、大樹…!そう、まずは相手の力量を見極めてからだ…!」


 道人は大樹の慎重な対応を誉めた。

 今のところ、道人たちから見たキルバは槍と盾、ビームと投影の使い手という事しかわからないからだ。

 道人はガッツポーズをしたいところだったが、道人の右腕はユーラ、左腕は姫がしがみ付いてるのでできない。


「では、こちらから行かせてもらおう。」


 キルバはそう言うと二本の槍を飛ばして来た。


「効かないさぁっ!」


 『皆』=狸夢操士カサエルは飛んで来た二本の槍を二つの三度傘で防いで見せた。


「一度弾かれただけではな。」


 二本の槍は追尾式なので三度傘に弾かれても問題なく、『皆』=狸夢操士カサエルに向かっていく。


「カサエルには指一本触れさせんぞい!」


 大樹はディサイドビーストデバイスを操作し、『皆』=狸夢操士カサエルと共に三度傘を操作して何度も飛んで来る槍を弾いてみせた。


「何だかあの子たち、キルバと戦い方が似てるわね。」

「確かにな。あいつ自身、それを感じ取ったからこその指名なのかもな。」


 マリグアとカジートは『皆』=狸夢操士カサエルと大樹の戦い方を見てそう話していた。


「けどまぁ、守りに関してはレング・ザ・ダイでキルバの右に出る者はいないぜ?」


 カジートがそう言うとキルバは盾を右手に持って構え、盾に光を集めて投げた。

 盾は猛回転しながら『皆』=狸夢操士カサエルに向かって突き進む。


「槍二本に更に盾を投げた…!カサエル!」

「わかってるさぁっ、大樹ぅっ!」


 『皆』=狸夢操士カサエルは三度傘を足場にして高くジャンプした。

 飛び回る盾は槍二本を弾いて無理矢理方向を変えてさせて『皆』=狸夢操士カサエルがいた場所に向かって行った。


「やはりそういう跳ね返し技か!こっちは道人の使うバインドブーメランを見てるんでお見通しじゃい!」

「ほう?」


 キルバは盾を静止させて赤い拡散ビームを上空にいる『皆』=狸夢操士カサエルに向かって放った。


「…!? あの盾、ビームを拡散させる事もできるんかっ!?」

「さ、さすがに拡散ビームは予想してなかったさぁっ!?でもさぁっ!」


 『皆』=狸夢操士カサエルは夢瓶のコルクを開けてジェットコースターを出現させて飛ばした。

 ジェットコースターは『皆』=狸夢操士カサエルに向かって来るビームを弾き飛ばした。

 その間に『皆』=狸夢操士カサエルは三度傘を引き寄せて飛んで来るビームを弾いてみせた。


「ビームの雨を突き進むさぁっ、あっしらの夢のジェットコースター!」

「拡散ビームじゃジェットコースターは壊せんぞい!」


 ジェットコースターは拡散ビームを物ともせずに突き進み、キルバに向かって飛んで行く。


「言っただろう?盾にはスペアがあると。」


 キルバは新たな盾を出現させて光をチャージさせ、背後に跳んで配置した盾から距離を置いた。

 光った盾はジェットコースターの体当たりを受けた後、大きめのビームを発射した。


「その乗り物は鉱物よりは柔い、幻想の類いで構成された物と見た。故に我が光は問題なく貫き進む…!」


 キルバがそう言うとビームはジェットコースターを真っ二つに切り裂きながら突き進んだ。


「くっ、俺たちの夢のジェットコースターが…!?」


 大樹は地面に着地できた『皆』=狸夢操士カサエルと共に真っ二つになって霧散するジェットコースターを眺めた。

 『皆』=狸夢操士カサエルは次の攻撃に備えて夢瓶を振る。


「盾が二つに…!何だかカサエルと戦い方が似とるの…!」

「ただ、あっちの方が攻撃的な性能をしているさぁっ!」


 キルバは宙に浮いた二つの盾を自分の近くに戻し、時計回りに回転させた。

 盾に光をチャージしている隙に槍二本を飛ばして来た。


「これじゃあ、あ奴に全く近寄れん…!槍と盾…そう、矛盾とは思えない扱い方じゃ!」


 大樹はディサイドビーストデバイスを操作してまた向かって来る槍二本を三度傘で防いでいく。


「こんな状況で上手い事言うさぁっ、大樹ぅっ!」

「奴は守りと攻め、力強く堅実な戦い方をする奴だとわかったぞい…!」

「大樹、ならさぁっ…!」

「おう!俺らは得意の守りとはったりで立ち向かうのみじゃぁっ!」


 大樹と『皆』=狸夢操士カサエルが会話をしていると二つの盾から拡散ビームが放たれた。


