256章Side:グルーナ 空気の読めない復讐機と心を得られた鎖
「くっ、せっかく道とんたちの助けに来たってのに…!」
グルーナはルレンデスとフィールドトラッカーと共に天極時烈災城軍を遠くから眺めるしかなかった。
地上からは無数の槍が突然生えて来たりするので迂闊には近寄れない。
ルレンデスはヘッドチェンジを使い切ってしまい、フィールドトラッカーと共に空を飛べないので手をこまねいていた。
地上から攻撃したとしても、天極時烈災城軍の足に少し当たるだけであり、微々たるものである。
「いくらなんでもでか過ぎなのよ、あれ…!真ちゃんはどう?」
グルーナは近くでスマホを持っている真輝を見た。
「エッジヴァハムートは向かわせたけど、俺も今使ってるヘッドで打ち止めだ…!エッジヴァハムートはその後、ヘッドなしでも戦えはするが…!」
真輝もそう言って歯を噛み締めていた。
空はちかちかと光が点滅を繰り返している。道人たちが懸命に戦い続けている証だ。
「こうやって手をこまねいているのもあれだし、私たちも流咲ちゃんたちと一緒に水晶に閉じ込められている人たちを運ぶのを手伝った方がいいかしら?」
「うん、それもありだと思う。」
ルレンデスと話し合ったグルーナは人命救助に手を貸す事にした。
その時だった。背後から何かが着地し、土煙が舞った。
「なっ!?何よ、急に一体!?」
グルーナと真輝は共に両腕を交差して土煙から目を守った。グルーナは制服バリアが展開される。
「あ、あれは超晴王!?」
近くにいた鎖縛丸が真っ先に今着地した存在の名前を叫んだ。
超晴王は電子音を鳴らし、ゆっくりと立ち上がる。
「…なぁ〜んか嫌な予感…。まさかあんた、この状況で…。」
ディールマーシャルだった頃の恨みの対象。それは潤奈とフォンフェルだけでなく、グルーナとルレンデスも復讐対象に該当する。
超晴王は両手で棍棒を持ち、背中の太陽から無数のビームを放ちながら突進して来た。
「こぉの、馬鹿元デストロイ・デュラハン!この状況で私たちへの逆恨み優先するとか正気なのっ!?」
「グルーナ、真輝、危ない!」
ルレンデスはグルーナの前に出て両肩のフィルムテープを伸ばして超晴王に戦いを挑む。
フィールドトラッカーはバリアでグルーナと真輝を守りながら三つの水流を放つ。
超晴王は突進を諦め、水流を棍棒で弾きながら避ける。
「そうだ、そこの優良人種の言う通りだ!戦いを止めろ、超晴王!」
三大将軍があんな事になってしまって呆けていた鎖縛丸も超晴王に向かって叫んだ。
が、超晴王は電子音声をまるで笑い声のように鳴らして戦いを止める気はなかったようだった。
「…あったま来た!!私らとしても大切な仲間のフォンフェルを倒されて、大事な友達の潤奈を悲しませたあんたには腹立ててんのよ!さっさとやっつけてあんたの体内の人質も助け出してやるわ!フィールドトラッカー、ルレンデスと合体お願い!」
「了解しました、グルーナ隊員。」
ヘッドチェンジがもう出来なくなった時のためのアディション・デュラハン。
フィールドトラッカーはルレンデスの元までホバーで移動した。
「流咲隊員、こちらフィールドトラッカー。合体シグナルをお願いします!」
「了解です!フィールドトラッカー!アディショォォォーーーン…!」
璃咲は一旦息を整え、静かになった。
「…ユナイトォッ!」
「承認確認。これよりアディション・ユナイトを実行。さぁ、盛り上げていきましょう!」
フィールドトラッカーはバラバラになり、ルレンデスと合体。
フィールドルレンデスとなった。
ルレンデスの特徴である両肩の大きなフィルムテープは宙に浮かぶ形となった。
「初お披露目!フィールドルレンデス!」
フィールドルレンデスは両肩と胸から水流を発射した。
「…って、フィルムテープの近くで水気とか大丈夫ぅっ!?」
「あんたはそこら辺の電子機器よりはスペシャルでしょっ!」
