265章 ユーラが思いつく奇策
道人たちの司令室での会議は続いていた。次は道人たちの最後の敵、ヴァエンペラが配下とし、ジェネラルシユーザーが率いるバドスン・アータスに関しての話をする事になった。
「よし、現在のバドスン・アータスの戦力を改めて確認してみよう。大神君、スクリーンに。」
「はい、司令…あ、えっと…。」
「ははっ、呼びづらいならもう司令呼びで構わんよ。」
司令にそう言われて苦笑いする大神がキーボードを操作するとわかりやすく写真がスクリーンに映し出された。
ディサイド・デュラハンたちのメインカメラの記憶映像から作り出された写真だ。
「まずはシユーザーたちが率いる新生バドスン・アータス。」
「我が友、ダジーラクやラクベスはシユーザーに操られる形となってしまった…。」
「…ラクベス…。」
ディアスからラクベスの名を聞いたスランは寂しそうに下を向いた。
海音とクラちゃんは振り返って寂しそうにするスランを心配していた。
「あたいの愛しのダジーラクを…!許せないねぇっ、シユーザー…!」
「あん?おいおい、お前まだダジーラクの旦那の事好きだったのかよ?懲りないねぇ〜っ…!」
「何か言ったかい、ライガ?」
ダーバラは鉄扇を取り出し、キャプテン・雷牙に向けた。
「…俺はキャプテン・雷牙だ。ライガじゃねぇ。」
「はぁっ?」
「ふ、二人共、仲良くね…。」
「きゃぷてんも、抑えるのじゃ…。」
愛歌と姫が画面越しでダーバラとキャプテン・雷牙を諌めた。
「後はレイドルクの爺さんだな。」
「そうじゃな。」
深也と大樹はスクリーンに映るレイドルクを共に見た。
「あの爺さんは俺に負けじとバトルジャンキーだからなぁ。企みとかは一切ねぇ。こっちに自分が戦いたい相手がいるから属してるってだけだろうよ。」
「あんた、他人のフリしてるくせにやたらとライガとして振る舞うじゃないか。」
ダーバラがそう言うとまたキャプテン・雷牙はダーバラと火花を散らす。
愛歌と姫はまたも諌めた。
「後はヒューマン・デュラハンたち…。ウェントに…。」
「エイプリル…!」
「…ハクヤ…。」
「Dレボリューションじゃな…。」
道人、愛歌、深也、式地博士は名前を呼びながら元となった人物の心配をして寂しそうな顔をした。
「最後はシャクヤス…ヴァエンペラだ。」
「それにガイアヘッド…。こ奴もヴァエンペラの分身体じゃ。」
道人と姫がそう言うとスクリーンにシャクヤスとガイアヘッドが映った。
「我々は今までの戦いではどうしても受け身にならざる終えなかった。だが、バドスン・アータスの宇宙要塞の場所はわかっている。後は博士が兼ねてより計画していた強襲用デュラハン・シップが完成すれば、キャルベンの宇宙船と共に襲撃する事は可能だ。だが…。」
「そう、問題はヴァエンペラじゃ。流咲君の報告書を見て改めて理解したが、ヴァエンペラはかつて地球のデュラハンと戦った事がある…。つまり、我々が住む地球と同じくらい大きな、強大な存在だと言う事じゃ…!」
司令と博士はそう言うと同時に険しい顔をした。
「しかも、俺たちは地球の自転が逆回転する前…時が巻き戻る前にヴァエンペラには一度敗れている…。」
道人は自分でそう言った後、膝に置いた拳を震わせた。
近くに座っていたユーラは両手を道人の震えた拳に乗せた。
「しかも自身の分身体も作れるおまけ付きじゃ。」
「更には傀魔怪堕を利用してダガー・デュラハンたちも手中に収めやがったからな…。」
「元々いるデストロイ・デュラハンも合わせるとかなりの戦力ね…。」
姫、真輝、グルーナが傀魔怪堕に行った際に知った事を改めてこの場にいる者たちに話した。
「なるほど、つまり俺たち側からシユーザーたちに強襲する事は可能だが…それでもしヴァエンペラ本体が出て来たらどうしようもないって訳か。俺たちはヴァエンペラからしたら米粒みたいなもんだと。」
「深也の言い方に反抗したい気持ちはあるんじゃが…悔しいが、その通りじゃ。」