「わわっ!?あ…あっしらを守れぇっ、夢の盾ぇっ!」


 慌てた『皆』=狸夢操士カサエルが夢瓶から出したのは抱き合っている大きな道人と潤奈だった。

 アンブレラ・アンダーランドで道人たちが遊んだ際の思い出映像が盾となって二本の槍を弾き、拡散ビームを霧散させて見せた。

 何故か道人と潤奈にも流れ弾で精神ダメージを与えられた。


「どわぁっ!?」


 道人はつい変な声が出た。


「…道人、何じゃあれは?」


 姫がそう言うと愛歌とユーラも道人の事を不安そうな目で見た。

 これが修羅場というやつなのか?と道人は思うと同時に焦り出す。


「ち、違うって…!?あれは狸の夢の世界の出来事であって…!狸のビーストヘッドの試練の遊園地で…!?」

「うむ、我らが愛する道人の事じゃ。何か訳があったのは察する事はできる…。」

「うん、それはそう。試練の話は道人に前から聞いてたけどさ…。何だかさ、うん…。」


 こうしている間にも道人と潤奈が楽しそうにしている映像が流れていて、愛歌は何とも言えない顔をしていた。

 タイミング悪く、今はまだ倒れている道人の上に潤奈が乗っかっている場面が映っている。


「ふむ、夢の中で潤奈と…ですか?」

「いや、だからね…!」

「…〜っ…!」


 興味深そうにユーラがそう聞いて来ると道人は何とか恥ずかしそうにしている潤奈も守れるような言葉を必死で思いつこうと横に出した両手を激しく上下させる。


「…ふむ。前にも聞いたが、道人君は娘とどういったご関係で?」

「えっ!?あなたも話に加わりますか、お父さん!?」

「お義父さん…?」

「そうか、お父さんの呼び方に関する文化はリフドーも共通なのかぁ〜っ…!」


 シルエット大将軍も話に入って来て道人は追い詰められ、天を仰いだ。

 マーシャルは相変わらずシルエット大将軍に背を向けたままだが、何故かガッツポーズを取っているのはわかった。

 深也とグルーナは静かに笑っていて、真輝が困り顔で二人を見ていた。


「違うのよ、みんな!確かにあの時は道人君と潤奈ちゃんは結構距離感近かったけど、あくまでも狸君を楽しませる一環だったのよ!」

「大神さん、擁護になってますか、それっ!?」


 かつて共に狸の試練を受けた大神がドローン越しで道人を擁護してくれたが無理そうだった。


「すまない、道人…。お前を擁護したいところなんだが、私は狸の試練の時は外にいた…。」

「い、いいんだよ、ジークヴァル!気にしないで!ありがとね!気持ちは嬉しい!大神さんもね…!」


 道人はしょんぼりしているジークヴァルを励ましてあげた。庇おうとしてくれたジークヴァルと大神の気持ちは嬉しかった。


「愛歌、姫、待って下さい。ここは今度、狸に頼んで個人個人で道人と夢の遊園地とやらで遊ばせてもらうとしましょう。それでイーブンというやつです。」

「イーブンなのだろうか、それ…?」


 道人はユーラの出した妥協案に即座に突っ込みを入れた。


「わかったわ。それならカサエルのビーストヘッドの強化にも繋がるしね。」

「意義なしじゃ。」

「何か助かったけど、同時に何か多重デートの約束もされた…。」


 道人は糸目で涙を流しながら『皆』=狸夢操士カサエルを見た。


「ご、ごめんさ、道人…!つい…!」

「くっ、やはり羨ましいぞ、道人…!」


 大樹は目を積って右拳を震わせた。


「ははっ、試合中だってのに何だか面白いな、あいつら!あの堅物のキルバもお困りだ!」


 カジートは道人たちを見て楽しそうにした後、キルバを見た。


「何だ、これは…?どういった攻撃なんだ…?」


 キルバは向かって来る道人と潤奈の思い出映像をとりあえず盾や拡散ビームで防いでいた。


「はっはっ…!よし、決めた…!」


 カジートはそう言うと背を向けて歩き始めた。


「…? どこ行くの?カジート?」

「何、ちょっとな。」


 カジートはマリグアにそう言うと去って行った。


「み、見るさ、大樹!キルバが動揺しているさぁっ!」

「よ…よし、この戦い方が俺らの真骨頂!攻撃力で劣るなら、こっちは予測不能の攻撃で立ち向かうぞい!」


 大樹と話し合った『皆』=狸夢操士カサエルはまた夢瓶を振り始めた。

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