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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
第三章 アルデ州へ

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第70話 クリシュナ

闘技場は土の地面に木の柱を複数立ててロープで四角を囲った簡易的なものだった。


アキトはロープをくぐり中に入った。


「おっ、さっきとは顔つきが違うじゃねーか。いいねぇ。あたいはその顔つき好きだぜ」


レイチェルはアキトの肩を強く叩く。


くるりと向きを変えると叫んだ。


「おい、おまえら遊んでやれ」


「おうよ」


5人のガラの悪そうな兵士たちが木剣を持ちロープの中へ入ってきた。


周りから怒声と歓声があがる。


「アルディア一の剣士ならこれくらいどーってことないだろ?」


レイチェルは嘲笑う。


「いいか?お前ら、死合開始だぁ!!」


レイチェルは木槍を振り下ろした。5人は一斉にアキトに向かってきた。


アキトはそれを避けるようにロープの方へ駆けてロープ沿いに回り始めた。


「逃げてるだけじゃねーか、ガハハハ」


笑い声があがった。


レイチェルは目を見開く。


「ほーぅ」


アキトが戦っている最中、大きな革のポーチを提げた緑髪の女がアリアに話しかけた。


「アルテシア姫殿下」


アリアは声の方を振り向くと、女は両手でスカートの裾をつまんでお辞儀をした。


「はじめまして、姫殿下。私の名前はクリシュナと申します」


「こちらこそはじめまして、今はアリアと名乗っております」


アリアも一礼する。


「私はあなた様を本物のアルテシア・ヴィ・アルディア姫殿下だと思います。だって、その気品は普通の人には出せませんもの」


クリシュナは微笑んだ。


「そうです。姫様は姫様ですわ!」


メリダは胸を張る。


「ありがとう、クリシュナさん。今はアリアでお願いします」


クリシュナは自身の頬をポンポンと手で叩いたあと言った。


「わかりました。ではアリア様と呼ばせていただきますね。よろしくお願いします」


クリシュナは右手をアリアに伸ばした。


「クリシュナさん、こちらこそよろしくお願いします」


アリアとクリシュナは握手を交わした。


クリシュナは満面の笑みを浮かべた。


バチンッ、バ、バ、バ、バチーンッ


闘技場では5人の兵士が強烈な一撃を受けて倒れていた。


「マジかよ」

「おれにはやつの剣が見えなかったぞ」

「えっ、なんで倒れているの?」


周りからどよめきが巻き起こる。


「クリシュナ、手当てを頼む」


レイチェルは言った。


「了解です。レイチェルさん」


クリシュナは駆け寄り、素早く倒れている兵士達のアザに氷華石の薄い板を置くと包帯で巻いた。


兵士達は痛みを忘れてクリシュナを見てうっとりしている。


「ああ、俺っちも怪我してクリシュナさんに手当てしてもらいてー」

「ずるいぞ。おまえら」

「クリシュナさん、ぼくも頭が…」「てめぇの頭はもともと悪いだろうが!」


周りからやっかみの声が飛ぶ。


しばらくレイチェルは呆れた表情で手当ての様子をみていた。


そして5人が無事にロープの外へ搬出されるとアキトに木槍を向けた。


「次はこのあたいが相手だ!」


レイチェルは木槍を振り回した。



続く



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