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ディサイド・デュラハン  作者: 星川レオ
第5部 銀河侵食帝王神ネガ・ディサイドヴァエンペラ
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279章 レング・ザ・ダイの管理王 ダイデュード

 道人たちは自分たちの前に新たに現れたレング・ザ・ダイの三体のデュラハンに対して警戒心を強めた。

 キルバは高く跳び、新たに現れた三体の近くに着地した。


「ってか、ガラス無くなってる?何で?」


 愛歌の言う通り、道人たちは防犯ガラス越しでキルバの話を聞いていたはずなのに防犯ガラスがなくなっていた。


「更に、ってかだけど…場所も変わってるし?どうなってんの?」


 グルーナも愛歌に続いて突っ込み、周りをきょろきょろした。

 驚くくらい全てが緑色の石で造られた神殿のような場所に道人たちはいた。


「と、とにかく大樹たちの近くに!」


 道人がそう言うと皆は頷き、大樹たちの元まで走った。


「…お父さん!」


 潤奈はシルエット大将軍に駆け寄って抱き付いた。


「ジュンナ…。」

「…お父さん、良かった…!生きててくれて…!」

「ふっ、私はこの鎧に憑依した死者なのだがな…。生きてはいないのだが…まぁ、この際いいか…。」


 シルエット大将軍は泣いている潤奈を優しく抱き返した。


「へぇっ、良いねぇっ!親子の感動の対面ってやつか!シアーナだぜ、シアーナ!」


 ダイデュードの右隣に立っていて、横に長くて大きな羽のような肩をした青い鎧のデュラハンが潤奈とシルエット大将軍の再会を茶化して来たように感じられて道人たちは少し不愉快に思った。

 

「こらっ、カジート!そんな言い方したら失礼でしょっ!」


 ダイディードの左隣に立っていて、細身のピンク色の鎧の女性型デュラハンがカジートの態度に怒った。


「いいじゃねぇかよ、マリグア?生者がいなくなったリフドーじゃ、もう見られない光景だぜ?」

「またそんな言い方!このノンデリカシー!ごめんなさいね、リフドーの生き残りの方。うちのカジートが…!」


 マリグアはまるで三つ編みのような二本の髪飾りを揺らしながら道人たちにぺこぺこ頭を下げて来た。


「キルバもよ!あなたもカジートに負けじと静か系ノンデリカシーなんだからっ!失礼はなかったでしょうね?」

「めっちゃ失礼だったぞい…。」

「あぁ、潤奈ちゃんとマーシャルちゃんに謝って欲しいくらいだぜ。」


 大樹と真輝がそう言うとマリグアは更に頭をぺこぺこ下げて来た。


「おいおい、マリグアちゃんよ。毎度言ってるけどさ、俺をこんな融通利かない冷徹野郎と一緒にすんなよ?俺、こいつと比べたら自重してる方だぜ?」

「どの口が言う…。」


 カジートとキルバは睨み合って火花を散らし始める。


「二人共!お客さんの前!前だからっ!」


 道人たちはキルバたちの家庭感溢れるやり取りを見て少し呆気に取られていた。


「三人共、控えよ。話が進まぬ。」


 玉座に座ったダイデュードが部下の三人のデュラハンを静ませようとした。

 ダイデュードは他の三人よりも大型で装飾品も多く鎧に付けたデュラハンだった。

 カジートとマリグアは慌ててその場で直立し、キルバもゆっくりと姿勢を直した。


「…ほら、私まで怒られたじゃない…。」

「わり、わり。」


 カジートがマリグアに適当に謝ってるのが初対面の道人たちにもわかった。


「すまなかったな、うちの騒がしい者たちが…。改めて自己紹介しよう。わしがレング・ザ・ダイの管理王ダイデュードだ。キルバの持つ盾からこちらの星の言葉をラーニングさせて頂いたのだが、何か妙な言葉遣いをしてないか?失礼な言葉遣いなら、改めたいのだが。」

