称号:全男子の敵
運動会も終わり、気づけば10月31日。そう、ハロウィンだ。ショッピングモールには既にクリスマスツリーが並んでいるが、まあ、ハロウィンだ。そもそもド○キには年がら年中コスチュームが売っているが、今日はハロウィンだ。……もういいか。いやー、平日だからハロウィン感無くってなぁ……。
普通に登校して、授業を受けて、帰宅した。
「お邪魔しまーす!」
今日は紗奈を連れて、だが。
実は一週間前、香織がハロウィンの日に仮装パーティーをしようと提案してきたのだ。父さんは出張、母さんは当直という両親が居ない日だ。香織はその時既にオオカミ男とサキュバスのコスチュームを持って、にっこり笑っていた。
……うーん、送り狼はどっちなんだろうな?つーかサキュバスて!いやー、攻めてんなド○キ。
紗奈にその事を話すと、行きたいと言ってきたのでもちろんオッケーした。そのことをまた香織に話すと、喜んでいた。3人で話し合って、お泊り会にすることも決まったのだ。
「お兄ちゃん、もう着替える?」
「そうだな。それじゃ、各自着替えますか」
「うん!私は洗面所借りるね」
紗奈は紙袋を持って洗面所へ、俺と香織は自分の部屋へ向かった。
紗奈はどんなの持ってきたんだろう?俺はオオカミっぽいモフモフのブレスレットをつけながら、空想する。
王道の魔女っ子かな?良いなあ、ミステリアスな魅力があるよな。紗奈の場合、ひたすら甘やかす魔女か。ヘンゼルとグレーテルに出てくるお菓子の家の魔女みたいだな。俺を甘やかしてひたすらお菓子をあげ、太ってしまった俺を閉じ込めこう言うのだ。
『ダーリン、今度は甘〜い甘〜い女の子はいかが?……美味しいよ?幾らでも、ずーっと食べられる夢の食べ物だからね。さ、召し上がれ♡』
うん、一生幸せに暮らすな。間違いない。
とっつき易いドラキュラかな?謎に弱点が多いが身体能力は最強という案外トリッキーな怪物だが、女の子が仮装するとかなりキュートに仕上がるから結構人気だよなあ。紗奈の場合、ひたすら甘やかすドラキュラか。うーん……こんな感じ?
『ダーリン。もう外には人間がいっぱい。すぐ殺されちゃう。ねえ、私の血を吸って?……いいよ、私の血はぜーんぶダーリンのもの。ダーリンに少しでも長生きして欲しいの。それで、私が死んだらさ、一緒の棺桶に入って永遠に一緒に居てくれる?』
うん、切なすぎるな。永遠に一緒だ。
妄想はこのくらいにして、オオカミ耳のカチューシャをつけて俺は階段を降りる。リビングのドアを開けると、サキュバス衣装の香織が居た。肩全出しで、太腿丸出し。それに、大きな胸が薄い衣装のチープなボタンを今にも弾き飛ばしそうだ。……うん、えっちぃ!
「お兄ちゃん、どう?」
「香織、その、凄いな!」
「えへへ♡好きかなあと思って。襲っちゃうよ〜♡」
香織が腰をくねらせて言う。あー!これはもうすっごく目に毒だ!でも見ちゃう!妹だぞ!
俺が魅了されていると、後ろからリビングのドアが開き、紗奈が入ってくる音がした。
「ダーリン、お待たせ!」
「ああ紗奈!遅かっ......」
俺は勢い良く振り返る。そこには……頬を赤く染めたサキュバスが居た。
「あはは、つい買っちゃったけど、照れちゃうなー!」
紗奈はそう言いながら、結構ノリノリで、色んなポーズをとりだした。激しく動く度、揺れちゃう。……もちろんえっちぃ。
「ねえお兄ちゃん、ジュース入れてきたよ〜」
「あ、私はお菓子持ってきたよ!」
「お、準備万端だな。よし、始めるか!」
そんな感じでパーティーは始まった。主宰、サキュバス。司会、オオカミ男。ゲスト、サキュバス。
なんじゃそりゃ。だが、これがハロウィンだ。精一杯楽しもうじゃあ、ありませんかっ!
それから。
「ダーリンもっふもふだね〜!」
「はは、そうだろ?」
紗奈にモフられたり。
「お兄ちゃん、コーラもあるよ!」
「お、ありがとう香織!」
ジュースを注いでもらったり。
「あ、ダーリン!ポテチが口元に......ぺろ」
「さ、紗奈!」
菓子くずを舐め取ってもらったり。
「お兄ちゃん、はい、あ〜ん♡」
「私もするー!あーん♡」
あーんしてもらったりした。
……ここが天国か。これだけの黄金体験、そうそう出来るもんじゃない。もう将来どんだけお高い店に行っても、これには勝てないと言い切れる。
あ、結婚したらそんなお店に行く必要無いな。嫁を悲しませてはいけない。嫁大事。マジ大事。
気付いたら11時になってしまった。はしゃぐとこんなに時間が経つのが早いのか。にしても疲れた〜……。紗奈はパジャマに着替え、香織の部屋に布団を敷いた。香織も着替えてリラックスしている。2人とも可愛い。
一緒に寝ようと言うのもちょっと恥ずかしいし、ガールズトークの邪魔しちゃあ悪いので、俺は2人にお休みを告げ、今日はもう寝ることにした。




