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【完結】俺と王様の異世界転移転生  作者: 真義あさひ
第四章 帰りたいのに帰れない

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俺、世界の終末で再会

 それからも俺は、昼はみどり社長の会社で仕事して、夜は夢見を行う二重生活を続けた。


 数えきれないほど繰り返した夢見のとき、異世界の数百年先の未来に飛んだ。

 恐ろしい世界だった……荒廃して円環大陸そのものが崩壊寸前の未来だ。

 ど田舎村どころか、アケロニア王国すら滅んでるでねが!?


 そこであの、異世界転移した最初のとき、次元の狭間で出会った虹色キラキラ宇宙人のうちの二人に再会した。

 汚染された湖のほとりで、瘴気に侵され全身が今にも崩れ落ちそうな青銀の長い髪の美少女と。

 彼女を抱きしめて、迫り来るコールタール状の魔物から守り続けている、ミルクティ色の癖毛の男。


「ち、ちょっと、あんたたちヤバいだろこれ!?」


 持っていたLEDセイバーで魔物を退けるが、キリがない。

 だが何とかひと段落つけて駆けつけると、なんと二人とも俺のことを覚えてたんだっぺ。


 話を聞いて驚いた。

 今この時代から数百年前、勇者が邪悪の討伐に失敗して世界が闇に飲み込まれてしまったんだと。

 つまり。王様を勇者が庇ったはいいけど、邪悪を完全には滅することができなくてバッドエンドになった世界線だ。ひいい……っ。


「勇者は倒れ、当時最強の聖剣持ちと大聖女までもが闇に堕ち、世界は救いを失ってしまった……」


 癖毛の男――医聖アヴァロニスと名乗った男が悔しそうに言った。


 この二人は確か、進化した種族ハイヒューマンで、中でも特に進化した神人だと聞いていた。

 二人は世界を守り続けてきたが、限界を迎えて覚悟を決めたところだったという。


 ……俺の知ってる百年後とは全然違う未来だ。


「ほ、ほかの神人様はどうなったんです? ほら、ピンクのウパルパ様とかいたじゃないか」

「歌聖ピアディか。あれなら、勇者が倒れた後、守護していた西の小国を海底に沈めて封印してそれっきりだ。邪悪は海の中までは入ってこられないから」

「恐らくもう生きてはおるまい」


 ヒィッ。あの両生類、ちょっとやそっとじゃくたばりそうもなかったのに、そんなヘビーなことになってたのか!


「あの。確かもう一人、おられませんでしたっけ?」


 虹色キラキラに光っていた宇宙人もどきは三人いたはずだ。残り一人はどこ行った?

 確か黒髪で琥珀色の目のイケメンいたじゃん。男だけどめちゃくちゃ美人だった人!


「神人カーナは、自己犠牲を果たして消えてしまった。もうこの世界にはいない」


 それダメなやつー!!!


 二人とも満身創痍で、話すのも辛そうだった。

 けど俺の事情を聞いてくれたので、請われるままにここに来るまでの経緯を俺はわかりやすく話した。


「そうか、夢見の術。なるほど、カーナ様が歌聖に伝授したと昔、報告を受けたことがある」

「はい。そんでウパルパ様経由で俺が生まれたというか、なんというか」


 つかマジで俺は何なんだろうか。

 王様には本当に、勇者と同じように俺という前世もしくは来世があったのか。

 ……それとも、俺は王様が作り出したただの夢?


 俺の話を聞いて、何やら二人は考え込んだ後、小声で話し合っていた。

 ややあってアヴァロニスが確認してきた。


「君は、……君の夢見はどの時期が起点なんだい?」

「え。起点、ですか? そりゃ多分……」


 勇者が王様を庇って昏睡して、確か……五年後だったか?

 目覚めなければ死亡確定だって慌てた王様が、勇者を救う手立てを得るために莫大な資産と労力を注ぎ込んで行ったのが夢見の術だ。


 と話すと、二人は顔を見合わせた後で頷いた。


「もうこの時代に、戦える者は残っていない。皆、死んでしまったんだ」

「そ、それは」

「夢見の術は、発動の時点で死んでいる者は生き返らせることができない。だが君が、大勢がまだ生きていた過去から来ているなら」

「あ」


 そこまで言われれば俺にもわかる。


「俺は夢見で、どの時代に飛んで、誰を助けてくればいいですか」


 念のため確認だ。わかってる。俺が救うべきは。


「円環大陸共通暦807年の夏の終わりだ。西の小国カーナ王国には、歌聖ピアディを守護者として、大聖女アイシャ、聖剣の聖者ルシウス、大魔道士ヨシュア、剣聖ライル、そしてアケロニア王国のユーグレン王太子と、――勇者カズンがいた」


 えーと、カーナ王国。ウパルパ様やなんか凄そうな面子が揃っていたと。

 つかそのメンバーって、俺が王様からもらった大剣の魔石発動で助けてくれたお方たちだいぶ混ざってねえ……?

 竜殺しのべっぴんとか聖女様とかさあ。


 身体の大半が透明化して、瘴気で崩壊しかけている美少女が、俺に向けて震えながら手を伸ばしてきた。

 咄嗟にその小さくて今にも壊れそうな白い手を握る。

 青銀の長い髪とティールの瞳は、あの、べっぴんやユキレラ君そっくりだ。色は違うがユキりんとも顔立ちが酷似している。めちゃくちゃ麗し綺麗なお顔。顔だけならめちゃくちゃ俺好み。

 そういえばど田舎村では、ユキりん実家の一族を調べたことがあったっけ……


「……この、魔王ジューアの最後の力を貴様にくれてやる。夢を飛び、次元の狭間を超えて貴様は勇者を覚醒させてこい!」


 そうだったー! このお姉様、ユキりんたちの先祖で魔王だったよ!

 と思い出すと同時に、俺は大量の夜空色の魔力に包まれて、過去へと飛ばされた。


「ユーグレン国王……頼んだよ」

「……まあ、期待はしないでおく……」


 二人を再びコールタール状の瘴気が襲う。

 慌てて戻ろうとした俺が最後に見たのは、魔王のお姉様をアヴァロニスが抱きしめて守りながら、瘴気に包まれていく姿だった……




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