278章 リフドーの死者の世界 レング・ザ・ダイ
道人たちは赤き鎧の騎士キルバから潤奈とマーシャルの故郷・惑星リフドーにあると言うレング・ザ・ダイに関して話を聞ける事になった。
道人たちは防犯ガラス越しで聞く事になるが、実験エリアのフィールドの声はちゃんとマイクで聞こえているので問題ない。
「ふむ…。幸い、ここは広々としているな…。」
キルバは浮遊をやめて地面に着地し、辺りを見渡し始めた。
その後、右手に持っていた盾を宙に投げた。
「な、何じゃ…!?」
大樹たちは宙に投げられた盾を警戒した。
「安心しろ、攻撃ではない。」
盾は猛回転し始め、辺りの風景を真っ暗に変えた。
「本当でしょうね…?」
浮遊していたマーシャルは大樹たちの近くに着地した。
「マーシャル…。」
「ふん…。」
マーシャルは腕を組み、シルエット大将軍とは視線を合わせなかった。
前に潤奈から過去の話を聞いた際にイチとマーシャルは幼い頃から不仲だったと言う事を聞いたのを道人は思い出した。
それにイチが死んだのはマーシャルが裏切った事が原因でもあるから恐らく気まずいのだろう。
「これは君たちで言うところの…さて。辺りに映像を投影する…。」
「何だい?俺たちに映画でも見せようってのかい?」
「それだ。」
真輝がそう言うとキルバは右手の指を鳴らした。
「その方がわかりやすいだろうからな、君たちにとって。ただ、イチの娘たちにとっては凄惨な事実を伝える事になる…。」
キルバはマーシャルを見た後、道人たちと一緒にいる潤奈を見た。
「潤奈…?」
「…大丈夫…!私、見られるから…!」
潤奈は少し声を震わせながら道人の心配する言葉に返事をした。
手が震えていたので道人は右手で手を繋いであげた。
「…ありがとう…。」
潤奈がお礼を言うと道人は頷き、一緒にキルバを見た。
「禁忌を犯した男の娘たちなだけあって強い子たちだな。」
「褒めてるのか、貶してるのか…。」
キルバの発した言葉に対してマーシャルが突っ込みを入れる。
「これが惑星リフドーの現状だ。」
キルバがそう言うと真っ暗な風景が真っ赤な空に変わった。
「…!? これが、リフドー…?」
潤奈はその光景を見てさすがに動揺を見せた。
道人たちが初めて見た潤奈とマーシャルの故郷リフドーの真っ赤な空の下には人はいなかった。
植物は枯れ、ボロボロの建物がある中で棺のようなロボットたちがたくさんいるだけだった。
「そんな…!?これが、バドスン・アータスに採掘星に変えられた星の姿だって言うの…!?」
「ひどい…!?」
グルーナと愛歌はその光景を見て恐怖した。
道人たちは話には聞いていたが、この映像で採掘星と化した星を初めて見る事になった。
「私は見た事はないが、他の採掘星にされた星も似たような事になっているだろう…。」
「それは間違いない。何故なら、私はヴァエンペラの企みを調べる際に他の採掘星になった星を巡ったのだからな。」
「そうか。だから、ヴァエンペラの事を…。」
シルエット大将軍が何故ガイアヘッドの正体がヴァエンペラと知っていたのかが今の言葉で道人にはわかった。
「ふん、禁忌を犯した者がよく言う…。あの機械が我がリフドーのマイヌーン…またはラックシルベ。お前たちで言うところの…。」
「デュラハン・ハート…。」
道人が地球での呼び名をキルバに教えた。
「そう、デュラハン・ハートを採掘している…。デュラハン・ハートに安定した生成方法はない。だが、そこに住む者たちの何かしらの感情の昂ぶりで突然現れる事が多いのは確かだ。ヴァエンペラはそこに住む者たちを殺戮し、その際に無理矢理生じさせた生存本能による生成の仕方を好んでいるようだ。」
キルバがそう説明すると棺のようなロボットがデュラハン・ハートを見つけて回収した。
「きゃ、きゃぷてん…!?そ、其方たちは…!?」
姫は動揺しながらキャプテン・雷牙を見た。
愛歌もダーバラを見る。
「…俺たちは過激派武闘組織バドスン・アータス…。姫さんと出会えて、ディサイドできた事は喜ばしい事だが…。こればっかりは変えようがねぇっ…。」
キャプテン・雷牙は右手で自分の右肩を掴み、白い上着を強く握り締めた。
「あたいら、バドスン・アータスは一度採掘星に変えた星に対しては振り返らない…。ただ、次の星に向かってまた採掘星に変えるのみ…。あたいらもね、採掘星に変えられた星を見たのはこれが初めてなのさ…。」
