第6話 ギギ
地球では見たこともない生物。
大きな赤いドラゴンが二人を見ていた。
ナガトの背中に隠れるアキト。
「ほう、流石は異世界だな」
ナガトは呟く。
「勝手に入ったのは悪かった。だが返事がなかったものでな」
「まずは話を聞いてくれないか?」
ナガトは大声で叫んだ。
「わしに物申すなら武を示せ」
大空洞に竜の声が響き渡る。
「武を示せか。悪くはない提案だ」
ナガトはニヤリと笑った。ナガトは振り返りアキトに言った。
「アキト、少し離れて安全なところへ行くんだ」
「ナガト、大丈夫?」
アキトは不安そうな目でナガトを見つめた。
「心配ない。私は戦女神だ。遅れは取らぬ」
「それに、あの者から殺意は感じられぬ」
「わかった」
そういうとアキトは後ろに下がった。
ナガトは赤竜の方に向き直しゆっくりと歩き始めた。
そして凛とした大きな声で告げた。
「では、名乗らせてもらおう!」
「私は日いづる国の戦女神ナガト!」
「貴殿も名乗るがよい!」
「神と名乗るか。神と戦えるとは僥倖よ」
「わしの名はギギ。竜ガ人のギギだ」
ナガトはサネユキを抜き構えた。
「武をもって応えるのみ!」
ナガトの言霊に魂がこもる。
ギギは咆哮し、炎があふれ出る口を開いた。
ギギの口から炎のブレスが放出された。
ナガトは避けるどころか、サネユキを上段に構えた。
そして————
「せいっやー!」
刀を振り下ろした。
ギギから放たれた炎のブレスは真っ二つに斬られた。
「わしの自慢のブレスを一刀両断とは————」
「流石は神だけのことはある」
ギギは笑みを浮かべる。
「心頭滅却すればなんとやらだ」
ナガトはギギに向かって走る。
ギギは腕を振り上げ、斜めに下ろす。竜爪がナガトを襲う。
ガキンッ
刀と竜爪がぶつかる。
ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ
刀と竜爪が激しくぶつかり合う。
ギギは素早く回転し、加速した尾でナガトを襲う。
ビューーン
ナガトは尾を刀で受け流すと後ろに飛んで回避。
そしてまたギギに向かっていく。
ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ
再び、刀と竜爪が激しくぶつかり合う。
ナガトは水を得た魚のごとく刀を振い続ける。
「この高揚感、たまらぬな」
ナガトも笑みを浮かべる。
そして————
「せいっ!」
ナガトの魂を込めた一撃が竜爪をひとつ切り落とす。
竜爪は宙に回転しながら舞い地に落ちる。
「まずは一つ」
ナガトが叫んだ。
そのとき、ギギがナガトに囁いた。
「ナガトっち、変身したいのでしばし待ってくれぬか?」
意外な申し出にナガトは少し唖然としていたが、頷いた。
「よくわからぬが、わかった」
ナガトは刀を鞘に納めた。
◆ ◆ ◆
ギギは竜の姿から変身を始めた。
数秒後、赤い髪の筋肉質な中年のおっさんが目の前に現れた。
「ほう、人にもなれるのだな」
ナガトは感心した。
「まあな」
ギギは笑った。
「ナガトっちの剣技を見ているとな、わしも剣で受けてみたいと思ったのでな」
「剣をとってくるので、しばし待っててくれ」
そういうとギギは奥にある扉を開けて中に入っていった。
数分経過。
ギギは大剣を背負って出てきた。
「待たせたな、ナガトっち」
ギギは大剣を鞘から抜いた。
「ああ、待ったぞ。ギギ」
ナガトは微笑む。
「では、はじめようか」
「おうよ」
今度は刀と大剣で打ち合いが始まった。
ガンッ、ガキ、ガキン、ガガンッ!
ギギの豪剣をナガトは正面から受ける。力と力が激突する。
両者は打ち合いを楽しんでいるようにさえ思えた。
アキトは二人の剣技を食い入るように見つめていた。
数十分経過。
ナガトはギギの大剣を受けたそのとき————
「ぐっ」
強烈なめまいがナガトを襲った。
ギギの大剣の衝撃を受けきれず軽い人形のように吹き飛ばされた。
手にしていたサネユキが地面に落ちた。
そして、ナガトは意識を失い動かなくなった。
「ナガト!」
アキトは叫ぶなりナガトに駆け寄った。
続く
評価やレビューなどがあれば励みになります。
よろしくお願いします。




