257章 恐れを振り払うには…!
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスの一刀両断でも天極時烈災城軍を倒す事は出来なかった。
不安が心を包み込みそうになり、道人の目には赤と青が混ざった傀魔怪堕の空が余計に不気味に見えた。
「まだだ!まだこの姿でやれる事は残っているはずだ!」
「…! ジークヴァル…!」
後ニ分弱で合体が解けてしまうが、フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスはまだ諦めていなかった。
「ジークヴァルの言う通りだ!こいつの弱点、必ず見つけ出してみせる…!」
惡獄必帝苦悶城から引き継がれた剣、槍、ハンマー、ノコギリの四本の武器アーム。巨大なビームを放てる砲門。作成の左。巨大な刀。
体内からDR バードダガー…恐らく、他のダガー・デュラハンたちを作れる能力。そして、固い装甲に結界と再生能力。
今まで戦った事のない巨大な敵、天極時烈災城軍に対して道人は仮面の下で冷や汗を掻きながら四つのブレードフェザーを飛ばす。
「冗談じゃねぇっ!こいつを倒せなかったら、姫さんへの借りもジークヴァルとの決着もつけられねぇだろうが!」
雷牙・蒼鷹も諦めていない。持ち前のスピードで天極時烈災城軍の左手を爪で切り裂きながら雷弾を乱射して当て続ける。
「ちっ、時間切れか…!だが…!」
キャプテン・雷牙は元の姿に戻ってしまった。もうヘッドチェンジは使えない。
それでもキャプテン・雷牙は獣形態となって天極時烈災城軍の左肩に着地して光弾を連射した。
「この悪しき波動、放置する訳には!」
ジークロードエッジヴァハムートもブーメランブレードを投げ、左手の平から波動弾を連射して天極時烈災城軍の右側を攻める。
天極時烈災城軍は槍のアームを回転させながら振り回し、剣のアームを振り回した。
アームを避けている最中にエッジヴァハムートも元の姿に戻ってしまった。
「アームの方はどうだっ!?再生できんのかぁっ!?」
龍葉将軍ヤジリライムスは飛び回りながら剣のアームを避け、二本の刀をアームに何度も当てた。
「みんな!無敵な者など、この世には存在しない!必ず弱所はあるはずだ!」
シルエット綺刃将軍も皆の士気を上げようとしてくれていた。
天極時烈災城軍の右足に斬馬刀を当ててぐるぐると回りながら斬り付けていた。
「喰らえ、ガイアフルバースト!」
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスは胸や両肩のキャノン砲やニードル弾、二体の竜のエネルギー体を一斉に発射し、天極時烈災城軍の顔に全て当てた。
天極時烈災城軍の背中の砲からまたビームが発射された。
「またビームの雨か…!みんな、気をつけて!」
道人は下にいるグルーナや真輝たちに当たらない事を願いながらビームの雨を何とか飛び回って避ける。
「やはり、このビームが一番厄介だ…!駄目元だが…!」
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスはビームの雨が止んだ後、急上昇して天極時烈災城軍の頭上まで飛び、チャージを始める。
「奴の砲門に直接ガイアフルバーストを叩き込む!」
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスは砲門に向かってガイアフルバーストを発射した。が、残念ながら意味はなかった。
「くっ、かすり傷にもならないか…!ならば、奴がエネルギーを貯めている最中に撃って誘爆を狙うか…!だが、それをするには時間が…!」
誘爆させても天極時烈災城軍は自己再生で元通りになってしまう恐れがある。
天極時烈災城軍はハンマーアームとノコギリアームを伸ばして頭上のフィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスを攻撃し始めた。
「くっ、南無三…!」
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスは合体が解ける最後の足掻きでガイアフルバーストを天極時烈災城軍の頭に当てて合体が解除された。
