266章 道人ガールズウォーキングwith道人
勉強を終えた後、道人たちは食堂で昼食を取っていた。
「うーん…。」
「どうしたの、道人?」
右に座る愛歌がフォークに差したタコさんウィンナーを道人の口の前に配置した。
道人は遠慮せずに食べた。
「もぐもぐ…。いや、俺たちにはガイアフレームを復活させるっていう目標はできた訳だけど、他にも俺たちにできる事はないかなって思ってさ…。」
「…というと?」
左に座る潤奈がフォークに差した卵焼きを道人の口の前に配置した。
道人はまた遠慮せずに食べた。
「もぐもぐ…。い、いつバドスン・アータスが襲撃して来るかわからない現状だからさ、俺たちにできる事を今の内にやっておきたいと思ってさ…。」
「それは名案ですね、道人。それで何をします?」
正面に座るユーラがスプーンに乗せたゼリーを道人の口の前に配置した。
前屈みになったユーラの胸もゼリーのように…。
「…って、何を考えてるんだ、俺は!?」
道人は急に立ち上がって両手で頭を抱えた。
「そもそも何故俺にご飯を献上している!?」
「いや、何だかこういった日常が貴重なものに思えて…。ねぇ?」
「…うんうん。」
愛歌と潤奈は道人を間に挟んで頷き合った。
「そうじゃぞ、道人?まだ我が其方に食べさせておらぬ。大人しく座すがよい。」
「は、はい…。」
道人は座り直してユーラの隣に座る姫が箸で差し出して来た鮭を食べた。
ユーラのゼリーも改めて食べる。
「わかるぞい…。俺にとって、今や道人のハーレムの羨ましささえも食事時の調味料の一つじゃ…。」
「いや、さすがにその慣性はハイレベル過ぎて俺にはさっぱりわからねぇっ…。」
「ははっ、俺にもわからないぜ!」
大樹の何かの目覚めに対して深也と真輝も不理解の姿勢を見せる。
「ハーレムじゃないってぇ〜っ…。でも、否定できないけどさ…。」
「私にはわかるわ、大樹んの気持ち…!何故なら、この世はまだ見ぬインスピレーションに満ちているのだから…!」
「年長者さぁーん、しっかりぃーっ…。」
道人は糸目になってグルーナに突っ込みを入れる。
「何だか道人の突っ込みにも懐かしさを感じるなぁ〜っ…。」
「よし、話を戻そう。」
和んでいる愛歌を無視して道人は真面目モードになった。
「例えば…そう!潤奈のお母さんの件だ!魔月さんの調べのおかげで潤奈のお母さんは傀魔怪堕で守護者になる道を選んだ事がわかった!」
「…そう言えば、お母さんのお父さん…。私にとってのお爺ちゃんだね。科学者をやっていた…。善谷さんのお宅を博士に調べてもらおうと思ってたらその後は色々あってそのままだったね…。」
「仕方ないわよ、潤奈。最近はアトランティスだの傀魔怪堕だので博士に頼もうにも大変だったしさ。それに…。」
愛歌はその先を言おうとして思い留まった。
「…ありがとう、愛歌。お爺ちゃんは傀魔怪堕に攫われて水晶化されてしまっている可能性もあるから…。やっぱり調べてみないとわからないかな…。」
「俺もお婆ちゃんの家で見つけたウェントに関わってそうな資料を博士に預けたままだったや…。この際だから、博士の所に行って自分で調べてみようかな。潤奈も一緒に行く?」
「…うん!」
道人は左に座る潤奈を見て微笑み合った。
「どれ、我も行こうか!」
「姫も?」
「我なら古文は読めるかもしれぬ!道人の役に立てるに違いないぞ!」
姫の言う通り、姫が一緒に来てくれればすぐに解読してもらえるかもしれない。
「じゃあ、お願いできるかな?」
「うむ!」
「むむっ!ならば私も!アトランティスの言葉が役に立つかもしれません!」
「そ、それはどうだろうか…?でも…まぁ、いいか…。」
「えっと…!あ、あたしは国語の成績は結構良い方だし!」
愛歌も無理矢理、道人について行く口実を作ろうとして来た。
「こ、国語ね…。そっか…。まぁ、いいよ、うん…。」
道人は愛歌の熱心な眼差しを見て何だか断りづらかったので了承した。
「俺も国語なら…!」
「待てぇぃっ!何この流れなら行ける!みたいな感じで入って来てるんだ、大樹!」
道人はビシッと大樹を左手で指差した。
「だって、俺も勉強の魔の手から逃れたいんじゃ!道人のいけずぅっ!」
大樹は目をうるうるさせて来たので道人は顔が青ざめた。
