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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
アルデ州へ

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第38話 戦術盤II

盤面に地形が描かれていく。そして盤面の上には多数の駒が出来上がった。


なんともいえない不思議な光景だ。この世界には魔法が存在することを改めて思い知る。


「野戦ですね。この地形、私には見覚えがありません」


「私もですわ。戦術盤は対戦者の魂を読み地形や駒を創出すると言われています。だからアキトさん所縁の場所かもしれません」


メリダがアキトを見つめる。


「私の王駒はササオヤマに置かれているようです。少年の王駒はモモクバリヤマ…少年、この場所を知っていますか?」


アリアが質問する。


「はい、母の実家がある岐阜県関ケ原町です」


「聞いたことがない地名ですね」


アリアは神妙な顔をする。


「にいにが住んでいた世界?」


ルナは盤を興味津々に眺めている。


「そうだよ、ルナ」


アキトはルナに頷く。


「これが少年のいた世界ですか!」


アリアは目を輝かせる。


「みんなでアリアさんをやっつけちゃいましょう」


メリダが両手を握りしめる。


「にいに、頑張るの!」


「ぅぅ、ルナちゃんは私を応援してもよいのですよ…」


アリアは少し口を尖らせた。


「では始めましょう、少年」


「よろしくお願いします。アリアさん」


盤からアリアの駒が消えた。


「アリアお姉の駒が消えたの」


ルナが首を傾げる。


「ゲームが始まると相手の駒は見えなくなりますわ。まずは斥候駒でアリアさんの駒を見つけましょう」


メリダは妙に気合が入っている。


アキトは思い出す。


幼き日、母と祖父母と一緒に古戦場記念館に行った時のことを————


僕が指揮しているのは恐らく東軍だ。朧げな記憶は東軍が勝ったことを覚えていた。


そして、アキトはあるスマホゲームを思い出す。そのゲームは高戦力のカードを集中すれば勝てたことを…


アキトは戦力駒を集中させササオヤマを目指した。斥候駒は周囲を巡回させアリアの襲撃に備えた。


ゲームは静かに進行していく。


◆ ◆ ◆


数分経過————


前方を巡回していた斥候駒がアリアの駒を発見する。


なんと、アリアの王駒を発見した。


「あの駒を討てば勝てますわ、アキトさん。わたくしの仇を取ってくださいませ!」


アキトはメリダの様子を見て微笑む。自分の心音が聞こえる。


これは僥倖だ。運がいいだけかもしれない。だが、この好機を逃すわけにはいかない!!


騎兵駒を力強く進撃させる。アリアはすました顔で王駒を後退させる。


あと少しで騎兵駒がアリアの王駒を捕らえることができる絶妙の瞬間に槍駒に挟撃を食らってしまう。


「ぁ…」


アキトは思わず声を漏らしてしまう。


アキトの部隊の周りにはアリアの戦力駒が囲んでいた。包囲されてしまったアキトの部隊は脆かった。部隊の向きや兵種の相性などすべてをアリアの部隊が上回っていた。


「私の勝ちです。戦力を集中させることが必ずしも正しいとは限りません」


アキトの部隊は周りを囲まれて奮戦空しく全滅してしまう。


「今回は私に有利すぎました。最初の布陣の時点で私が勝っていましたので…」


「負けました。アリアさん」


アキトは素直に負けを認めた。だが、悔しい。


「勝ちは勝ちです。私の一勝です。これで98連勝」


「アリアさんの勝ち星の半分はわたくしからです」


メリダは悔しがる。


「重ねて言います。三回負けたらレジスタンスになるのは諦めてください。知なきものは死ぬだけです」


アリアから放たれるこの言葉だけは重い。


「では、二戦目といきましょう、少年」


「分かりました」


アキトは頷く。


「次こそは勝ちましょう、アキトさん」


メリダは気合を入れ直す。


「にいに、頑張る」


ルナが声援を送る。


「はぁ…ルナちゃん私を応援してくれてもいいのに…」


アリアは少し悲しげだ。


そして、戦術盤が赤く光り輝く。



続く

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