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お母さんは冬の女王様  作者: けら たろ
ー雪たんの日常と現在ー
21/27

【閑話】 ブレイバーと呼ばれた少女4


深淵の底、私は洞窟のような迷路を少しずつ進んだ

途中MSも出て来ないからちょっと幻想的に光る青い水晶とかマリモのような光るコケなんかに見とれちゃった事もあったけど何度も迷って先に進んだんだ、やがて大きなドーム状の空間に出たんだけどおかしな感じだった

柱が何本も立ってたんだけど・・・普通柱って天井を支える為にあるじゃない?

でもここに立ってる柱って天井まで届いてないの、そりゃあ何本かは届いてたけど・・・


ゴソゴソゴソ・・・


柱を調べていたら近くの地面から何かが出てくる音がしたの、いつでも動けるように槍を構えて地面を警戒してると出てきたのはセミの幼虫だった

大きさは地球のセミよりかなり大きいけれど見慣れた昆虫なのか恐怖は感じなかった

地球にいる頃、小学生時代の私は良くセミの脱け殻を拾って遊んでたっけか、簡単に壊れちゃうから大事にしてたっけ、そういえば生きたセミの幼虫見るの初めてだなー

土から出てきたセミの幼虫は私の事なんかお構いなしに柱によじ登っていく


「あ、もしかして羽化?まじ?すごい!」


危険な深淵の底ということも忘れて私はセミの羽化に夢中になってしまっていた


「わぁー、がんばれっ!もうちょっと!」


幼虫の背中に亀裂が入り少しずつ白く透き通った成体が抜け出してくる

思わず握った拳に力が入り応援してしまう


「ぐぬぬぬぬっ!出ろっ!出ろっ!がんばれ!」


「っ!やっ!やったー!」


成体は見事殻から抜け出し白く透き通った身体は黒く色づき始める

初香はそれを眺めながら、普通は色が付くまで一晩かかるのにすぐ色づき始めるなんて、やっぱファンタジーよね、それよりこのセミ結構大きいんだけど多分これが討伐対象よね・・・

どうしよう、ちょっと愛着湧いちゃって討伐できそうもないよ、このまま帰ろうかな、なんて事を考えていた

羽化したセミも初香を襲うこともなく、結構アグレッシブにつついているのに嫌がる素振りも見せていない、危険なMSではないのかな?なんて考えも浮かびやはりこのまま帰る事にした初香は入り口の方へ振り返る


「っ!」


振り返った数メートル先の地面が揺れていた、いや、地面が動いているように見えた


「・・・何て数なの・・・」


そこには地面を覆い尽くしなお何重にも重なりあいながら蠢くセミの幼虫の大群がいた、それがこちらに突き進んでくる


「ひっ!」


襲われると思った初香は短い悲鳴を挙げるがそんな初香を避けて幼虫達は柱に向かい羽化を始める

さすがMS(モンスター)、羽化はものすごいスピードで行われ成体となっセミ達はゴソゴソと這いずり回る

初香は動く事も出来ずにそれを見ている事しか出来なかった

もし、ここで少しでも落ち着く事が出来て地球のセミの事をもう少し早く思い出せていれば、未来は変わっていたのかも知れない


ジジジジジジッ


「・・・・あっ、やばっ!」


やがて羽化を終えたセミ達は大音響で鳴き出した

その音に呑まれるように初香は音と衝撃波により意識を失った



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