15 捕縛
「うっ……」
観里は目を覚ました。
薄暗い倉庫のような部屋。シンナーのような臭いが充満し、頭がクラクラする。
体を動かそうとすると、両手首を縛られ、両手を真上に持ち上げるようにして、天井からロープで吊されていた。両足も足首にしっかりと結束バンドが三本、装着され、口にはガムテープが貼られていた。
横を見ると、同じような姿勢で、簑島東子が吊されていた。
東子は観里と目が合うと、うめき声を出し、怯えたような目で何かを訴えた。
まさか、ペインター?
何度か倉庫の映像をネット動画で見たせいか、目の前の倉庫の様子に既視感があった。
どうしよう。私がペインターに捕まった!
観里はもがいたが、全く動けない。それどころか、手首を閉まったロープがきつくしまり、余計に痛くなる。
軋むような音を立てて、ドアが開いた。
ドアの向こう側も暗く、外の様子は見えない。
顔にビニール製の半透明のマスクをつけた赤いレインコートを着た怪人が入ってきた。
観里は体の震えを必死に押さえながら、怪人を見上げた。
「おまえたちがなぜ捕まったかわかるか?」
怪人は二人を見下ろして、言った。声はボイスチェンジャーを使っているのか、奇妙な声になっている。
「んんん……」
観里は何かを言おうとした。
怪人は観里の口のガムテープを強引に剥がした。
「私が何をしたって言うの?」
「おまえたちはファンに絶望を与えた。夢と希望を与える商売をやっているくせに」
「何を言ってるの?」
観里は怪人を睨みつけた。
「これから、おまえたちもファンに面白いショーを見せるんだ。あはははは」
「あなた、何者なの?」
「ひひひひひ、俺か?」
怪人はマスクを取った。
「!!!」
観里は驚きのあまり、目を見開いた。
次の瞬間、怪人は手に持っていたスプレーを観里に噴射した。
観里は何かを言いかけたが、突然、白目をむき、生気を失ったように気を失った。
「んんんん」
東子は恐怖のあまり、もがいた。
「心配しなくても、次はおまえだよ」
怪人はしゃがみ込み、恐怖に引きつる東子の頬を撫でた。