ダーバラとキャプテン・雷牙は悲しそうに投影されている映像を見た。
「見たのは初めてとは言っても、この星をこんな風に変えたのは間違いなく俺たちがやっちまった事だ…。言い逃れはできねぇよ…。俺たちはただ単に戦う事を楽しんでいたからな…。」
「きゃぷてん…。すまぬ、取り乱してしもうた…。」
「いや、いいんだ。当然の反応だぜ。」
「改めて思い知らされたよ、あたいたちはヴァエンペラの企みも気にしない愚かな操り人形だってね…。」
「ダーバラ…。」
姫はキャプテン・雷牙を、愛歌とトワマリーはダーバラを静かに見つめた。
「まぁ、一人ヴァエンペラの人形でもないのに加担してるもの好きな爺さんはいるがよ…。」
「レイドルクの爺さんか…!」
キャプテン・雷牙の言う人物を真っ先に深也が言い当てた。
確かにレイドルクは地球出身の竜人である事は前に潤奈たちから報告を聞いている。
「ほう、これは驚いたな…。この場にバドスン・アータスの手の者、シチゴウセンがいるとは…。あの時はお前たちが暴れたおかげで死者の管理が大変だった…。」
「何だ、やんのか…?」
深也はそう言ってキルバに対して警戒した。
「いや、私は死の国の出身の者だ。生者たちが殺されてもあまり関係はない。今では死の国の方がリフドーの国の基盤となってしまっただけだ。」
「ちょっと、言い方…!」
愛歌は今のキルバの言葉にイラついた。
潤奈は今の言葉を聞いて呆然と、悲しそうに目を潤ませていたので道人は潤奈を抱き締めてあげた。
「だから、私は別にバドスン・アータスを憎んではいない。リフドーはなるべくしてそうなったのだろう。」
「そのレング・ザ・ダイの在り方が私は許せなかったのだ!」
シルエット大将軍が怒りを見せ、キルバを右手で指差した。
「自分たちがいるレング・ザ・ダイが無事ならば、それでいいのかっ!?地上世界の人たちが皆、抹殺されてしまったのだぞっ!?」
「レング・ザ・ダイは死者を内包する世界だ。地表に人が残っていない以上、もう転生の道は選べないが…他の魂の管理はできる。」
「それは違う!」
道人はキルバの言葉に対して即否定して見せた。
「俺たちの世界にもあなたたちと似たような死者の世界、傀魔怪堕があるのは知っているだろう!?あなたもシルエット大将軍を追って来た際に見たはずだ!ヴァエンペラはガイアヘッドを自身の分身体とし、死者の世界をも操ろうとしていた!あなたたちも他人事ではないはずだ!」
「うむ、道人の言う通りじゃ!其方らが住むレング・ザ・ダイにもヴァエンペラの分身体が潜んでおるのかもしれないのだぞっ!?」
道人の反論に続いて姫も同調して続けて反論してくれた。
「確かにイチを監視しながら私は天極時烈災城軍とやらの戦いを見ていた…。なるほど、君たちが言うところの明日は我が身というものか…。」
キルバは道人と姫の言葉を聞いて考え始めた。
「ガイアヘッドとやらとお前たちの会話は私も聞いていた。ヴァエンペラの分身体…実に厄介な存在だ。」
「だったら…!」
「だが、レング・ザ・ダイの管理者『ダイデュード』様の命令は絶対だ。私はそれに逆らえない。」
「なっ…!?」
道人はキルバの返答に対して驚くと同時に呆れてしまった。
「かぁ〜っ…!何て頭の硬い、融通の利かないデュラハンなのかしら!」
グルーナもキルバの言い分に怒りを見せる。
「拘りを守って滅んでしまったら、取り返しがつかなくなりますよ!?」
ユーラもアトランティスの滅びの事を重ねてキルバに対して叫んだ。
アトランティスも今は守り人のデュラハンのみで人が住んでいないからだ。
「何やら揉めているようだな、キルバよ。」
「…! ダイデュード様…!」
急にこの場にいない者の声が聞こえ、キルバはその声に対して急に畏まった。
「キルバよ、構わぬ。繋げ。」
「ははっ!お前たち、これより姿を見せるは我がレング・ザ・ダイの王!ダイデュード様である!失礼がなきよう!」
キルバがそう言うと周りの風景は採掘星となったリフドーから変わり、緑の光が溢れ始めた。
「これは…!?」
道人たちはあまりの眩しさに両目をガードした。
光はすぐに収まり、道人たちが周りを確認するとそこは全てが緑色の神殿の中だった。
玉座らしきものに誰かが座っている。
「あれが、ダイデュード…!?」
道人たちの目に映るダイデュードらしきデュラハンの左右には他にデュラハンが二体立っていた。




