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第一話 アバンタイトル

 これまでちゃんとは書いてこなかったジャンルです。

 一応、いわゆる追放系ですが、明るいお話になっていると思います。



 ――この物語の主人公は誰だろうか。



 鋭い爪を持ち、高所から飛びかかってくる猛獣のような金色の少女だろうか。

 それとも、洞窟内の壁や天井を自由に動き回る脚力自慢の黒い少女だろうか。

 いいや、顔半分と左目を覆う刺青が目を引く、赤い鱗の尾を持つ少女なのか。


 ――否だ。


 では、小さくなった竜の姿で、二本足で立ち、人語を喋るリザード族なのか。

 とんがり帽子を被りながらも、身の丈以上の斧を持ち振り回す大人の女性か。


 もしくは。


 両手に逆手で握った剣がある、日に焼けた肌をした魔法剣士の少女なのか。


 それとも――

 もしくは……赤髪の少年なのか。


 武器を持たず最低限のプロテクターのみを身に着けた――選ばれた勇者か。


 彼こそが、この物語の主人公なのだろうか。


 ……やはり否だ。


 違うのだ、彼でさえも主人公ではない。

 彼でなければ彼女でもなく、命を懸けて戦う者たちの誰か――ではなかった。


 ならば。


 ならば……誰が?


 ――誰が、この物語の主人公なのだろうか。



 この物語は、最後列にいる、戦闘に参加できない最弱の少年の物語だ。


 魔物の素材と拾った鉱石を詰めてぱんぱん膨らんだ大きなリュックを背負い、実力者たちの激しい戦闘を外から見ていることしかできない場違いな少年。


 雑用係、荷物持ち。そう呼ぶ者たちは彼をこう評価している――一般人(モブ)と。


 最弱(モブ)の冒険者。その名はロック。


 彼の力では、どうしたって魔王は倒せないだろう。


 だけど、それでも。



 ――これは、彼が世界を救う物語なのだ。



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