第7話 食事
タッタッタッタッタッタッ
アキトの軽い足音が響く。
アキトは駆ける、ナガトのもとへ。
途中、落ちていたサネユキを拾い駆ける。
アキトが刀を握ると微かに青白く煌めく。
ナガトとギギの間に割り込み、刀を構えギギに対峙する。
そして、震える声で言葉を発する。
「ナガトを殺さないで…」
アキトは手も足も震えている。
ドクンッドクンッ
心臓が強く脈打つ。
それでも、アキトは刀を構えギギに相対している。
ギギは大剣を両手に持ちゆっくりと距離を詰める。
ギギから発する闘気がアキトを襲う。
だが、アキトは刀を構え続ける。
ナガトを守るために。
そして————
「わしと相対して剣を構えるか、坊主」
ギギはアキトを観察した。
この坊主、型はしっかりしておる。
だが、わしに威圧されて震えておるな。
ナガトっちはこの坊主を守るために戦っておったのだろう。
「坊主、名前は?」
「アキト」
「覚えておこう」
「わしを相手に剣を構えておるだけで大したものだ」
ギギは両手剣を鞘に納めた。
「安心せい。わしがナガトっちを殺すわけなかろう」
「むしろ、ナガトっちが手加減してくれなかったら、わしの首はあの時飛んでおったわ」
ギギは豪快に笑った。
「わしはナガトっちをベッドまで運ぶ。坊主はその剣をもってわしについてこい」
アキトは小さく頷いた。
ギギはナガトを抱きかかえると奥の部屋へ向かった。
そして————
ナガトのマナの量の少なさを感じ取った。
ナガトっちはすでに手負いであったか。それであの強さとは…。
ギギは奥の扉を開けてナガトを部屋にあるベッドに寝かせた。
◆ ◆ ◆
部屋は人が生活するには十分な設備を備えていた。
アキトはナガトの手を握りベッドのそばで眠るナガトを見つめていた。
「ナガトっちは気を失っておるだけだ。今は問題ない」
ギギはアキトに告げた。
「本当に?」
アキトは涙を目に浮かべ消え入りそうな声で尋ねた。
「ああ、今のところはな————」
「それより坊主、腹は減っておらぬか?」
アキトは頷いた。
「わしが飯を作ってやるからそこで待っておれ」
そういうとギギは調理場へ向かった。
ジューーーーッ
肉が焼ける音だ。
しばらくすると肉が焼ける匂いが漂ってくる。
アキトの喉が鳴る。
数分後。
「できたぞ!」
ギギが料理をもってきた。一口サイズに切った分厚い肉塊と焼き野菜とパンが出された。
肉塊から肉汁が溢れ出す。
湯気から漂う肉肉しい匂いが嗅覚を刺激する。
「さあ、坊主食え」
「食べていいの?」
アキトは遠慮気味に尋ねた。
「遠慮するな食え!」
ギギがアキトの背中をたたいた。
「いただきます」
アキトは小さな声で囁くと添えてあった木のフォークで肉をつつき口に入れた。
とろけるような肉の旨みが味覚を支配する。
久しぶりの温かい食事にアキトの身体が震える。
これは身体がまさに求めているもの。
生きるために身体が欲している。
「ギギさん、ありがとう。おいしいよ」
アキトの目に涙が浮かんだ。
「坊主もいろいろあったんだな」
ギギはアキトの肩を叩いた。
「水はこっちだ」
ギギは木のジョッキを指さした。
アキトは食べた。ひたすら食べた。
「いい食いっぷりだ」
ギギは頃合いを見ておかわりをもってきた。
アキトは食べた。食べた。食べた。
アキトが腹一杯食べた頃————
「ぅぅ…」
ベッドからナガトの声が聞こえた。
続く
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