13 事情聴取
その夜。
入口のドアの鍵を閉め、事務所を出た里夜の前に一人の女が現れた。
「内倉さんですね。警視庁捜査一課の白木と申します」
白木亜里砂は警察手帳を里夜に見せた。
「どのようなご用件でしょうか?」
「ペインター事件の件で」
「平間が見つかったんでしょうか?」
「いいえ。内倉さんが以前、勤めておられた芸能事務所【パドミック】のことで話を伺いたいと思いまして」
「事件に関係あることですか?」
「ええ。現在、行方不明で、ペインターの被害者と思われる星名さんと平間さんは、倒産した【パドミック】に所属されていましたよね」
「……」
「私は二人の共通点、そして、今後、被害者が出るとすれば、この共通点にあると思っています」
「わかりました。どうぞ」
里夜はドアを鍵を開け、亜里砂を事務所に案内した。
「すぐにお茶を入れます」
「どうぞ、お気になさらず」
里夜は社長室で亜里砂と話した。
「星名さんと平間さんが【パドミック】をやめた理由をご存じですか?」
「おそらく、刑事さんの考えている通りだと思います」
「アダルト・アニメへの出演をやめたかったからということですか?」
「ええ。別にアダルト・アニメへの出演が悪というわけではありません。プロである以上、食べていかなければならないし、割り切って、出演している人もいます。競争率も低いし、ギャラもいいですから」
「……」
「ただ、【パドミック】はそういうアニメへの出演を強制するところがありました。拒否すれば、普通の仕事を回してもらえないこともあります。私も当時、マネージャーとして、相談を受けていましたが、ワンマン社長でどうすることも出来ませんでした」
「それで事務所を辞められて、新しい事務所を設立されたわけですか?」
「ええ、まあ……」
「当時の【パドミック】のタレントの名前を全て教えていただけますか?状況を把握したいもので」
「人の移り変わりが激しいですし、私が辞めてからのことはわかりません。事務所もひどい形で倒産してしまいましたし。事務所の社長に直接、聞いてみては?」
「捜査令状を持ってこいと拒否されました。現状、共通点を示す確たる証拠はありませんし、あなたにも任意でこうして伺うことしかできません。ただ、私としては第三の犯行をどうしても防ぎたいんです」
「私がわかる範囲でしたら。私の事務所の者は全て毎日、連絡をよこすように指示してあります」
「ありがとうございます。それから、もう一つ。平間さんの失踪直前から二週間前までのスケジュールを見せていただいてもいいですか?」
「わかりました」
里夜は小さく頷いた。