「ちっ、俺もか…!」
ヤジリウスも元に戻り、ドラグーンハーライムは光の玉になって道人のスマホに戻った。
飛行能力を失って落下したヤジリウスを素早く飛行形態となったソルワデスが乗せて回収した。
「まだだ…!この姿ならさっき私が言った事を実践できるはずだ…!」
確かにガイアグレート・ジークヴァルなら、オリハルコンの固さを活かしてビーム砲のチャージの瞬間を狙える。
例え、天極時烈災城軍がそれを警戒して放たないとしてもそれはそれで封じられるのでありだ。
「今、この場にいるデュラハンは幸い、ヘッドチェンジなしでも戦える…!それに…!」
まだD-DUNAMISカードは一枚残っている。だが、まだ使用可能にはなっていない。
「後、俺たちに残された可能性は…根源の力…!」
災鐚との戦いでソルワデスとエッジヴァハムートが合体してなった姿、クロスオーバーソルワデス Ver.エッジヴァハムート。あの力をまだ使っていない。
「だけど、あれは…。」
あの合体はかなり強力ではあるが、それは現冥災将軍という相手だったからだ。
天極時烈災城軍と言う大き過ぎる相手に対しては悔しい事だが、火力が足りないかもしれない。
それにソルワデスにかなりの負担が掛かる。
ルレンデスもヘッドチェンジを使い切ってしまって、クリーナーディスクを使用できない状態ですぐには回復できない状況だった。
『道人、根源の力の事を考えているのだな?』
ヤジリウスを乗せた飛行形態のソルワデスが二門のビーム砲を天極時烈災城軍に放ちながら念話をして来た。
『ソルワデス?』
『わかっている、今はあの力を頼る時かもしれない…。私があの姿になる事で…我が身を犠牲にする事で世界を守れるのなら、それでみんなを…世界を守ってみせよう…!』
『ソルワデス、でも…。』
『…だが、私は同時に怖くもある…。もし、あの姿でも勝てなかったら…という気持ちが私の心を揺るがせる…。せっかく仲直りできた海音とも会えなくなり、妹のグゲンダルを一人にしてしまうかもしれない…。温かな場所になれたキャルベルが…。友達となれたフォンフェルや恵とも…。』
ソルワデスの心には明らかに迷いや不安、恐怖心があった。この状況では無理もない。
それだけ目の前にいる天極時烈災城軍の影響力は強かった。
実際の戦闘能力の高さだけではなく、士気能力をも低下させる威圧感と容姿をしているからだ。
フィフスグレート・ガイアクロー・ジークヴァルスでも歯が立たなかったのもソルワデスの心を傷つけるのに十分だった。
『すまない…!こんな気持ちでは最後のD-DUNAMISカードの発動が…。』
「ソルワデス…!くっ、士気が…!この戦いに勝機が見える希望があれば…!」
根源の力に関するものはもう一つ持っていた事を道人は思い出した。根源の竜から貰った牙が。
「根源の竜の牙…。でも、使い方がわからない…。他に何か…。」
(それは君たちが窮地に陥った時に開けると良い。きっと、役に立つはずじゃ。君たちは今年一番にラッキーな子供たちだな。)
道人は急に自分が助けたお爺さんの事を思い出した。
「…! お爺さん…?」
道人は足の装甲を一部消した後、右ポケットに入れていたお爺さんがくれた小さい包装された箱を取り出して左手に持った。
改めて持っても箱は軽い。
「窮地に陥った時…。今が、そうだけど…。」
道人はお爺さんの笑みを思い出した。何故かあのお爺さんを思い出したら勇気が溢れる気がした。
「…えぇい、一か八かだ!俺、あのお爺さんを信じる!」
道人は急いで包装紙を剥がし、それを捨てずにポケットに押し込んだ。
メタリー・ルナブレードを一旦消した。
「えい!」
道人は箱を開けた。
「…空っぽ?」
中には何も入ってなかった。
「そんな…。いや、あのお爺さんはそんな意地悪をするような人には見えなかった…!きっと何か意味が…!」
その時だった。箱の中から光が溢れ出した。
「な、何の光ぃっ!?」
「み、道人…?」
道人は慌て、その輝きの強さでガイアグレート・ジークヴァルたちも道人の方を向いた。
光の中から人影が見え始めた。
「…!? あ、あなたは…!?」




