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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
エルダ村での日々

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第28話 散

セザールの剣先がエリナに迫る!


アキトはその剣を振り落とすべくサネユキを振った!


ブォンッ


空を斬る音。


サネユキは空を斬った。空を斬ったのだ。


足らなかった。足らなかったのだ————


剣は…


エリナを…


貫いた。


「ぁ…」


胸から鮮血が噴き出し、エリナは崩れ落ちるように後ろに倒れた。


時が止まる。


あと一歩踏み込んでいれば、剣を払い落とせていただろう。


もう少し早く駆けていれば、エリナを救えていただろう。


届かなかった刃。


一生涯の悔いとしてアキトの心に残る刹那の瞬間————


そして時がまた動き出す。


「どきやがれー!!」


カイトは囲んでいた兵士を押しのけた。


「姉ね!!」「エリナッ!!」


ルナとカイトがエリナの元へ駆け寄る。


一方、アキトはセザールを睨みつけた。


「きさま、きさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


アキトは生まれて初めて怒りの感情を爆発させた。


「俺様に剣を向けた以上、小僧も反逆者だ。覚悟せよ」


「きさまだけは、殺す!」


アキトの怒号が轟く。


「帝国一の剣士である俺様を剣で殺すか、上等だ、小僧!」


セザールはすばやく剣を返すとアキトの首を刎ねるべく必殺の一撃をアキトに放った。


アキトは自分の首が狙われていることも意に介さない!目の前の敵を斬り伏せるのみ、アキトは一歩踏み込んだ!!


持てる全ての力をもってセザールを葬らんとサネユキを振り下ろす!!!


確かに剣技ならばセザールが圧倒していたであろう。


だが、体中のアドレナリンが沸騰し恐怖の瞬間に一歩踏み込んだアキトの剣速がそれを上回った。


ズシャァア!


「グッ、グハァ…」


アキトの刃が先にセザールを捕らえる。セザールの左目を斬り顔面を切り裂く!


セザールの剣は斬られた衝撃で角度がずれてアキトの肩口を少しだけ斬った。


セザールは剣を落とし血を流しながら後ろに倒れた。


「でんか!、でんかぁ!、殿下をお守りしろ!!」


兵士達は次々とアキトとセザールの前に立ちはだかった。


「どけー、どけよ!」


アキトはサネユキを振るい、護衛の兵士を切り伏せる。


一人、二人、三人…。


兵士の首が立て続けに飛ぶ。


怒りの感情に支配されたアキトはセザールを殺さんと阻む兵士を次々と斬り続ける。


◆ ◆ ◆


「エリナ、しっかりしろ!」


「姉ね!」


カイトはエリナを抱きかかえた。


ルナは泣きながらエリナの腕を掴む。


「カイト、ルナと…アキトを守って…あげてくださ…い」


「あなたに会えて…私は幸せ…でした。愛…しています。カイト…」


ゴフッ


エリナの口から血がこぼれる。


「ルナ…」


エリナはルナの頭を少し撫でたあと、その手は垂れ下がった。


「エリナァァァァ————」


カイトはエリナを抱きしめ大粒の涙を流し号泣した。


「姉ね、起きて!ねえねぇー」


ルナはエリナの体を何度も揺する。


しかし、エリナはもう動くことはなかった————


カイトは一生分の涙をここで流した。


やがて、彼はルナを左手に抱えると立ち上がった。


「姉ね!、姉ね!」「いや、いやぁあああ!!」


ルナはエリナの亡骸を見つめ泣き叫び続ける。


カイトは背中の大剣を抜く。


「どけ、死にたくなければそこをどきやがれ!」


アルデ州側山道方向へ配置している兵士に対して大剣を振り回す。


大剣の直撃を食らった兵士が木っ端のごとく吹き飛んだ。


「アキト、こっちに来るんだ!」


カイトは何度も声を張り上げる。


アキトは既に数十人の兵士を斬り殺していた。ただセザールを殺さんがために、だが兵は次から次へと殺到してくる。


『怒りに任せてはいけん、全員死ぬぞな』


アキトの精神に誰かが直接声が語りかけた。


「!」


アキトは我に返った。


カイトの叫び声が聞こえる。


アキトは急ぎカイトと合流する。


そして現実を直視した。


カイトに抱えられているルナ。


無数の兵の屍、浴びた返り血。そしてエリナの亡骸。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


絶望がアキトを襲った。アキトが涙を流し地面に崩れ落ちる。


「アキト、しっかりしろ!」


「アキト、ルナを連れて逃げろ!」


「頼む、アキト。ルナを守ってくれ!」


「吊り橋を渡ったら橋を落とせ!」


「ここは俺に任せろ、俺は後から行く!」


「泣き叫ぶのはあとだ。今は生き残ることだけを考えろ!」


カイトは兵士を切り伏せながら矢継ぎ早に何度もアキトに叫び続けた。


「死にたくねー」


あるものは剣を投げ捨て逃げ出した。


「俺達じゃかなわねー、ライ様を呼べ」


兵士達は死の恐怖に怯え始めた。


やがてアキトは立ち上がると頷く。


「わかった兄さん。必ず来てね」


そういうとアキトはカイトから守るべき妹を受け取る。


そしてルナを抱えてアルデ州方面の山道へ向かって行った。


カイトは兵士を睨みつける。右手で振っていた大剣を両手で握りしめる。


「ここから先は何人たりとも通さない…」


「てめぇら、全員、デポス(魂が向かう所)に送ってやるぞ!!!」


カイトの雄たけびが轟く。



続く

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