大樹は深也の言う事に反論する事は出来なかった。
「ダガー・デュラハンたちを手に入れたバドスン・アータスがいつ全戦力を率いて襲って来るかわからない状態だからな…。」
「場合によってはあちら側から攻めて来て、巨大なヴァエンペラと戦わないといけない事態にもなり得る訳だよね…。」
道人と愛歌は今後のバドスン・アータスが取るであろう行動を口にして悩む。
「ディアス、ダーバラ、スラン、お前らが傀魔怪堕にいなくて良かったぜ。まさかあのクソガキがヴァエンペラの分身体だって知ったら胸糞悪いからよ。」
キャプテン・雷牙はライガとしてディアスたちに話し掛けた。
「ダーバラたちもヴァエンペラの姿は見た事なかったんだよね?」
「あぁ、知らない…。姿を知っていたのはダジーラクとマーシャル…だけど、分身体の話を改めて聞くとそれが本体だったのかどうかは怪しいところだね…。」
「バドスン・アータスは元々、惑星ネミケーの過激派武闘組織…。我々の種族的に…いや、もしかしたら…我々は生まれた時からヴァエンペラの人形として動いていたのかもしれない…。」
ディアスは自分の右手を見た後、強く握ってみせた。
「この世界はモチーフ・ワールドの一つってんだろう?だったら、ディアスの言う通りだろうね。あたいたちは最初からヴァエンペラの人形として配置されていた可能性が高いね。だから、ヴァエンペラがやろうとしている事が誰にもわからないようにしてあるんだろうね。」
「ダーバラ、でも…。」
愛歌が席から立ち上がるが、ダーバラは映像越しに静止した。
「わかってる、愛歌。あたいたちはあんたたちと出会えて…ディサイドできて、ヴァエンペラの人形じゃなくなったかもしれない…。あんたたちと出会えて良かったよ、愛歌、トワマリー、ルブランもね。」
「「ダーバラ…。」」
愛歌とデバイス内から発したトワマリーは同時にダーバラの名前を呼び、ダーバラは頷いてみせた。
「みおん…。」
「塔馬…。」
「姫さん、イェーイ!」
「いぇーいじゃ!」
スラン、ディアス、キャプテン・雷牙もダーバラと同じ気持ちでディサイドできた事を改めて喜んでくれた。
「あの…ちょっといいですかね?」
ユーラが右手を上げて口を開けた。
「ごめんなさい、何だか水を差すような真似を…。」
「いや、話の腰を折ったのはあたいらの方さ。気にしなくていいよ?で、何だい?」
「はい。あの、ガイアフレームさんならヴァエンペラの目的を知っているかも知れないし、ヴァエンペラと大きさも同じなら対抗できるのではないでしょうか?」
ユーラの言葉を聞いて道人たちは一瞬沈黙した。
「あ、いや、ユーラ。俺も最近は全然ガイアフレームが夢に出てこなくてさ…。」
「ですから、ガイアフレームさんを復活させてあげればいいんですよ!そうしたら、話も聞けるし、ヴァエンペラとも戦えます!」
ユーラは自信満々に両手で握り拳を作って張り切ってみせた。
「た、確かに地球のデュラハンが復活すればヴァエンペラに対抗できるかもしれんが…。じゃが、どうやって?」
「道人たちがいつも助けられてる力、ディサイドですよ!ガイアフレームさんとディサイドしちゃうんです!」
「え、えぇっ…!?」
道人たちはユーラが思いついた策に驚きを隠せなかった。
「いや、ユーラの言う事はあながち間違ってはいないと思う。」
「ジークヴァル?」
道人たちは机に置いてあるジークヴァルが映ったデバイスを見た。
「ディサイドとは元々、ガイアフレームから与えられたものだ。我々、ディサイド・デュラハンはそのパートナーとなる人間との強い繋がりによって、奇跡にも等しい力を得られる。現に私たちはそれで天極時烈災城軍をも打ち破ってみせたではないか。」
「ジークヴァルに同感だ。天極時烈災城軍との戦いではこの場にいる者たちの強きディサイドで勝つ事ができた…。ユーラの言う事は可能だと私も思う。」
ソルワデスもジークヴァルと共にユーラの策に賛成の意を示した。