「諦めろよ、大樹。」
「そうだぜ?もしかしたら、俺たちは避難民の誘導に駆り出されるかもしれないんだ。勉強とは限らないさ。」
「深也、真輝さん…。わかったぞい…。」
大樹は両肩をがくっと下げて下を向いた。
「私は道とんのハーレムに加われるわよん?」
グルーナは左手を頬に当てて右手でウインクして来た。
「もう行こうか…。」
道人はもう突っ込むのを諦めて黙々と昼食を食べた。
道人たちが昼食を食べ終えた後、早速開発エリアにいる式地博士に会いに行く事になった。
グルーナが博士に電話し、アポイントメントを取ってくれた。
「あの、順番。順番ね。五分毎に手を繋ぐ相手を交代ね…。」
「わかった!」「…いいよ。」「うむ!」「はい!」
道人は愛歌たちによるガイアグレート化を避けるために手を繋いで歩くルールを設けた。
道人は右手に愛歌、左手に潤奈と手を繋いで歩く。
「いい?今はそんなにいないけど、歩行者が来たら邪魔にならないようにね?」
「わかった!」「…いいよ。」「うむ!」「はい!」
「ふふっ、道とん。何だか保育士さんみたいね。」
「確かに…。保育士さんかぁっ…。」
グルーナがにやにやしながら道人を見ているがもう気にしなかった。
道人は手を繋いだまま開発エリア行きのモノレールに乗り、座席に座った。
もう避難民の解放準備のためにモノレールは動き始めていた。
「そう言えばさ、ユーラ。ジークヴァルと合体する時にリムルトさんが幻影で出て来るじゃない?」
「出て来ますね。」
「そのリムルトさんと会話は出来ないの?」
愛歌は割と侮れない突っ込みをユーラに入れて来た。
道人もそれはずっと気になっていたが、聞ける機会がなかった。
「残念ながら、リムルトさんと会話はできないんですよ…。ねぇ、ジークヴァル?」
ユーラは道人が持っているジークヴァルのデバイスに話し掛けた。
「あぁ、あのリムルトは道人たち風に言うと…そうだな、技演出。カットインみたいなものだな。会話はできないんだ。」
「どこでそんな知識知ったの、ジークヴァル…?」
道人はジークヴァルの口からゲーム用語が出て来たので突っ込んだ。
最近ジークヴァルとユーラが道人の預かり知らぬところで言葉を覚えて来ているのが気になってしまう。
「そっか。まぁ、出来てたら当に話してるわよね。」
「はい、当に話してますね…。でも、幻影のリムルトさんでも一緒にいたら心強いんですよ?」
「…ユーラはガイアグレート・ジークヴァルの右肩の竜の顔に意識がある時ってどんな感じなの?」
潤奈もユーラに質問した。何故か合体時におけるジークヴァルとユーラの話になっていく。
「それはですね…身動きが取れなさそうで一見不便なように見えますが、ジークヴァルが一緒にいる感覚というか…頼もしい感じが常にして、全く不便には感じないのですよ。」
「そ、そうなの、ジークヴァル?」
「いや、私も初めて聞いたよ…。」
道人は思わずジークヴァルに問うたが、ジークヴァルも少し驚きを見せた。
「私はわかル!私はソルワデスと合体した事あるシ!」
確かにトワマリーはアトランティスでD-DUMINUSカードで合体させた事を道人は思い出した。
「わかります、トワマリー?」
「わかル、わかル!」
ユーラはトワマリーとデバイス越しで合体時の感覚を共感できたようだ。
「私はいつも合体される側だからな…。合体する側とは感覚が異なるのか…?そう言えば、道人はゴッド・ディサイドで私と一体化したな?」
「あ、うん。したけど…あの時は天極時烈災城軍に勝てるかどうかわからない状況だったし…。あんまりそういう実感はなかったな…。」
道人は自分の手の平を見ようと思ったが、今は愛歌と潤奈と手を繋いでいるので無理だった。
「あ、そろそろ開発エリアに到着します。同時に手を繋ぐのを交代ですよ?」
道人は座席から立ち上がり、今度は右手に姫を、左手にユーラとで手を繋いだ。
道人は嬉しそうな姫とユーラを連れてモノレールを降りる。
「あら、私は道とんと手を繋げなさそうね。残念。」
「何でグルーナさんまで俺と…?冗談ですよね?」
「さて、どうかしら?道とん、頼もしいもんねぇ〜っ…。」
「冗談だと思っとこ…。」
道人は頬を染めながらも式地博士に会うために開発エリアのビルに入った。




