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炎鎖のアシェイラ ~剣の輪舞  作者: なりちかてる
昏き焔の章
13/21

黒夜の神殿


     黒夜の神殿


 町のあちこちで、赤い炎があがっていた。近づいてみると、炎はどんなものよりも鮮やかな色をしているのだけど、闇の下で目にするそれは暗く、揺らめいていた。

 頭上は曇り空で、星の光を目にすることはできなかった。だけど、アシェイラにはそれが町を包む炎が空を焦がし、星の輝きを消してしまったように感じられた。

 アシェイラのとなりで、グレアードが咳き込んだ。チュニックの袖で、鼻のまわりを押さえた。町のなかは煙が充満していて、風向きによってはこちらへと漂ってくることがあった。

 アシェイラは煙を正面から浴びることはなかったけど、さっきから喉の奥がちくちくとしていた。今、声を出してみたら、がらがらになっているのではないだろうか。そんな気がした。

 トライステープルの町はもう、終わりだった。アシェイラが通りかかるどの道でも戦いが起こり、濃い血の臭いがした。

 サードレード市の戦士たちはトライステープルの町を完全に包囲していたのだけど守りが固く、攻めあぐねていた。

 そこへ、騒動を起こしたのがアシェイラたちだった。その混乱に乗じてサードレード市の戦士たちは城門を開放し、外にいた軍を導いたのだろう。

 アシェイラたちは道をふさぐ石壁と扉を踏み越え、広場へとやって来た。

 広場はかなり、大きかった。馬車が十台以上、ここに集まれるくらいはある。道はアシェイラたちが走ってきたところだけでなく、全部で四本が通じていた。広場の縁には石の段が置かれ、その向こうには芝生が植えられているようだった。広場の真ん中には高い柱があり、その根もとには泉があった。

 ずっと昔には、ここは多くの市民が話を交わしたり、歌を聞いたり、遊んだりする場所だったのだろうけど、今はその影すらもなかった。石の段は倒れ、芝生は枯れて荒れた地面がのぞき、柱も上部が欠けて泉の水は白濁していた。

 アシェイラは左手を見た。そこには広場の奥に鎮座する形で、神殿が位置していた。

 その神殿はネスキアの神々の一柱、冬の女神のウィーアを祭っていたのだけど以前、神官軍に占領された時に破壊され、そのままになっているようだった。

 神官たちの神殿が細かい違いはあるがどこもだいたい同じつくりをしているのに対し、ネスキアの神々の神殿は祭る神や場所によって、まったく異なるものになっていた。

 アシェイラの目の前にあるこの神殿も、そうだった。ウィーアはサードレード市だけでなく、他の都市国家でも信仰されているけど、これと同じ形をしている神殿を、アシェイラは見たことがなかった。

 神殿は正面と左右から階段が伸び、その三つの階段が合流するところに門があった。アシェイラたちはグレイを先頭にして、損傷は大きいものの幅の広い正面の階段を、駆けあがっていった。門をくぐり、神殿の内部に入った。

 外で見る以上に、神殿のなかはひどかった。火が放たれたらしく、あちこちにすすがこびりついていた。床や壁に大きな穴が開き、天井が崩れたらしく、石材が山となっている場所もあった。もちろん、家具のようなものはいっさい、目につかない。