「あの盾、そんな機能もあんのか…。」

「多機能ね…。」


 深也と愛歌は改めて上空で回転し続けている盾を見た。


「さっきも言ったが、お前たちが天極時烈災城軍と戦っていた際に地球の言葉を私の盾に学ばせたのだ。」

「そっか…。潤奈も父さんたちから地球の言葉を教えてもらったんだっけ?」

「…うん、私は自力で地球の言葉を学んだの。」


 道人は以前、潤奈がデュラハン・パークに一緒に来てくれて、その時に話してくれた事を思い出した。


「あの戦いで話した日本語の事はよく覚えてないけど、もしかしたらキルバの言葉使いに棘が感じられたのもそのせい…?」

「いや、どうだろうな?こいつ、元々固い奴だからな。」


 カジートはキルバを指差すとキルバは不機嫌そうにした。


「おっと、自己紹介の続きだな!俺はカジートだ!」


 カジートは気さくな感じで左手を腰に当てて右手の親指で自分を指差した。


「マリグアよ。よろしくね?」


 マリグアは右手で道人たちに手を振って来た。


「ほう、なかなか良き波動の持ち主たちだ。前にキルバに対して感じた波動を他の三人も持っているな…。」


 エッジヴァハムートがレング・ザ・ダイのデュラハンたちが発する波動の事を教えてくれた。


「さて、そちらの一番立場の大きい者はどなたかな?」

「わ、私だ。名を卒間と言う。」


 司令がドローンのマイクからダイデュードに返事した。


「卒間殿か、よろしく。」

「もう一人、惑星キャルベンの女王イジャネラという方もいる。」


 ソルワデスが続けてダイデュードに話し掛けた。


「ほう、他の惑星と既に協力関係を…。そのキャルベンという惑星の事はよく知らぬが、そちらにも死者の世界はあるはずだが…?」

「いえ、我々は存じません…。」

「ちょい待ち。やっぱり今まで採掘星に変えられた惑星にもあたしたちでいうところの傀魔怪堕(かいまかいだ)がある訳?」


 愛歌が物怖じせずにダイデュードに質問した。


「他惑星と関わった事はあまりないが、この世界の惑星には生者の世界と死者の世界の少なくとも二つは必ずあるはずだ。」

「私は禁忌を犯してまで他惑星の死の世界を巡り、ヴァエンペラの事を調べた。私が保証しよう。」

「なるほど、だからあなたはヴァエンペラについて詳しかった訳ですか…。」


 マーシャルがシルエット大将軍の言った事を聞いた後、すぐにシルエット大将軍から視線を逸らした。

 同時にキルバはシルエット大将軍をじっと見ていた。恐らく、シルエット大将軍が禁忌を犯してまで調べた事をこれ以上、道人たちに話さないように警告しているのだろう。


「じゃあ、捉え方によっては今まで採掘星に変えられた惑星たちにもまだ人がいるにはいるって訳か…。」


 道人はダイデュードから他の惑星の話を聞いて思考した。


「他惑星にも地球の意思のような存在はいるのでしょうか?それなら、キャルベンのデュラハンとかリフドーのデュラハンとかもいるのではないですか?」


 ユーラがなかなか鋭い、こちらも盲点だった事をダイデュードに質問した。


「おいおい、もしそれならガイアのデュラハン以外にもめっちゃでかいデュラハンがたくさんいるって事になるじゃねぇか!」

「それならヴァエンペラを複数の星たちでタコ殴りにできるぞい!」


 深也と大樹がユーラの言葉を聞いてついはしゃぎ始めた。


「いや、待て。それだとバドスン・アータスの母星であるネミケーもデュラハンになる可能性があるのではないか?」


 ジークヴァルがはしゃぐ深也と大樹に対して言葉を投げる。


「そこのとコ、どうなノ?ダーバラ?」

「いや、あたいに聞かれてもねぇ?」

「俺たちはヴァエンペラ本人にすら会った事ねぇんだ。んなネミケーの意思なんざとは会ってるはずもねぇよな。」


 トワマリーの質問に対してダーバラとキャプテン・雷牙が答えた。


「惑星に意思がある…?どういう事だ?」

「我々の地球にはガイアフレームとガイアヘッドという意思が宿っているのです。」


 司令がダイデュードに地球の意思の事を説明してくれた。


「こちらの死の世界である傀魔怪堕(かいまかいだ)には魔月という管理者がおっての。その者は地球の意思と面識があるのじゃ。」

「…だから、同じ役職のダイデュードさんもリフドーの意思と接触があるんじゃないかと…。」


 姫と潤奈もダイデュードに地球の意思に関する事を説明した。


「いや、わしはリフドーの意思などという存在とは一度も会った事がない…。死者を管理するわしが会った事がないのなら、恐らく意思があるのは地球だけなのではないか?」

「そうなのか…。魔月と似た立場のお主がそう言うのであらば、そうなのであろうな。」


 姫がそう言うと道人たちも納得した。

 星々がデュラハンになれるとしたら、ヴァエンペラに対してかなりの有効打になり得るかもしれないと思ったが、ないものは仕方ないとも道人は思った。


「地球は緑豊かな奇跡の惑星と言うからのぉっ…。地球の意思はそういった奇跡の積み重ねの超常的な存在なのかもしれんな…。」


 ドローン越しで式地博士が地球に関する考えを述べた。


「へぇっ、そんなに良い星なのか、地球って。何だか興味深いな。」

「こらっ、カジート!駄目でしょ、興味持っちゃ!私たちにとって禁忌よ、禁忌!」


 カジートの軽はずみな発言に対してマリグアはぷんぷん怒っていた。


「俺、かったるいんだよなぁ〜っ。レング・ザ・ダイの禁忌、禁忌ってさ。なぁ、あんたもそう思わないかい?」

「わ、私か?」


 カジートは両手を後頭部に当ててジークヴァルに話し掛けて来た。


「俺にはわかるぜ?あんたは堅物のように見えて結構ユニークなタイプと見た。俺、人を見る目には自信あるのさ♪」

「そ、そうか…。」


 ジークヴァルはカジートの絡みに対してどう返事をしたらいいか困っていた。


「さて、話がずれてしまった…。ヴァエンペラの危険性に関してだったな…。」


 ダイデュードは少し身体を浮かした後、玉座に座り直した。


「遺憾ながら、我が星リフドーは既にバドスン・アータスに採掘星に変えられ、生者無き死者の星となってしまった…。これ以上、ヴァエンペラは関わらないと思ったが…キルバとお前たちの会話を聞いたところ、どうやらそうでもないようだな…。」

