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セカンドキャリアはダンジョン探索者~ネタジョブでも無理せずそこそこ稼ぎたい~  作者: 深空 秋都


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第2話 向き不向き


 変身士♀。

 初めて聞くジョブだ。いや、俺が知らないだけかもしれない。


「ジョブは変身士♀、というものみたいです」

「……変身士♀? かなり珍しいジョブを引きましたね。変身士♀は戦闘系、補助系、生産系の他に区分される特殊系ジョブ……ですが」


 青年は言いづらそうに顎に手をあてる。

 彼の様子を見るに変身士♀というのは女性に変身するということだろうか。実際、スキル欄に変身というものがある。もしそうなら言いづらいのも分かる。あなたのジョブは女体化ですなんて言えない。


「あの、言いづらいなら無理に言わなくても。たぶんこれ、女性に変身するとかって感じ、ですよね」

「まあ、はい、そうです。付け加えるとジョブ自体に身体能力の補正がかからないので、戦闘には不向きなんです。変身士♀以外にも変身士♂もありますが、どちらのジョブも今のところレベル十に到達した探索者が存在しないジョブというのもありまして……」

「ん~~~……なるほど。いえ、気を遣わせてしまいましたね」


 青年の申し訳なさそうな顔を見ていると罪悪感が湧いてきた。誰も悪くないのにな。

 とりあえず変身士♀がどういうものなのか。変身スキルを使ってみることにした。


 ――変身


「お、おお?」


 身体が一瞬だけ白色に光っただけ。だが、声を出してすぐに違和感に気付いた。

 高くなった声、喉仏に触れると出っ張りが前よりなだらかになっている。目線も低くなり、手足が短くなった。胸は……そんなにないな。


「……変身ってこんな感じなのか。弱くなった気さえするぞ」


 肩まで伸びた黒髪が少々うざったい。鏡がないので、顔までは分からない。最低限見られる容姿であることを願う。


「実際に変身を見るのは初めてです。一瞬で切り替わるんですね」

「ですね。ちなみに顔というか、容姿はどんなもんでしょう。人様に見せられる程度あればいいんですが」

「え、全然。すごく綺麗ですよ。女優でも湯川さんレベルはなかなかいないかと」

「マジですか」

「マジです」


 マジかあ~。これは探索者じゃなくても稼げるのでは? 中身が男だと流石にまずいか? でもジョブとかスキルとか今後の成長とかも気になるんだよな。正直ファンタジー的なワクワクを期待している側面もあったり。


 ひとまず次のジョブ取得予定者もいるので、俺たちはダンジョンから退散した。青年は「あまり気落ちしないでくださいね。セカンドジョブもあるんで」と励ましてくれた。いい青年だ。俺も彼のようなメンタリティを持ちたい。





……………………





 帰宅後、変身士♀について調べた。

 

 美少女や美女になる。ジョブによる身体能力の補正が無い。スキルは非戦闘系統ばかり。探索者としては致命的なほど不向きなどなど。

 探索で稼ぎたい俺からするとデメリットばかりが目立つ。本格的に諦めるのも視野に入れるべきなのだろうか。青年の励まし通り、セカンドジョブに希望を託すべきか。


 セカンドジョブ。

 最初に取得したジョブをファーストジョブと言い、レベルアップやボス攻略時などに手に入るジョブをセカンドジョブ、サードジョブと言う。今のところ確認されているのはサードジョブまでだ。

 ただ、セカンドジョブはファーストジョブの影響を強く受けるらしく、最初に戦闘系ジョブを取得した場合、高確率でセカンドジョブも戦闘系になるようだ。何百万と世界中にいる探索者の統計から出ている情報なので、確度は高い。つまり、俺の場合は変身士♀と同じく、特殊系ジョブがセカンドジョブになる可能性が高いのだ。


「特殊系ジョブの情報少な過ぎるだろ。変身士♀なんか数人しかないぞ。他の特殊系ジョブも曲芸士やら旅芸人とかばかりで参考にならないな」


 溜息をつき、コーヒーを口に含む。


「そういえば他にもスキルがあったな。リサイズだっけ」


 変身後に衣服のサイズが自動調整されていた。恐らく身に着けている物のサイズ調整ができるスキルなのだろうが。


【レベル】:1

【ジョブ】:変身士♀

【スキル】

 ・変身1

 ・リサイズ1


 変身とリサイズは変身士♀であれば必ず発現する初期スキルだ。

 ちなみに変身とリサイズの横に付いている数字はレベルを表している。スキルレベルは使えば使うほど上がっていくとのこと。ただし、本人のレベルより上になることはないと検証結果が出ている。俺のレベルは1。現状、変身をいくら使っても上がらないということだ。


 このままだと探索者としてやっていけないのは明白。なんとかならないものか。


「このコーヒーカップとか大きくリサイズできたり……えっ」


 持っていたコーヒーカップが重くなった。それだけではない。明らかに倍近い大きさになっている。


「リサイズってまさか、服以外もいけるのか?」


 台所の包丁を持って、イメージする。


「……本当にできた。あ、戻せる」


 これ、ひょっとして使えるのでは? 移動中は武器を小さくし、敵に攻撃するときだけ大きくする。そうすれば身体能力に補正がなくとも戦えるのではないか。もう少しリサイズについて検証を重ねよう。


 俺は包丁を段階的に小さくしたり、大きくしたりしてどこまでサイズ調整ができるのか確認する。

 他にも様々な物に対して同様の検証をしていくうちに夢中になり、気づけば数時間が経過していた。


「リサイズ。想像以上に使い勝手がいいぞ」


 まず分かったのは使用回数が無制限であること。数時間続けても疲れないので、断言してもいいだろう。

 次に大きさを調整すると、それに伴い質量も変化すること。質量保存の法則さんがブチギレそうだが、スキルから不思議なエネルギーが出ていると思うしかない。

 そしてサイズ調整には限界がある。小さくする場合、元のサイズの半分まで。大きくする場合、元のサイズの二倍まで。これはどんな物に対しても同じだった。


「あと、生き物には使えない感じだな」


 肉体をリサイズして身体強化もどきができたら……ってのは虫のいい話だった。そんなうまい話はない。

 身体強化もどきはできないにせよ、武器をリサイズすることで有利に戦えるのは間違いない。うまく使えれば、相手の距離感覚を騙して一方的に攻撃できるかもしれない。そう考えるとワクワクしてきた。早速、明日から実践してみよう。



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