 アシェイラたちは壊れかけた壁を乗り越え、屋根の上を歩き、落ちた床の脇を通るなどして、神殿のなかを移動していった。

 階段をあがり、通路を行くと、視界が開けた。天井はない。

 そこはどうやら神殿で、一番高い場所のようだった。劇場のように階段状になった座席がまわりをぐるりと、円形に取り囲んでいた。

 中央に柱で屋根を支えている祭壇があり、そこの部分は床より高くなっていた。

「リースヴェルト!」

 すぐにでも走り出したくなるのを、アシェイラはどうにかこらえた。グレイの頭を押さえる。

 壇にあがる階段の横に、リースヴェルトがいた。向こうもアシェイラに、気づいたようだった。

 アシェイラは剣を抜いた。慎重に、足を運ぶ。

「どうやらここまでは、無事に来られたようですね」

「あぁ。でも、これから無事にすまないのは、あなたのほうでしょうけどね」

 アシェイラは剣の柄をぐっと握った。力を込める。

 リースヴェルトとは、森のなかで会った時以来だったけど、憎しみはあの時と変わらなかった。

 いや——あの時はまだ、本当の意味での憎しみを抱いていなかった。ただ、エルカを殺された絶望と、怒りだけがあった。が、それは今や真の憎しみへと、変貌を遂げていた。

 アシェイラはゆっくりと、息をした。

「覚えている? あたしが河に飛び込む前、あなたに何と言ったか」

「……ええ」

「あなたがあたしを殺すのではない。殺すのは——このあたし。あたしだ!」

 アシェイラは剣の先を動かした。歯を食いしばる。

「だけどその前に、あなたには聞きたいことがあるわ」

「わたしに、答えられることなら」

「何を企んでいるの? 何を考えて、ファザード市軍に協力している」

「企むとは、正確なもの言いではありませんね。確かにこれはもう、ずっと昔から計画していたことですが、わたしたちは良きことのために動いているのです」

「わたしたち?」

「——ええ。ペールシード師とわたし、ふたりで考えたことです」

「嘘! 嘘よ」

 リースヴェルトがアシェイラの目を見て言った。

「本当です」

 頭のなかが真っ白になった。何も、考えられなくなる。

「嘘をつくなぁ!」

 アシェイラはその場から、飛び出していった。グレイと共に走る。

 リースヴェルトが胸の前で、指先を動かした。文字のようなものを描く。

は地の底にありて、大地の神秘に輝けるものよ。我らの請願せいがんの声に、耳を傾けよ。が力は常に、我らを守るためにあれ」

 突然、アシェイラとリースヴェルトの間にある床が崩れた。穴が開く。

 が、アシェイラはそこで立ち止まらなかった。飛び越える。

「リースヴェルト!」

 剣を振り上げた。斬りかかる。

 リースヴェルトは後ろに下がったが、完全にはよけきれなかったみたいだった。肩にかけている袖なしのマントとローブを切り裂いた。胸もとに、血がにじむ。

 と、リースヴェルトが薄く笑った。杖を持ち上げた。

「汝が声をのもとに響かせよ。解放の叫びとともに」

 リースヴェルトが杖の先をアシェイラに向けた。

 瞬間、アシェイラの胸の上を、冷たいものが走った。その冷たさが刺すような痛みに変わる。

 アシェイラは左手で、胸もとを押さえた。その部分に傷口が現れ、血が胸を伝っていった。

 アシェイラはリースヴェルトを見た。ローブの胸もとが切り裂かれているのは変わらなかったけど、そこからのぞいていた傷口はいつの間にか消えてしまっていた。

 グレイが心配そうに、アシェイラの顔を見上げていた。

「大丈夫——大丈夫よ」

 アシェイラは傷には構わず、祭壇と階段の角に立つリースヴェルトに、剣を向けた。

「追い詰めたわよ。今度はもう、前みたいに逃がさないからね」

「追い詰められたのは果たして、どちらでしょうかね」

 アシェイラは後ろの亀裂をちらりと見た。剣を構える。

「剣を心臓に突き立てられても、呪文が唱えられるのかしらね」

 リースヴェルトはそれに、答えなかった。呪文を唱えはじめる。