「…ねぇ、道人。何だかダイデュードさんって、意外と話せるわよね…?」


 愛歌が小声で道人に話し掛けて来た。

 愛歌の言う通り、確かに惑星間による文明・言葉の違いはあるかもしれないが、道人たちはあまり険悪なムートにはならずにダイデュードと話が出来ていた。


「…うん、何だかんだ彼らもヴァエンペラの被害者だからね…。こちらと敵対してもって感じだし…。何より、潤奈とマーシャルの故郷の星だもの…。」

「…そうだね、このまま丸く収まるといいよね…。」


 道人と愛歌は互いに共感し、ダイデュードを見た。


「ヴァエンペラの分身体か…。これまで採掘星に変えられた惑星の中にも既に潜んでいるかもしれぬ訳か…。」

「あの、ダイデュードさん。それに関して大事な事が…。」

「む?」


 道人はレング・ザ・ダイのデュラハンたちを信じてみようと思い、この世界が一度やり直された世界だと言う事を説明した。


「何と、そのような事が…。つまり、リフドーは二度も滅ぼされたようなものか…。なかなかに舐められたものだ…。憤りすらも遥かに超えそうだ…。」


 ダイデュードは道人の話を信じてくれた。やはり話の通じる良い人だと道人は確信した。


「ダイデュード殿、無理にそちらの禁忌を破って欲しいとは言わない。ただ、ヴァエンペラを脅威に感じている気持ちは双方共に同じはずだ。」

「…だから、お父さんだけは見逃してくれませんか…?」


 司令が話した後、潤奈がダイデュードにお願いした。


「…なるほど。だが、やはりこちらとしても今まで守って来た禁忌を破るというのは抵抗がある。ここはお前たちの強い意思をわしたちに見せてはくれぬか?」

「何ですって?それは…?」

「試合という形式でお前たちの力と意思を見せて欲しい。それならば、お前も納得するのだろう、キルバよ?」


 ダイデュードは近くにいるキルバを見た。


「ダイデュード様がそう仰るのならば、私に二言はありません…。あなたの言葉はレング・ザ・ダイの在り方そのものなのだから…。」


 そう言うとキルバはダイデュードにお辞儀をした。


「わしらはキルバの盾によって映し出されている投影のようなものだ。試合には参加できん。」


 ダイデュードはそう言うと近くのカジートに手を伸ばした。

 ダイデュードの手はカジートを擦り抜けた。


「そちらの代表とキルバの一騎打ちでレング・ザ・ダイの今後の対応を考えさせて頂きたい。」

「ど、どうする…?」


 愛歌がそう言うと道人たちも困り顔となった。


「さすがあちら版傀魔怪堕(かいまかいだ)じゃな。我らの心を見定めるという訳か。」


 姫はそう言うと腕を組んで頷いて見せた。


「面しれぇっ!未知なる惑星の戦士!腕が鳴るぜぇっ!」


 キャプテン・雷牙は右腕の袖を捲ってやる気を見せた。


「おっと!待ちな、キャプテンさんよ?抜け駆けはさせねぇぜ?」

「あん?」


 ランドレイクがキャプテン・雷牙の右肩に手を置いて引き止めた。


「俺もうちの船長も好戦的でな。戦いたくてうずうずしてんのよ。」

「ほう?面しれぇっ!同じキャプテンを名乗る同士、お前らとは一度バチりたいと思ってたところだ!」


 キャプテン・雷牙とランドレイクは似た者同士で火花を散らし始めた。


「ふむ…。」

「な、何だよ?」


 姫が深也の周りを一周して観察をし始めた。


「何、我らはきゃぷてんたちのようにばちるべきかどうかをだな…。」

「はぁ?俺はあんまり女には手を出さねぇよ…。」

「ふむ、その割には海音と仲睦まじそうに見えたが?」

「か、関係ねぇだろ…!それにそういう手を出さないって意味じゃねぇっ!」


 姫と深也が絡むのは珍しかったので道人はついじっと眺めてしまった。

 深也がたじたじしてるのも珍しかった。


「いや、試合相手はこちらで決めさせてもらおう。」

「「なぬっ!?」」


 キャプテン・雷牙とランドレイクは睨み合いをやめてほぼ同時にキルバを見た。


「私が試合を申し込むのは…。」


 キルバはそう言うとゆっくりと対戦相手を指差した。


「…お、俺ぇっ!?」「あっしさぁっ!?」


 キルバが指差したのは大樹とカサエルだった。

 意外な指名に対して道人たちは驚いたが、何より指差された大樹とカサエルが一番驚いていた。

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