『君と過ごす夏』第12話『二人の今後の予定2』
私たちは机の上に紙を一枚置いて、今日からの五日間をどう過ごすか考え始めた。
「まずは……学校に連絡しないと」
「学校?」
「うん。今日から五日間、休むことを伝えないといけないからね。」
そう言って、私はスマートフォンを手に取った。
けれど、電話をかける前に指が止まった。
そういえば、さっきも泉先生に電話をしたばかりだ。
今日、連絡をせずに補修を休んでしまったことを謝るために。
それなのに、また電話をすることになる。
「……さっき電話したばかりなのに、また電話するの、ちょっと申し訳ないな」
「でも、ちゃんと伝えたほうがいいんじゃない?」
「うん……そうだね」
葵に背中を押されるように、私は電話をかけた。
何度か呼び出し音が鳴ったあと、泉先生が電話に出た。
「もしもし。三年一組の水無瀬美琴です」
「水無瀬さん? どうしました?」
「先ほどもお電話したのに、すみません」
私は少し申し訳なさを感じながら、話を続けた。
「明日からの四日間、お休みさせていただきたいと思っていて……そのことを改めてお伝えしたくて電話しました。」
先生は少し驚いたようだった。
「四日間ですか?」
「少し、自分のことを考える時間が必要だと思って……」
先生は少し黙ったあと、優しい声で答えた。
「分かりました。まずはゆっくり休んでください。ただ、体調には十分気をつけるようにしてくださいね」
「はい…ありがとうございます。」
「それと、何かあれば学校にも連絡してください」
「分かりました。」
「では、お大事にしてください。」
「ありがとうございます、失礼します。」
電話を切った。
私はスマートフォンを机の上に置く。
「……これで、ちゃんと伝えられた」
「うん!」
隣にいた葵が笑った。
「じゃあ、次は今日からの五日間の予定だね!」
「そうだね」
私たちは、もう一度紙に目を向けた。
今日から五日間。
何をするのか。
どこへ行くのか。
話し合っているうちに、葵がある提案をした。
「ねえ、美琴。せっかくなら、どこかに行かない?」
「どこかって?」
「旅行!」
「旅行……」
その言葉を聞いて、私は少し考えた。
旅行なんて、今まで考えたこともなかった。
けれど――
「……行ってみたいかも」
自分の口から出た言葉に、少し驚いた。
「本当!?」
「うん」
「じゃあ、明日から行こうよ!」
「明日?」
「うん! 今日一日で準備して、明日から四日間!」
葵は嬉しそうに笑った。
「五日間休めるんだから、一日を準備に使って、残りの四日間を旅行にするの!」
「……なるほど」
「私も葵と一緒に旅行に行きたい!」
「うん!一緒に行こう~楽しみだな~!」
葵は目を輝かせて見るからに楽しそうな様子だった。
私は紙に予定を書き込んでいく、二人で話し合って。
今日、旅行の準備をお互いする。
1日目、朝から夕方まで遊園地で遊ぶ、その後プラネタリウムに行く、そして星がたくさん見れるログハウスに行き実際の星を見る。
2日目、朝からログハウスを出発し、普段いかない都会に行く、買い物、食べ歩き、観光など。
3日目、朝から外で夏を感じる、昼からひまわり畑に行く、夜には夏祭りを楽しむ。
4日目、海に行き夏を感じながらたくさん遊ぶ、夕方には海を後にして家に帰る。
お互い行きたいところを話し合い明日からの4日間の予定が決まった。
そして、二人で顔を見合わせる。
「じゃあ、明日からの旅行の準備をしないとね」
「楽しみだね、美琴!」
「……うん。楽しみ!」
そう答えた自分が、少し不思議だった。
明日のことを考えて、楽しみだと思える。そんな感情を、私はいつから忘れていたんだろう。
明日からの準備をしないといけない二人は、早めに解散することになった。
美琴は玄関まで葵を送り出すと、葵は笑顔で「明日から楽しみだね!また明日美琴!」と言った。
美琴も笑顔で「楽しみだね!また明日葵!」と言って、それを聞いた葵は笑顔でこちらに手を振りなが
ら、美琴の家を後にした。
葵が帰ったことを確認して私は母に電話を掛けた。
お母さんはすぐに電話に出た、
今日、学校に連絡せずに補修を休んでしまったことも、これから五日間学校を休むことも、きっと怒られると思っていた。
でも――
怒られるどころか、心配された。
「美琴、体調大丈夫?」
「……うん。大丈夫だよ」
いつものように、そう答えようとした。
けれど、少しだけ言葉に詰まった。
「……ううん。大丈夫じゃないのかもしれない」
自分でも驚いた。
今までなら、どんなに辛くても「大丈夫」と言っていた。
心配をかけたくなかったから。
でも今日は、自分の気持ちを隠さずに話してみようと思った。
「明日からの四日間、学校を休むことにしたの…」
「四日間?」
「うん…学校にはそのことを連絡したんだ……」
お母さんは少し驚いたようだった。
「何かあったの?」
「少し……疲れちゃったんだと思う」
私はゆっくりと言葉を続けた。
「勉強とか、受験とか……ずっと頑張らないと思ってた、でも少しだけ休んで自分のことを考える時間が必要だと思ったの…」
電話の向こうが少し静かになる。
怒られるかもしれない。
そう思っていた。
けれど、返ってきた言葉は予想とは違っていた。
「……そっか」
お母さんの声は優しかった。
「最近、無理してたんじゃない?」
「……分からない」
「美琴、昔から無理してても大丈夫って言うからね」
その言葉に、私は何も言えなくなった。
「……ごめん」
「謝らなくていいよ」
お母さんはそう言った。
「休みたいって思ったなら、ちゃんと休みなさい」
「お父さんには私から伝えておくわ」
「……うん」
父は単身赴任で働いているため話す機会はほとんどなかったのでどうしようか悩んでいたのを機っとお母さんは汲み取ってくれたのだろう。
それを聞いた私は胸の奥が、少しだけ温かくなった。
そして私は、もう一つ伝えなければならないことを思い出した。
「それと……お母さん」
「なに?」
「明日から四日間、旅行に行きたいと思ってる」
「旅行?誰と行くの?」
「うん。葵って友達と一緒に…」
少しだけ緊張した。
けれど母は、私の話を最後まで聞いてくれた。
「ちゃんと連絡は取れる?」
「うん」
「無理はしないでね。何かあったら、すぐに連絡すること」
「分かったよ。」
そして少し間を置いて、母が言った。
「……楽しんできてね」
「……え?」
「せっかくの休みなんだから。美琴がしたいことをしてきてね。」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなった。
「……うん」
私は小さく笑った。
「行ってくるね」
「うん。気をつけてね」
「ありがとう、お母さん」
電話を切る。
私はスマートフォンを見つめながら、ゆっくり息を吐いた。
怒られると思っていた。
心配をかけてしまうと思っていた。
でも、お母さんは私のことを責めなかった。ただ、心配してくれた。そのことが、今は嬉しかった。
そして美琴は明日からの旅行の準備をすることにした。
着替え、タオル、洗面用品、充電器、モバイルバッテリー、通帳、財布、保険証などの身分証明書、
片頭痛の薬、日焼け止め、帽子、ハンカチ、ティッシュ、折り畳み傘、カメラなどをまとめた。
準備したものの確認を何度もした後に、お風呂に入り、ベットに入った。
明日のことを楽しみにしながら美琴は眠りについた。
茶葉と言います‼小説の投稿をしていくので今後ともよろしくお願いします‼
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