「炎より生まれたる汝が力は神秘によりて、目覚めたり。そして今、汝が名を讃える歌より炎の力は蘇り、顕現けんげんせり」

 その間にアシェイラはリースヴェルトに、迫っていった。剣を突きだした。

 が、目の前でリースヴェルトの呪文が完成した。指先をアシェイラに向けた。

 炎が現れた。真紅の色が目の奥に残る。

 それとほとんど同時に、アシェイラのからだは吹き飛んでいた。宙を舞う。視界からリースヴェルトが消え、夜空が写った。

 衝撃を感じた。背中から落ち、息がつまった。めまいがする。耳の奥がきーんと鳴っていた。

 すぐ立ち上がろうとするのだけど、からだが思い通りにならなかった。全身が痛い。身にまとっていたチュニックや肩を覆う袖なしの外套が焼けただれている。

 後ろから、アシェイラは抱き上げられた。グレイとグレアードが、顔をのぞきこんでくる。

「アシェイラ」

 瞬きをした。頭を振るが、めまいは去らなかった。腕や足は動くようだけど、力が入らない。痛みが走った。

 それでも上体を起こそうとすると、グレアードがそれを制止した。アシェイラの剣を取る。「グレア?」

「だから——グレアは止めてって」

 苦笑をしたのは、一瞬だけだった。グレアードはすぐ、まじめな顔をした。

「いくら相手が魔術師だからって、アシェイラもおれとふたりで、斬りかかりたくはないでしょ」

 グレイがうなり声をあげた。グレアードは肩をすくめると、「おれとアシェイラ、それにグレイの三人がかりでさ」と、言いなおした。

「それは……そうだけど」

「安心して。どんなに優勢になったって、とどめを刺したりしないからさ」

「グレアード。あたしはそういうことを、言ってるんじゃないわ。その男は——」

 もし、エルカのようにグレアードが殺されてしまったら——。そんなこと、考えたくないし、見たくもない。

 それなのに、アシェイラは何もすることができなかった。からだを動かそうとすると、グレイがアシェイラのマントを踏んづけた。人間じみた仕種で、頭を横に振る。

 アシェイラはため息をついた。唇を噛みながら、グレアードの背中を見つめた。

 グレアードは無造作に右手から剣を下げて、リースヴェルトに近づいていった。

「貴方がアシェイラの新しい、お仲間ですか」

「ただの仲間じゃないさ。恋人だよ」

「ほう、恋人ですか」

 値踏みするように、リースヴェルトはグレアードを見た。

「彼女が見ているからさ、あまりかっこ悪い戦い方はできないんだよね」

「わかりますよ。ですが、わたしも手を抜くつもりはありませんよ」

「当然だね」

 グレアードが走った。剣を構えず右手から引きずるようにして、間を詰めた。

「車軸を揺らし、黒き大地を削りながら進む汝が姿を我は頭に思い描きたり。意によりて、またはいにしえからの掟に従いて、汝が姿を目にせり。地上の民が不死の神々の宮殿を見上げるが如く」

 リースヴェルトが呪文を唱えた。杖をグレアードに向ける。

 その杖めがけて、グレアードは剣を振り上げた。叩きつける。

 強烈な一撃だった。叩き折るまではいかなかったけど、杖はリースヴェルトの手から飛んでいった。遠くの床に転がる。

 リースヴェルトは驚いたような顔をしていたけれど、それは短い間のことだった。

「天と大地、下方世界の王よ。援助のために、勝利のために、そしてほまれのために立ち現るわざは今、万物を覆う」

 口もとだけで笑うと、呪文の続きを唱えた。リースヴェルトの手のなかで、光が弾けた。「グレアード!」

 アシェイラは叫んだ。グレアードがひざをついた。

 彼はその体勢から剣を払ったが、リースヴェルトのからだに届くことはなかった。後ろに下がった。

「……やっと、名前を呼んでくれたね」

 グレアードが顔を半分、アシェイラのほうに振り向かせて言った。が、アシェイラはグレアードのからだの前が血で染まっているのを目にした。立っているのがやっとというようなけがではないけれど、決して軽傷などではなかった。