「そっか、僕はスペシャルなのか!なら、大丈夫だね!」
グルーナにスペシャルと言われ、フィールドルレンデスは上機嫌で水流を発射し続ける。
超晴王は両手を前に出し、背中の太陽から出した無数のビームを一つに束ねて光の玉にした。
そのまま両手を押し出して光弾を発射する。
「うわっ!?高密度の光弾とか放って来たよ、あいつ!」
フィールドルレンデスも対抗し、三つの水流を一つにして向かって来る光弾を当てた。
超晴王は続けて背中の太陽から無数のビームを発射した。
「もぉっ、めんどくさいコンボ攻撃を…!」
フィールドルレンデスは発射している水流をうまい事操作し、地面に背をつける形となった。
向かって来る光弾をうまく反らせてルレンデスの背後の地面に当て、同時に向かって来る無数のビームをバリアで弾くと即座に回避動作も行った。
「グルーナ、真輝!」
グルーナは真輝の前に立って制服バリアで盾となり、向かって来た無数のビームから守った。
「もう駄目だ…。我が愛すべき城も、極亞様たちもあのような禍々しい姿に…。超晴王も我が言う事を聞かず…。我は一体どうしたら…。」
鎖縛丸は両手を地面につけ、下を向いた。
「っ…! ちょっとあんた!」
グルーナは腹が立って鎖縛丸の前まで力強く歩いた。
「私たちに対して強気に挑発して来たあんたはどこに行った訳!?」
「ゆ、優良人種?」
鎖縛丸は驚きながら顔を上げ、グルーナを見た。
「正直、私にとってはあんたもフォンフェルを倒した事に関わってる許せない奴だけどさ!プロフェッショナルファッションデザイナーとしてあんたに立ち直るための助言をくれてやるわ!ありがたく思う事!」
「は、はぁっ?」
グルーナは腕を組んで仁王立ちして見せた。
「あんたの目から見て、あの城はどう映るの!?」
「そ、それは禍々しく…。」
「その禍々しい姿となった上司はあんたはどうしたいの!?」
「…助けたい…。」
鎖縛丸は両手で握り拳を作った。
「あの暴れてる部下は!?」
「上司として、急を据えたい…!」
鎖縛丸は片足を曲げて少し立ち上がる。
「そう、それがあんただけが持つ独特なセンス!個性!即ち、たった一つの心!あんたはそれを大事にすればいいの!わかった?」
グルーナは前屈みになり、鎖縛丸の顔を指差した。
「…う、うおぉぉぉぉぉーっ!!あなたはまさに我が超優良人種ぅぅぅぅぅーっ!!」
鎖縛丸は絶叫し、立ち上がった。
「そうだ、我は一体何を悩む必要があったのかぁっ!?我はこんな時は普段通り、我が道をただ進めば良かったのだ!極亞様たちを助け出し、我が城も、我が部下の暴走も止めたい!これが我が…そう、『心』…!地球の意思も何も関係ない!我が真にしたい事なのだぁっ!」
鎖縛丸は目付きが変わり、天極時烈災城軍を見上げた。
「呆けてた敵をうまい事立ち直らせた…。グルーナ、すごいや…。」
フィールドルレンデスは超晴王の棍棒を避けながらグルーナの方を向いていた。
「た、大したもんだぜ…。」
真輝も少し顔を引き攣らせて笑んでいた。
「感謝するぞ、超優良人種よ!この戦いが終わったらお前は大事に大事に、丁重に内包してみせよう!」
「いや、内包という考えから離れて、改めて欲しいんだけど…。」
グルーナは糸目になって首を傾けた。
「そうであったな…。元々、生者の保管という指示は地球の意思ガイアヘッドの言い出した事…。お前は優秀だからな、内包せずに常に活動すべきだ。我はそうしたいと思う!それが心!」
「な、何だか微妙にズレてるような…。まぁ、いいわ!まずはあの空気の読めない超晴王の奴をどうにかするわよ!そこの頭のある鎧武者ちゃんたちもね!」
グルーナの言葉に三体の首あり鎧武者たちは頷いた。
「さぁ、この鎖縛丸!我が心に従っていざ、参る!」
鎖縛丸と首あり鎧武者三体は走り出し、フィールドルレンデスに加勢した。




