↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『君の夏を書き継ぐ。』  作者: 茶葉


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/21

『君に出会う前の夏』第3話『小さな命』

補習が始まって一週間が過ぎた。


毎日続く勉強と暑さに、少しずつ体は悲鳴を上げ始めていた。


それでも私は、休もうとは思わなかった。


休めば周りに迷惑をかける。


先生にも、親にも、友達にも心配をかけてしまう。


そう思うと、「大丈夫」と笑うことしかできなかった。


その日の補習を終え、私はいつもの帰り道を歩いていた。


照り返すアスファルトからは熱気が立ち上り、吹き抜ける風まで生ぬるい。


耳に届くのは、どこまでも響くセミの声。


相変わらず、その声は少し苦手だった。


生きようと必死に鳴いているようで、今の私には眩しすぎたから。


俯きながら歩いていると、不意に足元で小さな羽音が聞こえた。


視線を落とす。


そこには、一匹のセミがアスファルトの上でもがいていた。


何度も羽を動かしているのに、うまく飛び立てない。


強い日差しの中、小さな体だけが必死に動いていた。


「……こんなところにいたら。」


私は気づけばしゃがみ込み、そっと両手でその小さな命を包み込んでいた。


驚くほど軽かった。


ほんの少し力を入れただけで壊れてしまいそうなほど、小さな命だった。


近くにある公園の木まで歩き、静かに幹へ移してあげる。


セミはしばらく羽を震わせると、私の方を見上げるように止まったまま動かなかった。


「頑張れ。」


思わず、そんな言葉が口からこぼれる。


しばらくして、セミは小さく羽ばたき、青空へ飛び立っていった。


その姿を見届けると、胸の奥が少しだけ温かくなった気がした。


「……無事でよかった。」


それだけを呟いて、私は家へと帰った。


その夜。


疲れ切ってベッドに倒れ込むと、私は不思議な夢を見ることになる。


木漏れ日の中で、一人の少女が優しく微笑んでいた。


「やっと会えた。」


その一言だけが、妙に心に残った。

茶葉(ちゃっぱ)と言います‼小説の投稿をしていくので今後ともよろしくお願いします‼


広告の下にある☆☆☆☆☆から、作品の率直な評価をよろしくお願いします。


また、『ブックマーク追加』と『レビュー』も一緒にして頂けると、大変助かります。


コメントもぜひお待ちしております‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。