「そんなこと、どうでもいいから」

「まだ、大丈夫だよ」

 剣を構えた。グレアードが言うように、剣も持ち方や足どりは危なっかしくはなかった。けれど、エルカほどの剣の腕前の持ち主でも、倒されてしまうのだ。

「……グレイ」

 声をかけ、グレイを先に行かせた。銀色の毛並みを持つ狼がグレアードとともに、歩いていった。

 アシェイラは床に手を突いた。腰を浮かせ、立ち上がった。

 火傷の跡はまだ痛いけど、その程度だった。からだを動かすのに、何も問題はない。アシェイラは祭壇の横を抜け、グレイとグレアードの後を追った。

「はっ!」

 グレアードがリースヴェルトに斬りかかった。剣を振り回す。

 今度はグレアードはリースヴェルトに、呪文を唱えさせなかった。連続して、攻撃をしかけた。

 杖を失い、リースヴェルトは苦戦しているようだった。剣をかわす一方になっている。ローブが切り裂かれ、血が噴き出していた。

 リースヴェルトが剣をかわした。横に逃げる。

 グレアードが剣を振り上げた。上体をひねる。足を踏み込むのと同時に、斬りかかった。

 それは素早い攻撃だったが、リースヴェルトはそれを何とか、かわした。後ろに跳ぶ。「たたえあれ、高らかにゆるものの御名みなを。我、頂礼ちょうらいもて招じ入れん」

「この!」

 呪文を唱えはじめたリースヴェルトに、グレアードが剣を突き出した。

 リースヴェルトが足を滑らせるようにして、横に動いた。剣に腕をのばす。

「かくて汝が勲業くんぎょうは光によりて、地上を照らせり」

 グレアードの剣が折れた。柄の先を残して、いくつもの細かい破片に砕け散った。

「グレイ!」

 アシェイラが声をあげると、グレイが飛び出していった。リースヴェルトに吠えかかる。

 その間に、グレアードが下がった。柄を捨てると、リースヴェルトから離れた。

「アシェイラ……」

 グレアードがアシェイラに近づいてきた。顔を見る。

 アシェイラはグレアードがリースヴェルトに殺されなかったことに、ほっとしていたのだけど、それは表情に出さなかった。何も言わず、グレアードが腰に差していた小剣を引き抜いた。グレアードの横を、通り抜けていく。

 ——あたしのこの手で、リースヴェルトを討つ。

 今はそれ以外のことは何も、考えることはできなかった。

「グレイ」

 もう一度、声をかけるとグレイはアシェイラのもとまで駆けてきた。となりに並ぶ。

 アシェイラは深呼吸をした。リースヴェルトを視界に入れるのと同時に、アシェイラは跳ぶようにして走った。剣を振りかざす。

 アシェイラは右に左にと、リースヴェルトを攻撃した。剣を斬りつける。

 小剣は長さが足りないため、剣を振るたびにリースヴェルトに傷を負わせる、とまではいかなかったけど確実に、追い詰めていった。

 祭壇のこちら側は、損壊がひどいようだった。座席の一部が崩落し、床にもひびが入っている。その向こうは夜の闇が横たわっていて、何も見ることができなかったけど、そこから落ちたらただではすまないことは、吹き上げてくる強い風から、想像することができた。

 アシェイラはリースヴェルトの肩ごしに、その暗がりを見た。逃がさないように油断なく、小剣を構えた。

 アシェイラは風を感じた。前髪を揺らしていく。腰のあたりでマントがはためき、細かな埃が床の低いところにつむじを描いた。

「リースヴェルト。さっき、あなたはファザード市軍といっしょにいるのはずっと前から決めていた、自分たちのしているのは正しいことだって、そう言ったわよね」

「ええ。そう言いました」

「それは、どういう意味なの」

「——今、時代は大きく変わろうとしております」

「え?」

「ネスキアは都市国家の同盟という形ではなく、ひとつにまとまらなければならないのです」

 アシェイラは何も、答えなかった。リースヴェルトの顔をじっと見る。

「これまで、ネスキアは強大な外敵に遭遇することなく、同盟内で騒乱を繰り返す程度でした。が、これからは違います。大陸の様々な勢力がネスキアまで、侵攻してくる時代がやって来るのです。ですから、それぞれの都市国家が独立した状態ではなく、権力をひとつに集中させなければならないのです」

