第14話 第三者目線の第三者って誰だろうっていつも思うの
―― ランスの家 ――
「……それじゃこの子が貴様が保護した天狐族なのか」
少女の姿に戻ったリルガを見ながらアメリアは言った。
「そうよぉ、まさかアメリアちゃんに見つかるなんて思ってなかったけど」
お茶を飲んで少し顔色の良くなったランスは言った。
「それは貴様が私に父上とお前の……いや、もういい。すべて忘れたい」
さっきのことも含めてとアメリアは言った。
「そう、助かるわ。この子はリルガちゃんよ。ああ、奴隷紋は解除できたってゴランちゃんに伝えておいて」
すまなさそうな目でこっちを見上げるリルガの頭を優しく撫でながらランスは言った。
『なんか会話のテンポが単調というか○○は言ったって初心者感がまるっと出てますよ』
○○は言ったのほうが分かりやすいのに……。
(場外乱闘やめてくれる? 話が進まないんだから)
注意された。
「……メタい?」
「リルガちゃんは綺麗なままでいて? そんな言葉使っちゃダメよ」
「おい、何の話をしているんだ?
と、とにかく貴様がそのリルガを保護するんだな。ち、団長に伝えておく」
冷静さを取り戻したアメリアは言っ……ランスがリルガに変なことはしないだろうとタカをくくった。
『うわ、意識しすぎて変な言い回し!』
い、意識してねぇし!
(話が進まないんだけど?)
すみません 『すみません』
「落ち着いたらお腹空いたわね、もうそろそろお昼だしアメリアちゃん、どっかでお昼食べない?」
「すまんが貴様に文句を一言伝えたら任務に戻るつもりだった。
それにしても珍しいな、貴様が外食なんて……」
『文句を言うためだけにわざわざ来ないでしょうに。素直じゃないですね』
(こういうとこが可愛いのよね)
「あら、残念ね。自炊でもいいんだけど、今日はさすがにそこまでの気力がないわね。それに……」
今朝方、ゲドンから届いた荷物を開けて白いワンピースを取り出してリルガに合わせた。
ゲドンは総合商業ギルド内に拠点を構える商人であり、注文したものはだいたい翌日に到着するのだ。
「うん、ぴったりね。リルガちゃん、お外に行くからお着替えしましょうか」
「……これ、リルガの?」
ぴくぴくする耳が嬉しそうに動いている。
リルガはランスから買ってもらえたことが嬉しかった。
「そうよ、それから……この帽子で耳を隠せば子狐モードにならなくても大丈夫でしょ」
リルガの耳がすっぽり入るリボンのついた麦わら帽子、白いワンピースと合わせると避暑地にきているお嬢様の完成だ。
「……ありがとう」
帽子を嬉しそうに撫でながら、着替えてくると言ってリルガは寝室へと駆け出した。
「家の中は走っちゃダメよ。ってさすが天狐族ね、一瞬で消えたわね」
「ふん、まるで母親だな!」
「父親でも母親でもどっちでもいいじゃない。私は可愛いものの味方なのよ」
「(そんなに優しく微笑まれたら文句が言えないではないか、ずるいぞ)」
「なぁに?」
「なんでもないっ! 私はそろそろ任務に戻る! 二度と私に変な未来を見せるなよっ!」
「あら、変身したリルガちゃんを見ていけばいいのに。せっかちねぇ」
『羨ましいんですよ、リルガさんのことが』
「あれぇ? 可愛いものにはアメリアちゃんも入ってるのに女心は複雑ねぇ」
ガチャガチャと鎧を鳴らしながら詰所へ向かうアメリアをランスは見送った。




