第15話 正義の闇ギルドってなんだろう
―― 王都 繁華街 ――
わいわい がやがや
「ランスさんよ、きゃー!」
「「「 ランス様ーっ! 」」」
「ちゃおっ! 子猫ちゃん達っ!?」
「「「 あーん! すてきー! 」」」
「ランスさん、ちわっす!」
「おっ、ランスこれもってけや!」
「お嬢ちゃん、これ食べなっ! ランスちゃん、たまにはご飯食べにきなよっ!」
適当に返しながらランスはリルガと王都でも繁華街を歩いている。
昨日、詰所までの道のりにはなかった喧騒にドキドキしながらリルガは露店に並ぶ品をきょろきょろと眺めている。
『マスターが昼間に繁華街を歩くとこうなりますか』
「……ランス人気ある」
「そうね、結構この界隈じゃ有名だからね。あっ、リルガちゃん、はぐれるといけないから手をつなぐわよ」
手をふりながら歩く姿は王子様だ。
一応、お嬢様風のリルガに合わせて執事風の服を着ているのだがリルガよりも目立っている。
『闇ギルド所属とは……』
(表の顔だからいいでしょ? たまにはちやほやされたいもの)
表の顔、ランスは王都の冒険者ギルドでは数少ないAランクの冒険者をやっている。
ちなみに、闇ギルドといっても町の裏側から治安を守るダークヒーロー的なものに憧れたとあるギルドマスターの方針により、殺しや人さらい、違法な薬の販売などはご法度どころか、むしろ取り締まっている側である。
かつて真っ当な活動をしていた闇ギルドは王都に複数存在したが、ゴランとランスが中心となり、一つ一つ丁寧に回ってギルドマスターを説得(物理)した結果、ゴランの闇ギルドだけが王都に残っている。
あぶれた構成員のほとんどは騎士団でしっかり更生したが、残念ながら更生できなかった者達はヘッチョンのような悪徳貴族に雇われたり、王都から出ていった。
「ここね、一度来てみたかったのよねぇ。『カップル専門ショップ カフェ屋』」
「いらっしゃいませ~♪」
「空いてるかしら?」
「え?カップル……? てかランス様! と女の子……? えっ! えっ?」
「(ここのパフェがずっと気になってたの。私たち、カップルでしょ?)」
執事風の服に薄化粧の男とどこかのお嬢様、カップルというより親子か兄妹。
「……そっ、そうですね。こちらへどうぞ。(あの……あとでサイン貰えますか?)」
「えぇ、もちろん♪ リルガちゃん、行こう」
『それって賄賂ではないですか?』
(違うわよ、寸度よ)
カップルで二人の世界に入ってもらうため、完全個室になっている。
ちなみに、この専門店には系列としてBarやホテル等があり、王都のカップル達に大人気だ。
「こちら、カフェ屋限定メニューのスペシャルカップルパフェになります。どうぞ」
「あらぁ、噂通り可愛いパフェ♪ お嬢ちゃん、ありがとう。じゃ、これサインね。あとハグも……」
「えっ! あぁ~! ……ありがとうございます!! では、ごゆっくり」
『色紙を持ち歩く闇ギルドの構成員とは……』
そんなこと知らないと、ランスはリルガとパフェの可愛いに囲まれた部屋で至高の時を過ごした。