 そこで一度、リースヴェルトは深呼吸をした。

「しかし、わたしたちの唯一の誤算は、サードレードから神官たちを追放するのに長く、時間がかかりすぎてしまったことです。この十年近くの間に、サードレード市は他の都市国家と戦う力を失ってしまいました」

「……それが、あなたがファザード市軍に手を貸している理由?」

 ——わたしたち。

 リースヴェルトの言ったことばにアシェイラは一瞬、胸が痛くなった。

「はい、そうです」

「それなら、どうして——」

 アシェイラは小剣の柄を強く、握った。

「どうして、エルカを殺した」

「貴方を解放するためです」

「わたしを——解放?」

「そう。エルカが貴方のそばにいては、駄目なのです。それでは、意味がありません」

「な——何を言ってるの?」

「エルカを殺された貴方は、ここまで来ました。ここに来ないという選択もありましたのに、貴方はわたしの前に立っている。剣を向けている。そしてそれは、貴方自身の判断によるものでしょう」

「それが、あなたがエルカを殺した理由だと言うつもり?」

 リースヴェルトは首を横に振った。

「いいえ。それだけではありません。しかし——それについてはここで、語るつもりはありません。貴方との決着の場は別に、用意されておりますので」

「ここで言うつもりはない?」

 リースヴェルトは答えず、呪文を唱えはじめた。

「輝しき御名持つ汝よ。暁紅は汝の目覚めと共に在り。奈落より風は吹き、天に至り、そして雲をも動かす。なれば——」

「この!」

 アシェイラはリースヴェルトに迫った。斬りかかる。

 リースヴェルトは剣をよけようとした。と、彼の足もとが崩れた。床のひびが大きくなり、からだが沈んだ。

「リースヴェルト!」

 声をあげるが、遅かった。リースヴェルトのからだは闇のなかに吸い込まれるようにして、消えていった。

 ——あ。

 アシェイラは崩れ落ちた床の手前から、下をのぞきこんだ。が、何も見ることはできなかった。遠くで何かが砕ける音が聞こえてくると、それきり——風の音以外、アシェイラの耳に届くことはなかった。

「アシェイラ」

 後ろから、グレアードが話しかけてきた。グレイがアシェイラのマントを引っぱっていた。

「あいつは?」

 アシェイラは立ち上がると、黙って首を横に振った。

 だけど——あの人は生きている。

 アシェイラは確信を持って、そう言いきることができた。

 リースヴェルトは闇に消える直前、彼はアシェイラの顔を見上げ、笑いかけてきたのだ。

 それならばそれでいいと、アシェイラは考えていた。彼にはこのぐらいのことで、死んでもらいたくない。

 あたしがこの手で……殺してやるまでは。

 アシェイラはグレアードが投げ捨てた剣の柄を、拾い上げた。根もとから折れてしまっているそれに、じっと見入った。

「それ、もしかしてあんたのお気に入りの剣だったの?」

 頭をかきながら、グレアードが話しかけてきた。

「だったら悪いこと、しちまったかな」

 これはスタンドヒル村を発つ時、グウィードから受け取った剣の柄だった。

 ——道具というものは、それを使うのにふさわしい者の手に渡ってはじめて、役立つものだ。

 あの時、彼はアシェイラにそう語った。それなら、折れてしまったのも仕方ないことなのだろう。

「……ううん」

 アシェイラはトライステープルの町を見下ろすと、祭壇を振り返った。その向こうにある出入り口へと、歩いていった。


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