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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
第三章 アルデ州へ

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第58話 ロアダルギア廃鉱山

アキト達は身支度を整えて馬車を降りた。


「では、馬車を処分してきますわ」


メリダは馬車をキサラギ山道の方向へひとり走らせた。


遠くからかすかに音が聞こえた。しばらくしてメリダは帰ってきた。


「お待たせしましたわ。では参りますわ」


一行は砂利道を進む。砂利は石となり、進むにつれて道は険しくなっていく。


目をこすっていたルナは力尽きたかのように座り込んだ。


「ルナちゃんはもう限界のようです」


アリアはしゃがみルナの背中を撫でる。


「では、僕が…」


アキトはそう言うとルナを抱えた。


「にいに…」


ルナはアキトに抱えられると静かに目を閉じた。


恒星エリーゼが東の空から昇り始める。


「もう少しですわ」


先頭にいるメリダが声をかける。


雲がしだいに陽光を遮り始め、やがて風が強くなってきた。


一行が1時間ほど歩いた頃、大穴の開いた岩肌が見えてきた。辺りは暗くなりポツリ、ポツリと雨が降り始める。


「姫様?」


メリダは振り返りアリアを見た。


「私は大丈夫です」


アリアはか細い声で答えた。息が荒い。


メリダは立ち止まりアリアを見つめたあと告げた。


「本来ならアキトさんにやってもらいたいのですが、仕方ありませんわ」


「姫様、失礼いたしますわ」


メリダはアリアを抱き上げた。


「なにをするのですか、メリダ」


アリアは手足をバタバタと動かした。


「姫様、なにも案ずることはありませんわ。このメリダにお任せください。わたくしの首に手を回してくださいませ」


「こうですか…」


アリアは言われたとおりに手を回した。


「これは絵になりますわ。ザ・お姫様抱っこでございますわ」


メリダは高々と宣言した。


アリアの頬が少し赤くなった。


メリダはルナを抱えているアキトに言った。


「少しペースをあげてまいりましょう。本降りになる前に穴の中に入りますわ」


アキトは頷く。二人は駆け足で大穴を目指した。


ポツ、ポツと雨は少しずつ勢いを増してきた。


「アキトさん、そこぬかるんでいますわ。気をつけてくださいませ」


「ありがとうメリダさん」


二人はひたすら前へ前へと進んだ。


やがて岩肌にぽっかりと空いた大穴が目の前に見えてきた。


メリダがアキトの様子を見たあと言った。


「あとは平坦な道ですわ。アキトさん頑張ってくださいませ」


「僕は大丈夫です」


アキトは答える。


口から空気を吸い込み、力を振り絞りただ歩き続けた。


そして————


ついに二人は大穴へ駆け込んだ。


ほどなくして外は前が見えないほどの本降りとなった。



続く


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