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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
エルダ村での日々

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23/29

第23話 勅命

ゴブリン襲撃事件以降のエルダ村は平穏な日々が続いていた。


春には、家族でピクニックに出かけた日があった。


この日のことは後日アキトが思い出すことになる…


夏が過ぎ、そして————


三度目の秋がやってきた。アキトは15歳になった。


「俺はアルディア一の剣士ガルーダの息子カイト!」


「僕はエルダ村の剣士アキト!」


二人は名乗りを上げると木剣を合わせたあといつもの打ち合いがはじまった。


その様子をルナは見ていた。


ルナは少女になっていた。短い栗色の髪が風に揺れている。


「デカ兄も兄に(にいに)も頑張るの」


しばらくするとエリナが仕立てた服をもって家から出てきた。


「ヤンバさんのところへ行ってきます」


「おう」


「いってらっしゃいなの」


「いってらっしゃい」


エリナが村長の家に向かっていった。


秋風が心地よく、紅葉した木々が風に揺れている。


エリナはほどなくして村長の家につく。


家の前には荷馬車が数台停まっていた。


ガルドア帝国の制服を着た者たちが税として徴収された小麦をひとつずつ荷馬車に積み込んでいた。


エリナはヤンバを見つけて声をかけた。


「ヤンバさん、頼まれていたものをお持ちしました」


「おお、エリナさんありがとう」


ヤンバはエリナから服を受け取った。それを見ていた役人が声をかけた。


「娘、名は?」


「エリナです」


「結婚をしておるか?」


「いえ、まだです」


「ヤンバ、どうなんだ?」


「この者はまだ結婚はしていません」


「左手を見せてみよ」


エリナは左手を役人に見せた。


「ふむ。もうよい」


役人は領主テオドールへの報告書をまとめた羊皮紙の束を開くとなにかを書き込んだ。


そして平和な秋の一日が終わった。


◆ ◆ ◆


収穫祭の三日前————


村長のヤンバが血相を変えてアキト達が住んでいる家にやってきた。


「大変だ、今から皇帝陛下の勅使がやってくるんだ」


「みんな、私の家まで来てくれ」


四人は村長の家に行くと人だかりができていた。


やがて黒い馬車とそれを護衛する数名の兵士が現れた。


ひとり異様な格好をした処刑斧を背負った長身の男がいた。


その横に頬に傷がある中年の男が立った。


領主テオドールとガルドア帝国の文官服を着た役人が下りた。


「エリナはいるか?」


テオドールは辺りを見渡す。


「はい。ここに」


エリナは手を上げる。


「ふむ、では皇帝陛下からの勅命を読み上げる。全員、下座せよ」


村人はひれ伏し、テオドール以下兵士たちは片膝をつく。だが、処刑斧の男は立ったまま周りを見渡している。


そして男はアキトとカイトをジロリと見つめた。


勅使は封を切り、証書を取り出した。


「では読み上げる。面を上げよ」


そして————読み上げた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ガルドア帝国の臣民エルダ村のエリナに告げる。


第三王子セザールの後宮へ参内せよ。


帝国臣民としてその責務を果たせ。


ガルドア帝国皇帝カイゼル三世 [皇帝印]

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


勅命書を裏返すと全員に見せた。


「では、伝えた」


「三日後、セザール殿下自ら迎えに来られるから準備しておくように」


そういうと使者は馬車に乗り込み去っていった。


「エリナさんってカイトさんと…」


「アルディア王国だった頃はこんなことは一度もなかったのにな…」


村人からどよめきが広がる。


エリナは言葉を忘れて呆然と立ち尽くし、カイトは拳を血が出るくらい握りしめた。


「アキ兄、どういうことなのよ!」


ルナはアキトに強く尋ねた。



続く

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