268章 向かうはドイツ
道人たちの前に幻影の姿で現れたジークヴァルの前世の友ロード。
道人たちは驚きながらロードを見ていた。
「何じゃ?何か光が…?むっ!?」
式地博士も部屋から発せられる光が気になって入って来た。
(…道…、ジークヴァル、聞いて…欲しい…。)
ロードは自分の胸に右手を当ててお辞儀して来た。
相変わらずノイズがひどい状態だった。
「…ユーラたちから話には聞いてたけど、本当に道人にそっくり…。」
潤奈がそう言い、愛歌たちも頷いてみせた。
(当然…よ、道人は僕の…まれ…っ…だか…ね。)
「…えっ?」
(し…も、そこから…に複雑…事…なっている…。)
「何だ?何か大事な事を言ってるような…?」
道人がそう言うとロードの身体が消え始めた。
「ロード!?」
(駄目…だ…。これ、じゃ…!伝え…れない…!)
ロードは自分の透けた左手を見ていた。
「なるほどの…。どうやら、我が霊力を両手から発っした事で書物が偶然、式神のようになってしまったようじゃな…。」
姫はそう言って自分の両手を見た。
(消え…前に伝えなけ…ば…。今の君たちで…ヴァエンペラ…本体に…勝てない…。ヴァ、エン…勝てない…だ…!勝てない…!)
「…!? ヴァエンペラ!?に、勝てない…?」
ロードはこちらに伝えるように同じ言葉を繰り返して言ってくれて辛うじてわかった。
どうやらロードは道人たちがこのままではヴァエンペラに勝てない、と言いたいようだった。
道人たちはこれまで数々の激闘を繰り広げ、確かな力は付けて来た。
しかし、それでも地球よりも大きな存在であるヴァエンペラと立ち向かえるとは到底思えなかった。
(僕の…残滓…道人…。残滓…!)
「残滓…?」
(かつて…君を…凌駕する…!そ…すれば、ゴッド・ディサイド…ゴッ…ディサイ…は完全以上のものとなり、ヴァエ…ペラに…ヴァエンペ…に対抗できるはずだ…!)
「…!? ゴッド・ディサイド…!」
道人が失われた未来や、天極時烈災城軍との戦いで使ったゴッド・ディサイド。
それがヴァエンペラを倒す勝機だとロードは言っているようだ。
(ドイツだ…。ネー…ラン…!ドイツに行く…だ…!国の、ドイツだ…!ネーランド!ド…ツで…に…。)
「ロード!」
ジークヴァルが叫ぶとロードは身体を構成した光の粒が飛び散り、姿を消した。
姫が霊力をまた書物に当てて見たが反応はなかった。
「ドイツ…?何でドイツ…?しかもネーランド…?」
グルーナが?マークを宙に浮かべまくる。
「ドイツのネーランドは前世の私がいた国だ…。もしかしたら、ロードは私の死後に何かを残したかもしれないな…。」
「そう言えば、ビーストヘッドの試練…。ランドレイクやルレンデスみたいに元がデストロイ・デュラハンだったデュラハンは除いてだけど、ジークヴァルだけは違った…。」
ビーストヘッドの試練はトマワリーとフォンフェルはフランスの遺跡、カサエルは十糸の森の遺跡だったのに対し、ジークヴァルはデュラハンハートを失ったボディからだった。
ジークヴァルだけアトランティスで試練を受けた形で故郷には行ってなかった。
「確かにそうね…。ドラッヘに聞いてみたら?」
「そうだね、愛歌。でも、ここじゃ呼べないから、それは後にしよう。」
この資料室はHoffnung=ドラッヘを呼び出すには狭いのでそれは後回しにした。
「しかし、ドイツって言ってもな…。デュラハン・シップやキャルベンの宇宙船は傀魔怪堕から水晶化を解いた人たちを運び出す役割があるし…。」
「道人よ、傀魔怪堕を経由して行けば日帰りできるのではないか?」
姫の提案を聞いた後、道人は姫の方を向いた。
「そのどいつという場所の事は我にはよくわからぬが、傀魔怪堕を経由して行けばあっという間じゃ。何せ、奴らはそれで世界中の人たちを攫っておったのじゃからな。」
「そうか、それなら今日中に戻って来られる…!姫、今日は大活躍だね!」
道人は嬉しさの余り、姫の両手を掴んで見つめた。
「おぉっ!?良いぞ、道人!我の活躍をもっと讃えよ…!もっと我を見つめるのじゃ…!」
姫は目を輝かせて道人と見つめ合った。
「とにかく!行くんだったら、司令に報告して行かないとね!」
愛歌は少し怒りながら道人と姫の間に入って二人を離した。
「よし、わしが司令室に通信を繋いでやろう。」
「ありがとう、博士。」
道人は式地博士と一緒に資料室を出て司令と連絡を取った。
その間に姫は一応、他の書物に目を通してくれていた。
「ドイツか…。わかった、許可しよう。これもヴァエンペラと対抗するためだ。メンバー分けは道人君に任せる。後でまた報告してくれ。」
「わかりました。」
司令から許可が出たので道人は姫たちがいる資料室に戻った。
「みんな、許可出たから今からドイツに行くよ!日帰りで!」
「慣れっこだけどさ、側から聞くと凄い事言ってるわよね、私たち…。」
道人のドイツに行く発言に愛歌が突っ込みを入れた。
「傀魔怪堕を経由するから姫は確定、ジークヴァルも連れて行くからユーラも確定…。」
「…私は新型フォンフェルがまだ完成してないから、行けないかな。」
潤奈はそう言うとガラス越しにマーシャルを見た。
「それじゃあ、私も潤奈に付き合おうかしら?」
「わかりました。じゃあ、愛歌は?」
「もちろん、行くに決まってんじゃない!」
愛歌はぽんっと自分の胸を左手で叩いてみせた。
「これで連れて行くディサイド・デュラハンはジークヴァルとトワマリー、キャプテン・雷牙か…。」
「それでいいんじゃない?パークの周りは深也たちに任せましょうよ。」
「大樹に話したらついて来たがるだろうけど…。」
「あははっ、だね!勉強サボりたいだろうし。」
道人たちはそう言うと一旦ロードに関する資料を片付け、資料室を出た。
「博士、俺と愛歌と姫、ユーラで行きます。だから…。」
「わかった、ジークヴァルとトワマリーのボディじゃな。メンテは済んでおるから、格納庫に行くと良いぞ。司令にはわしが連絡しておこう。」
「ありがとう、博士!」
「…気をつけてね、みんな。私とグルーナさんはまだここにいるよ。」
「うん、わかった!それじゃあ、行って来ます!」
道人たちは潤奈とグルーナ、式地博士に手を振り、博士の研究室を後にした。




