第78話 第24補給小隊
バッツの小屋の丸テーブルをバッツ、アリア、アキトの三人が囲んでいた。
「昔は死に物狂いの戦いだったが、今では討伐ごっこだ。今回も土産を渡して、丁重にお引き取り願う」
「バッツさん、先日話した件についての進捗状況を教えてください」
アリアがバッツに尋ねた。
「うむ、アリアに要求されたものを用意させた。氷華石で冷やした肉や魚、その他、酒の肴になるものを大量にな」
「アルカンティア近郊での酒の買い占めも順調だ」
「ありがとうございます」
アリアは頭を下げる。
バッツはアキトに目線を移した。
「アキトには迎撃部隊を指揮してもらう。適当に戦って負けたふりをして逃げれば良い」
「わかりました。僕が指揮します」
バッツは頷く。
「ただし敵も味方も殺さないようにしろ。やってくる討伐軍も大半がアルディアの民だ。飯のためにガルドア兵をやっているに過ぎん」
「最善を尽くします」
「では、アリア。迎撃策を頼む」
アリアが立ち上がり、丸テーブルの地図を指さしながら説明を始めた。
◆ ◆ ◆
トンットンットトン、カァン!
コンゴール高地では工兵が陣地の補修や増築作業をしていた。
そして、第24補給小隊をはじめ多くの補給小隊は土産物の準備に汗を流していた。
「えぇ、これはジューシーバッファローの肉やん。なんでこんなにもあげてまうねん」
腹が出ている青年は喚き声をあげた。
「ナンナン、アリア姉はなにか考えがあってのことなのよ」
ルナはナンナンを諭す。
「ナンナン、盗み食いをしてはだめですよ」
クリシュナが釘を刺す。
「あはは、相変わらずナンナンは食べることしか考えてないよね」
メルは笑う。
「ということだ。諦めろ、ナンナン」
槍を持った背の高い青年がナンナンの肩を叩いた。
「キーロフ、仕事が終わったら吾輩になんか食べさせてや」
「仕方ないな。キーロフ特製ワイルド串をつくってやるよ」
「おお、愛してるで。キーロフ」
「お前に愛されてもなぁ…」
キーロフは苦笑いをした。
「ルナも食べたいの」
「私も食べたいです。キーロフさん」
「いいぜ、メルルナも仕事が終わったら俺の小屋に来てくれ。外でワイルドに焼くとしよう」
「やったー!」
メルとルナは手を打ち合わせた。
「隊長もどうですか?」
「誘ってくれて嬉しいです、キーロフ。しかし、夜はアリア様と予定があるのです」
「わかりました」
「では、次はマーグロです」
クリシュナは声を上げた。
「えぇ、マーグロも、そんな殺生なぁ…」
ナンナンは崩れ落ちた。
その後、第24補給小隊は何往復もして本日の仕事を終えた。
夕日が周囲を赤く染めていた。
「吾輩、もうあかん。キーロフ、肩貸してくれや」
ナンナンは地面にしゃがみ込んだ。
「じゃあ、今日のワイルド串は諦めるしかないな」
キーロフはにやりと笑った。
「そんなぁ…」
「ナンナンはだらしないの!メル、ナンナンの左肩を持って、ルナは右肩を持つ」
「ナンナンは本当にしょうがないなぁ」
二人に支えられてナンナンは立ち上がった。
「ありがとさんや、メルルナ。吾輩、両肩に華、花、鼻血でるわー」
ナンナンは変顔をした。
「なに馬鹿なことやっているのよ」
「やれやれ」
キーロフは肩をすくめた。
そして、みんなで笑いながらキーロフ達の小屋まで歩いていった。
続く




