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アルディア戦記 ~少年はやがて皇帝になる~  作者: wok
エルダ村での日々

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第20話 襲撃

アキトはテレシアで二年目の冬を迎えた。


蒼き月レイズの光が雪原にやさしく降り注ぐ。雪原はキラキラと幻想的に煌めく。


その頃のアキトは玄関に近い台所の隅にベッドを置き日々そこで寝起きをしていた。


ベッドの横にはサネユキが置かれている。


静寂に包まれた深夜、雪がゆらりゆらりと落ちていく。


遠くから悲鳴のような声が聞こえた。そして、また静寂が戻った。


しばらくして————


コケ、コケー、コケコケゲッ


鶏のけたたましい鳴き声が聞こえた。


「!」


アキトは目を覚ます。


サネユキを掴み、窓の隅から外を覗くと、複数の赤い目、緑色の小鬼がこちらを見ている。


カイト達が話していたことを思い出す。人の家を襲い家畜や食料を奪うもの、繁殖のため女を拉致するもの。そうゴブリンだ。


家はゴブリンに囲まれていた。


奥部屋でエリナとルナも目を覚ましたようだ。


「兄に」


奥からルナの寝ぼけた声が聞こえる。


アキトは小声で素早く話す。


「姉さん、奥の部屋から出ないで!ルナを抱きしめておいて!」


「わかりました」


エリナは落ち着いた声で答えた。


そういうとアキトはサネユキを抜いた。


青白い刃が煌めく。


ドガンッ、ドガンッ


玄関を打ち破る斧の打撃音が聞こえる。


アキトの心臓が激しく脈うつ。


その時、窓ガラスが割れて、一体のゴブリンが侵入してきた。


アキトは素早くサネユキで突き刺す。


「グギャアァァァァ」


続けて入ってきた二体目は正面から斬り伏せる。


ゴブリンからどす黒い体液が噴き出す。


「ギャアアァァァ」


断末魔の絶叫をあげて倒れて痙攣した。


ドカァンッ


玄関が壊れた。


外の冷気が一気に室内へ流れ込んでくる。


アキトは椅子を掴むと玄関に投げる。


「ギャア」


椅子の直撃を受けたゴブリンは転倒した。


アキトはすかさず、サネユキを転倒したゴブリンの心臓に突き刺す。


「グギャアアアァァ」


同時に入ってきた一体が小斧でアキトの胴を狙う。


「キィヤヤヤヤァ」


アキトは後ろに跳んで回避。即前進し切り伏せる。


さらに二体が入ってくる。


アキトは駆けだすと一体に肩から身体ごとぶつかりゴブリンを吹き飛ばす。そして、もう一体を体を回転させながら斬った。


スパーンッ


ゴブリンの首が飛ぶ。


外に吹き飛ばされたゴブリンは奇声を上げて、そのまま逃げて行った————


家のまわりにもうゴブリンの姿はなかった。


安堵した瞬間、身体が震えた。息が苦しい。


雪はやみ蒼き月が雪原を照らす。再び辺りは静寂に包まれた。


◆ ◆ ◆


「もう大丈夫だよ。姉さん、ルナ」


アキトは奥の部屋に向けて声をかけた。


「アキト、大丈夫?」


「僕は平気だよ」


奥の扉が開いた。


エリナとエリナにしがみつくルナがやってきた。


部屋は荒らされ、ゴブリンの死体が散らばっている。


「いやぁぁぁぁぁぁぁ」


ルナの悲鳴があがる。エリナはルナに死体を見せないように抱きしめた。


「今、ゴブリンの死体を外に運ぶから少し待ってて」


「ありがとう、アキト」


アキトはゴブリンの死体を一体ずつ外に出した。


騒ぎを聞きつけて、カイト達自警団も駆けつけてきた。


「大丈夫か!エリナ」


「はい、アキトのおかげで無事です」


「アキトがいてくれたから私たちは助かりました」


「よかった」


カイトは胸をなでおろした。


「アキト、よく守ってくれた」


「感謝するぞ!お礼だ」


カイトはアキトを力強く抱きしめた。


「痛い、痛いよ、カイト兄さん」


心地よい痛みがアキトを襲った。


「どこかにゴブリンの巣ができたということだな」


ロイドが顔を顰める。


「ああ、村の安全のために駆除しなければならないぞ」


カイトは声を上げる。


「五年間何もなかったのになぁ」


トムはポツリと呟いた。


「エリナ、ルナ、アキト、当分の間は俺の家で暮らすといいぞ」


「俺とアキトがいれば安全だ」


「はい、どうか私たちをお願いします。カイト」


エリナは微笑んだ。


こうして四人は一緒の家で暮らすことになった。



続く

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