第39話 戦術盤III
二戦目は凡庸な平原マップとなった。
アキトは戦力を分散し警戒するも戦力を集中させたアリアに各個撃破されて負けてしまった。
「戦力の分散が仇になりましたね、少年は斥候駒の使い方がよくありませんでした。いかに早く敵の動きを知ることも重要です」
「確かに…」
アキトは俯く。
「アキトさん」「にいに…」
メリダとルナがアキトを慰める。
「アリアさんはもう立派な大人なんですから、少しは手を抜いてあげたらどうなんですか?」
メリダが懇願する。
「手を抜く?それは少年に対して失礼というものです。メリダ」
「レジスタンスになりたいというのであれば、私に打ち倒せるくらいの知略がないとダメです!でなければ少年は死にます」
アリアの言葉の重さに場が静まる。ランタンの炎がゆらゆらと揺れている。
「では、そろそろ三戦目を始めましょう」
「少年が負けたらレジスタンスになるのは諦めてもらいます。ですが、少年のみに条件を課すのは公平性に反します。少年が勝ったら私はなんでも少年の言うことを聞きます」
アリアはサネユキを見つめている。
「そういえば少年の剣はサネユキと言う知能剣と聞いています。窮地の際、剣が言葉を発し少年を救ったそうですね。己の意志を貫きたいのであれば剣の力を借りてでも私に勝ってみせなさい!」
アリアの言葉に呼応するがごとくサネユキが震える。
「にぃに、今サネユキが震えたの」
ルナがサネユキを指さす。
アキトはサネユキから息吹を感じる。
「ルナ、確かに」
アキトはルナの頭をやさしく撫でたあとサネユキをそばに寄せる。
「では、三戦目、最後の戦いです」
「アキトさん、今度こそアリアさんに思い知らせてやりましょう」
「にぃに、負けない。にいに、勝って」
「私はみんなの共通の敵のようですね」
アリアは苦笑いをする。
「アリアさんが大人気ないからです!」
「では、お願いします。アリアさん」
「はい、よろしくお願いします」
戦術盤が青く輝き始めた。
◆ ◆ ◆
「なんということでしょう!」
アリアが驚きの声を上げる。
戦術盤には海が広がる。大小の島々が盤面に現れた。
「海戦なんて初めてです」
アリアは好奇の目で盤上を見つめる。
そして盤上に駒が浮き上がった。
アキトは王駒を見て驚く。
「長門!」
アキトは思わず声を上げてしまう。
間違いない戦艦長門。ナガトの依代たる大戦艦。
長門とともに異世界テレシアに来た日々を思い出し目頭が熱くなる。
あのときからもう三年が経過していた。
「ナガトさんじゃないの」
ルナは首を傾げる。
「この船はナガトさんの依代なんだ。僕はこの船に助けられてテレシアにやってきたんだ」
「ナガトさんはこの船の妖精みたいなものなの?」
「うん、ルナ」
「そうなんですか、これが少年の世界の船ですか…私たちの技術では想像もできない代物ですね」
アリアは興味津々に長門を見つめる。
斥候駒はホウキに乗った女性のようだ。アキトの斥候駒はルナに似ているような気もする。いや気のせいだろう。
それ以外の駒はこの世界の船を模していた。
アリアは駒を調べて述べる。
「それぞれの船には前後に砲が二門積まれていますね。この二門を使って相手の船を沈めれば勝ちのようですね」
「斥候駒が魔女とは趣深い…」
アリアが魔女駒を手に取る。
「こんな戦術盤は初めてです。少年に感謝します」
「では、最後の戦いです。ちなみに私が勝てば100連勝です。そのときは祝ってくれてもいいのですよ?」
「アキトさん、アリアさんの100連勝を阻止しましょう」
メリダが拳を握る。
「サネユキ、にいにを助けて」
ルナがサネユキに語りかける。
「では、開始します」
「はい、アリアさん」
その時、アキトの脳裏にサネユキが直接話しかけてきた。「三笠でなく長門…」
続く
評価やレビューなどがあれば励みになります。
よろしくお願いします。