「ガイアフレームを復活させるか…。確かにユーラ君の言う事は良作かもしれない。」
「じゃが、ガイアフレームを復活させる程のディサイドとなるとかなり強力なディサイドが要求されるじゃろうな…。何せ、地球丸々一つ分じゃからの。」
司令と博士もユーラの策を実行できないか前向きに検討し始めた。
「でもさ、ガイアフレームを復活させたら、ガイアヘッドも同時に力を得ちゃうんじゃない?それってまずいんじゃ…。」
「なら、ガイアヘッドからヴァエンペラを追い出してから、復活させましょう!」
愛歌の疑問もユーラはすぐに返答してみせた。
「大丈夫!道人たちなら…アトランティスを救ってくれた道人たちなら、やり遂げられるって私、信じてます!もちろん、私も恩を返すために道人たちと一緒に全力で戦ってみせますから!」
「…ははっ、不思議だな…!何だかユーラに自信満々にそう言われるとできそうな気がして来たや…!」
「はい、道人たちならできますよ!」
ユーラは道人の両手を握り、笑顔を見せて来た。道人は思わず頬を染めた。
「こら、何ユーラのヒロイン力に魅入られてるか!恋愛攻略王道人君!」
愛歌は軽く道人にチョップをして来た。
「べ、別に魅入られてなんか…!」
「道人よ、我と言うものがありながら…!よよよっ…!」
「…道人、顔赤いけど、大丈夫…?」
姫や潤奈も道人に話し掛けて来た。
「と、とにかく!やり方はまだわからないけど、ガイアヘッドを元に戻して、ガイアフレームを復活させる事が俺たちの今後の目標だ!」
「あ、力技で話を戻した。」
「よぉし、頑張ってみんなで模索するぞぉーっ!」
愛歌の言葉を無視して道人はその場で立ち上がり、張り切ってみせた。
「よし、とにかく希望は棄てず、わしらなりに今できる事を色々とやってみよう!そうすれば、ガイアフレームに関しての事も見つかるかもしれんしの!」
「決まりだな!道人君やユーラ君たちの言う通り、我々の今後の課題はガイアヘッドを元に戻し、ガイアフレームを復活させる!それでヴァエンペラへの対策を終えたら、ヒューマン・デュラハンの元となった人たちの解放とシユーザーの撃退を兼ねた強襲作戦を実行する!みんな、希望を棄てずに頑張ろう!」
「はい!」「おう!」「えぇ!」
司令の今後の方針に対し、道人たちは色んな返事で返してみせた。
「次は最後の話題だが、道人君たちが遭遇したというシルエット大将軍と名乗る人物とそれを追う者の件…。これは潤奈君やマーシャルの故郷であるリフドー星における死の世界ではないかと報告書にはあるが…現時点ではこれ以上は何もわからないな…。」
「そう言えば、あの人も俺たちが知らない事をまだ知ってるかもしれないな…。ガイアフレームの復活も大事だけど、シルエット大将軍とまた会う事も大事かもしれない…。」
道人は席に座り直し、顎に右手を当てた。
「そうだな…。よし、大神君、虎城君。御頭街でシルエット大将軍らしき姿を見掛けたらすぐに知らせてくれ。彼も道人君たちに用がまだあるのなら、接触をして来るかもしれないが、こちらからも捜索しよう。」
「「了解!」」
大神と虎城は早速キーボードを操作し始めた。
「よし、これで会議は一旦終了とする!さぁ、みんな!勉強と行こうか!」
「はい!」「おう!」「えぇ!」
「「「…って、えぇぇぇぇぇ〜っ…!?」」」
道人たちはさっきと同じノリで司令に返事をしてしまったが、突然拒否反応を示した。
「ただでさえ、勉強が遅れてるんだ。昼を過ぎたら君たちには避難民たちの誘導を手伝ってもらうかもしれないが、今は昼食前に勉強だ!流咲君からそう伝言を受けているのでな!」
司令は両手から複数のプリントを出して見せて来た。
「おぉっ、道人たちの時代の学問には興味があるの!どれ、道人よ!我に其方の凛々しいところを見せてみるが良い!」
「何だかなぁっ…。」
道人たちは席から立ち上がり、渋々学習ルームへと向かった。




